〔会計不正調査報告書を読む〕 【第106回】 株式会社旅工房 「外部調査チーム調査報告書(2020年6月26日付)」 税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝 【株式会社旅工房外部調査チームの概要】 【株式会社旅工房の概要】 株式会社旅工房(以下「旅工房」と略称する)は、1994(平成6)年4月設立。事業内容は、「旅行業の単一セグメント」であると説明されている(2020年3月期有価証券報告書5ページ)。2017年4月、東京証券取引所マザーズ市場上場。売上高33,355百万円、経常利益138百万円、資本金464百万円、従業員数376名(いずれも2020年3月期実績)。本店所在地は東京都豊島区。会計監査人はEY新日本有限責任監査法人。 【調査報告書の概要】 1 不正発覚の経緯と社内調査結果 調査報告書によれば、外部調査チームの設置に至る経緯は以下のとおりである。 旅工房は、2020年5月7日、A社より、旅工房において、A社発行の金券(金券A)が大量に手配及び換金されているとの問い合わせを受けたため、顧客の依頼により大量に金券A の手配を行っていた従業員(本件従業員)に対し詳細確認を行ったところ、本件従業員が、金券Aの換金について申告したため、取締役及び執行役員により、金券Aの換金に関するヒアリング及び関連する予約記録等の確認が行われた。その結果、本件従業員が、架空売上の計上及びこれにより発生した架空の売掛債権の支払に充当する資金を捻出するため、金券 Aの換金を繰り返し行っていることが判明した。 旅工房は、本件従業員による売上の架空計上及び金券Aの不正領得の発覚を受けて、同月12日、会計監査人とも協議のうえ、実効性と透明性の高い調査及び再発防止策の提言を受けるため、外部調査チームを設置することとした。 2 不正行為の類型・内容 外部調査チームによる、不正行為の概要は以下のとおりである。 3 不正行為の原因分析(報告書13ページ以下) 外部調査チームによる原因分析の項目は次のとおりである。 外部調査チームは、本件従業員が、前職においても「売上の水増し」と「仕入代金の立替負担」を行っていたことを冒頭に記してから、旅工房への転職後、セクションの統括マネージャに就任したものの営業成績が期待に応えられなかったことから、本件従業員による経理上の不正行為の動機は、単に個人的な債務への充当と、その結果発生した未収金の補填にとどまらず、自身の売上を増加させ、予算を達成することにあったことが窺われるとしている。 さらに、不正の「機会」については、社内システム上、容易に不正ができたこと、内部統制システムが不存在であったことなどを挙げた後、本件従業員に関する長期滞留未収金が発生していたにもかかわらず、コーポレート部門・所管の役員らともに、これらの未収金を本件従業員が自ら入金することで回収されたこと、予約記録に関する証憑のコピーが提出されていること、会計監査人による各期末の残高確認が実施されていること等を踏まえ、本件従業員に対する追加の調査は不要であると判断していたことを指摘している。 4 再発防止策・改善策(報告書15ページ以下) 外部調査チームは、「問題意識・提言」として以下の項目を挙げている。 【調査報告書の特徴】 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて業績の大幅な落ち込みが予想される中で実施された外部調査チームによる従業員の不正調査の結果は、売上高累計で382百万円、利益累計で76百万円、それぞれ減額修正する必要があるというものであった。従業員による不正の手口自体は複雑でもなければ、新規性もなく、金券(報告書では金券となっているが、業態から見て、旅行券と考えるべきであろう)を不正に仕入れて換金し、仕入代金を支払い、又は、架空売上の計上によって滞留した旅行代金の支払いに充当することを繰り返す単純なものであったにもかかわらず、約3年にわたり発覚しなかった。 なぜ、旅工房の経営陣や管理部門は、こうした単純な不正を発見することができなかったのだろうか。 1 本件従業員以外の社員による経理上の不正行為 外部調査チームによる調査の結果、本件従業員以外の社員による、以下のような経理上の不正行為も発見されている(報告書12ページ)。 