谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第32回】
「租税法律主義と租税回避との相克と調和」
-個別的否認規定と個別分野別の一般的否認規定との関係(その2)-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅲ TPR事件東京地判にみられる誤解・不可解
1 ヤフー事件最判との関係
では、TPR事件東京地判は、法人税法132条の2の規定をどのように適用したのであろうか。この事件も、ヤフー事件と同様、未処理欠損金額の引継ぎ(法税57条2項)の事案であるが、その濫用防止規定(同条3項)に係る適用除外要件(否認緩和要件)のうち、本件合併については、ヤフー事件と異なり特定役員引継要件該当性ではなく、特定資本関係5年超要件該当性が問題となった(なお、法税132条の2の不当性要件に関する判断については、ここでは検討しないが、拙稿「判批」ジュリスト1538号(2019年)10頁参照)。
TPR事件東京地判は、ヤフー事件最判(「平成28年最判」)を参照した上で、法人税法132条の2と同法57条3項との適用関係について次のとおり判示している(以下「TPR事件東京地判ⓐ」という。下線筆者)。
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