公開日: 2016/12/28 (掲載号:No.200)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第33回】「退職給付引当金(複数事業主制度)」

筆者: 西田 友洋

【STEP1】年金資産の額の合理的な計算

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複数事業主制度の場合、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができるか、できないかにより会計処理が異なる(企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準(以下、「基準」という)」33)ため、まず、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができるか、できないかを検討する。

複数事業主制度において、「自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができない」場合とは、複数事業主制度において、事業主ごとに未償却過去勤務債務に係る掛金率(※)や掛金負担割合等の定めがなく掛金が一律に決められている場合(適用指針64)をいう。 これは、年金基金の規程等で確認することができる。

(※) 未償却過去勤務債務に係る掛金率の定めがあるかどうかとは、事業所脱退時の未償却過去勤務債務の清算を指しているのではなく、過去勤務債務の償却のために必要な掛金(厚生年金基金制度及び確定給付企業年金制度では特別掛金という)に負担区分等がなく、一律的に適用されている掛金率であるかどうかということである(適用指針120)。

上記に該当する場合であっても、親会社等の特定の事業主に属する従業員に係る給付等が制度全体の中で著しく大きな割合を占めているときは、当該親会社等の財務諸表上、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できない場合にはあたらない(適用指針64)。

なお、総合設立型の場合には、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算できない場合が多い(適用指針120)。

上記の検討の結果、自社の拠出に対応する年金資産の額を合理的に計算することができる場合、【STEP2】を検討する。できない場合は、【STEP3】を検討する。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第33回】

「退職給付引当金(複数事業主制度)」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、退職給付引当金(複数事業主制度)の会計処理について解説する。

連合設立型厚生年金基金、総合設立型厚生年金基金及び共同で設立された確定給付企業年金制度などが複数事業主制度に該当する(企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針(以下、「適用指針」という)」118)。

なお、本フロー・チャートでは、複数事業主制度からの脱退、移行、解散については解説していない。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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