外部調査チームはこれらの事案について、「散発的に行われたものであって継続的に行われたものではなく、主として日常事務処理の誤謬によるものであって、利益の水増し等のために意図的に行われたものではなく、また、財務諸表に与える影響も僅少」であると評価している。しかし、こうした「日常事務処理の誤謬」を隠蔽するために、データの改竄のみならず、自己負担で損失を補填する行為が行われることとなった背景、例えば、ミスを言い出しづらい職場の雰囲気はなかったのか、人事考課制度が過度な減点主義になっていないかといった観点での分析はされていない。 外部調査チームは、「類似の経理上の不正行為が存在する可能性は、非常に乏しい」と「発生原因」の「小括」の中で述べているが、その根拠は、「本件不正行為は、現に本件従業員が個人的に多額の借入債務を負担したように、経済的合理性を無視しなければ繰り返すことができないという無視し難い特殊性」があると説明するに止まっている。こうした記述からは、本件不正調査の過程で発見された「散発的」で、「意図的」ではない、小さな不正を問題視していないように見受けられるが、本件従業員による不正も、最初は363千円の架空売上の計上であったことからも、日本証券取引所自主規制法人が公表した「上場会社における不祥事予防のプリンシプル」の[原則4]である「不正の芽の察知と機敏な対処」という視点からは、少し物足りない分析ではないだろうか。 2 外部調査チームによる厳正な処分の提言 外部調査チームによる「問題意識・提言」の中で目を引くのは、「厳正な処分」である。 まず、本件従業員については、金券類を不正に領得した点について横領罪又は窃盗罪のいずれかを構成し、不正な社内処理は就業規則上、懲戒解雇事由に該当すると断じるとともに、旅工房への入社の数週間後から発覚までの約2年10ヶ月もの間、間断なく繰り返されていること、不正に領得した金券類の価額は合計3億円を超え、顧客名義を偽装して 旅工房に入金した金額及び自己負担によって仕入先に支払った金額を控除しても約39百万円を利得していることなど、不正の悪質さを強調している。 そして、旅工房による厳正な処分によって、本件従業員以外の者に対しても、コンプライアンス違反の影響を認識させることになり、役員、従業員のコンプライアンス意識の向上に資するものと考えられると続けている。 さらに、外部調査チームは、旅工房社内の内部統制の体制が十分に整備されていなかったこと、本件不正行為の徴候ともいえる状況が報告されていたにもかかわらず早期に本件不正行為を発見することができなかったことについては、関係する取締役、特に法人営業部門及びコーポレート部門所管の各取締役に相応の責任があることは否めず、さらに、本件従業員の上長たる立場にあった法人営業部門所管の取締役においては、端的に本件従業員の監督が不十分であったことについても、責任は否定し難いと考えられると結んでいる。 3 内部監査は機能していたのか 2020年3月期有価証券報告書によれば、旅工房では、代表取締役直轄の部署として内部監査室があり、内部監査担当1名が内部監査を実施、業務の適正性の確保に努めているという記載がある。さらに、堅確な内部監査体制の構築と実施を図るとともに、監査役及び会計監査人による監査の実効性に寄与していると評されている。 ところが、外部調査チームによる報告書には、不正行為の予防や早期発見に対して、内部監査部門がどういう役割を果たしていたのか、まったく記述がない。唯一、「内部監査」について言及があるのは、「再発防止策・改善策」の中の「内部統制の充実等」の項目の以下のような文章である。 この文章からは、旅工房の内部監査の体制はよくわからないが、330億円を超える売上高、376名の従業員を抱える上場会社の内部監査部門の人員が1名というのは、いかにも脆弱な体制であると評価せざるを得ない。外部調査チームがこの点に触れていないのも、気になるところである。 4 財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備 旅工房が、9月3日に公表した「財務報告に係る内部統制の開示すべき重要な不備に関するお知らせ」から、同社が認識している「開示すべき重要な不備」と「是正方針(再発防止策)」を見ておきたい。 まず、「開示すべき重要な不備」については、次のように事実関係を説明している。 