谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第20回】
「租税法律主義と租税回避との相克と調和」
-実質主義と租税回避との相克-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
前回まで、「租税法律主義と実質主義との相克」という主題の下、税法の解釈適用の「過形成」を検討してきたが、その検討を始めるに当たって、第6回で「税法の解釈適用論上の原理的課題」という副題の下、実質主義について、特に租税法律主義との相克の場面を念頭に置いて、その概要を述べた(特にⅡ参照)。
そこでは、「税(法)は私的経済活動の上に建てられた『家』のようなものである」ことを前提にして、「軟弱地盤の上に建つ家」にみられるが如き「建付けの悪さ」をいわば「建材の柔軟化」によって解消しようとする考え方として、実質主義を比喩的に描写した(【42】=拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018)の欄外番号。以下同じ)。
そのような実質主義に基づく課税すなわち実質課税の必要性について、的確な整理・指摘を行うものとして、次の見解(品川芳宣「実質課税の原則」金子宏ほか編『実践租税法大系(上)基本法編』(税務研究会・1981年)53-55頁。下線筆者)がある。少し長くなるが、そのまま引用しておこう。
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