公開日: 2023/01/26 (掲載号:No.504)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第62回】「減損損失注記」

筆者: 西田 友洋

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【STEP2】注記

減損損失を計上した場合、資産又は資産グループごとに以下の事項を注記する。なお、重要性が乏しい場合は、注記を省略することができる。

資産又は資産グループについて、次に掲げる事項の概要  用途  種類  場所  その他当該資産又は資産グループの内容を理解するために必要と認められる事項がある場合には、その内容 用途、種類、場所として、例えば、以下を注記する。 用途:事務所、工場、本社、支店、営業所等 種類:土地、建物、工具器具備品、車両運搬具、リース資産等 場所:〇〇県、アメリカ等 減損損失を認識するに至った経緯 経緯として、例えば、以下を注記する。  営業利益が継続してマイナス  キャッシュ・フローが継続してマイナス  収益性の低下  土地の時価が著しく下落  支店・工場の撤退 減損損失の金額及び主な固定資産の種類ごとの当該金額の内訳 資産グループがある場合には、当該資産グループに係る資産をグループ化した方法 回収可能価額が正味売却価額の場合にはその旨及び時価の算定方法、回収可能価額が使用価値の場合にはその旨及び割引率  回収可能価額として正味売却価額や使用価値のいずれかを注記する。  正味売却価額又は使用価値がゼロの場合は、その旨を注記する。  使用価値で使用した割引率を注記する。  正味売却価額で使用した時価の算定方法(不動産鑑定評価、路線価等)を注記する。

【事例】(株)ビックカメラ(2022年8月期 有価証券報告書)

※7.減損損失

当社グループは、以下の資産グループについて減損損失を計上しております。

前連結会計年度(自 2020年9月1日 至 2021年8月31日)

当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として店舗等を基本としており、遊休資産については、当該資産単独でグルーピングしております。

営業活動から生じる損益が継続してマイナスである店舗について、資産グループの固定資産簿価を全額回収できる可能性が低いと判断した資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失(1,760百万円)として特別損失に計上しております。なお、減損損失の内訳は、建物及び構築物1,535百万円、機械装置及び運搬具0百万円、その他(有形固定資産)209百万円、その他(無形固定資産)0百万円並びにその他(投資その他の資産)14百万円であります。

当社グループの当該資産グループの回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額により測定しております。なお、不動産については、不動産鑑定評価に基づき算定しており、無形固定資産及びリース資産については、正味売却価額をゼロとして算定しております。また、使用価値については、将来キャッシュ・フローを主として4%の割引率で割り引いて算定しております。

当連結会計年度(自 2021年9月1日 至 2022年8月31日)

当社グループは、キャッシュ・フローを生み出す最小単位として店舗等を基本としており、遊休資産については、当該資産単独でグルーピングしております。

営業活動から生じる損益が継続してマイナスである店舗について、資産グループの固定資産簿価を全額回収できる可能性が低いと判断した資産グループの帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失(1,814百万円)として特別損失に計上しております。当該減損損失の内訳は、建物及び構築物 1,563百万円、機械装置及び運搬具1百万円、リース資産16百万円、その他(有形固定資産)147百万円、その他(無形固定資産)50百万円並びにその他(投資その他の資産)34百万円であります。

また、連結子会社が保有するのれん・無形固定資産の一部について将来の回収可能性を検討した結果、収益性の低下が見られたため回収可能価額まで減損し、当該金額を減損損失(2,844百万円)として特別損失に計上しております。当該減損損失の内訳は、のれん 1,560百万円並びにその他(無形固定資産)1,284百万円であります。

当社グループの当該資産グループの回収可能価額は、正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額により測定しております。なお、不動産については、不動産鑑定評価に基づき算定しており、店舗に係る無形固定資産及びリース資産については、正味売却価額をゼロとして算定しております。連結子会社におけるのれん及び無形固定資産の一部については使用価値に基づき回収可能価額を算定しており、将来キャッシュ・フローを 9.2%の割引率で割り引いて算定しております。

*  *  *

以上、2つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。
※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第62回】

「減損損失注記」

 

史彩監査法人 パートナー
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、減損損失注記について解説する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

史彩監査法人 パートナー
公認会計士

2007年10月に準大手監査法人に入所。2019年8月にRSM清和監査法人に入所。2022年2月に史彩監査法人に入所。
主に法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。また、会社買収に当たっての財務デューデリジェンス、IPOを目指す会社への内部統制コンサル及び短期調査、収益認識コンサル実績もある。
他に、決算留意事項セミナーや収益認識セミナー等の講師実績もある。

【日本公認会計士協会委員】
監査・保証基準委員会 委員(現任)
監査・保証基準委員会 起草委員会 起草委員(現任)
中小事務所等施策調査会 「監査専門委員会」専門委員(現任)
品質管理基準委員会 起草委員会 起草委員
中小事務所等施策調査会 「SME・SMP対応専門委員会」専門委員
監査基準委員会「監査基準委員会作業部会」部会員

【書籍】
「図解と設例で学ぶ これならわかる連結会計」(共著/日本実業出版社)等

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