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【STEP1】吸収合併消滅子会社の資産、
負債及び純資産の帳簿価額の算定
子会社同士の合併は、共通支配下の取引のため、吸収合併存続子会社は、吸収合併消滅子会社の適正な帳簿価額を引き継ぐ(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準(以下「基準」という)」41)。そのため、吸収合併消滅会社は合併期日の前日に決算を行い、個別財務諸表上の適正な帳簿価額を算定する。
また、個別財務諸表上の適正な帳簿価額とは、吸収合併消滅子会社が継続すると仮定した場合の適正な帳簿価額である(適用指針83、391)。したがって、適正な帳簿価額の算定において、固定資産の減損や繰延税金資産の回収可能性などの会計処理を行う際は、吸収合併が行われないと仮定して会計処理を行う。
なお、【第18回】及び【第19回】と異なり、連結財務諸表上の適正な帳簿価額を算定する必要はない。これは、親会社と子会社の合併のように「垂直的な合併」の場合は、合併前と合併後でグループとして実態は何ら変わらないため、合併前の連結財務諸表(親会社と吸収合併消滅子会社のみで作成した連結財務諸表)と合併後の親会社の個別財務諸表は実態的には同一になるようにするために、連結財務諸表上の適正な帳簿価額を用いる。
一方、子会社同士の合併のように「水平的な合併」の場合は、子会社同士だけで、連結財務諸表を作成するわけではないので、合併前の連結財務諸表(親会社と吸収合併消滅子会社のみで作成した連結財務諸表)と合併後の親会社の個別財務諸表を実態的には同一になるように会計処理する必要はない。そのため、個別財務諸表上の適正な帳簿価額を用いればよい。