税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識
【第78回】
「土地の借主が負担する建物のローン残額の支払いと引き換えに
土地使用貸借の終了を認めた裁判例」
不動産鑑定士 黒沢 泰
1 はじめに
本連載【第19回】では、「税務で『ゼロ評価』される土地に鑑定ではなぜ価値がつくのか」というタイトルで、使用貸借を例にとり、相続税の財産評価では使用借権の価額は評価しないものとして扱われているものの、最高裁の判例では使用借権に経済的利益を認め、鑑定評価においてもある程度の価値を認めていることが多いことを述べました。
筆者が最近の裁判例を調査していたところ、これに類似する事案が目に留まりましたので、今回紹介するとともに、税務上の取扱いとは異なる面があることを改めて確認しておきたいと思います。
2 今回取り上げる裁判例
建物の使用を目的の一つとする土地の使用貸借において、建物の共有者の一人であるYが負担している土地上の建物に係るローン残額に相当する額の支払いと引き換えに、土地の使用及び収益をするのに足りる期間を経過したことによる使用貸借の終了を認めた事例(東京地裁令和3年6月24日判決(判例時報2527号、66頁))を取り上げます。
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