このため、旅工房においては、法人旅行の販売購買に関する業務プロセスの一部について、予約/金券取得取引の実在性の確保、請求書/債権の入金消込の正確性の確保及び職務分離に関して不備があったことから、不正が行われかつその発見に遅れを生じさせたものであり、これらの不備は財務報告に重要な影響を与えており開示すべき重要な不備があったものと認識しているとのことである。 次いで、「開示すべき重要な不備」の是正方針は、以下のとおりである。 ここでは、再発防止策の実施状況の確認が、「内部監査室」に委ねられていることが見て取れる。そのこと自体に異論はないが、内部監査部門の人員状況などの体制強化策についての言及はなく、その点に不安が残るものとなっていると言えるだろう。 5 新型コロナウイルスによる業績の悪化 旅工房が9月2日に公表した2020年3月期の有価証券報告書には、「事業等のリスク」の中に次のような記述がある。 もちろん、この表現は3月31日現在の認識を文章にしたものに他ならないのだが、有価証券報告書の提出から2週間もたたない9月14日、旅工房が公表した「2021年3月期第1四半期決算短信」によれば、売上高は、前年同期の7,944百万円から150百万円へと減少し、前年同期の2%にも満たない売上実績となっていて、可能性が具現化している。それにしても、大幅な売上高の落ち込みであり、あらためて、新型コロナウイルス感染症の旅行業界への影響の大きさを感じさせられた。 (了)
ハラスメント発覚から紛争解決までの 企 業 対 応 【第8回】 「被害者からの請求に関する裁判上の紛争手続における留意点」 弁護士 柳田 忍 本稿においては、ハラスメント事案の被害者が裁判上の紛争解決手続を利用した場合の留意点等について説明する。 前稿にて述べたとおり、被害者からなされるのは基本的には損害賠償請求であると思われるところ、その裁判上の紛争解決手続としては労働審判と通常訴訟が考えられる。 1 労働審判 労働審判手続は、労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について、個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争(個別労働関係民事紛争)を対象とする手続である。 (1) 特徴 (2) 手続の流れ (3) 立証におけるポイント 労働審判手続における証拠調べは、期日における口頭での人証調べが中心となっている。労働審判官や労働審判員は、申立人や在廷している会社関係者に対して適宜質問を行い、回答を得ることにより、心証を形成する。よって、同行する会社関係者の人選や尋問対策は必須である。 上記のとおり、不利な労働審判がなされても異議を申し立てれば当該労働審判は効力を失うが、労働審判官が移行後の通常訴訟の担当裁判官にならないとも限らないし、通常訴訟に移行しても、裁判所が労働審判の結果を覆すことは多くはないと言われていることから、労働審判手続の段階から全力で臨むべきである。 2 通常訴訟 (1) 特徴 特に労働審判と比較した場合の通常訴訟の特徴は以下のとおりである。 (2) 手続の流れ 被害者を原告、会社ないし行為者を被告とする。 (3) 立証におけるポイント 通常訴訟においては、基本的には結審に至るまで証拠を提出することができるため、相手の出方を見つつ立証方針を策定するのがよいであろう。 また、立証において様々な工夫を凝らす余地もあり、訴訟担当者の腕の見せ所である。 例えば、被害者が主張するところの被害者と行為者の言動を再現した報告書(写真等を添付したもの)を提出し、被害者の主張の不自然さや不合理性を明らかにしたり、被害者が行為者によるハラスメントの様子を録音したものとして裁判所に提出した音源に入り込んだ音声の鑑定を鑑定人に依頼して事案解明に繋げるなどの立証方法がとられる例もある。 (了)
〔一問一答〕 税理士業務に必要な契約の知識 【第11回】 「商法が適用される契約関係」 虎ノ門第一法律事務所 弁護士 川上 邦久 〔質 問〕 民法ではなく商法が適用される場合としては、どのような場合がありますか。 また、今年の4月に施行された債権法改正による影響はありますか。 〔回 答〕 「商人」や「商行為」が登場する取引については、商法独自の規定が適用される場合があることに留意する必要があります。 債権法改正で、商事消滅時効や商事法定利率といった商法独自の規定が、一部削除されることになりました。ただし、経過措置の関係で、今後も引き続き改正前商法の規定が適用される場合がありますので、留意する必要があります。 ◆◆◆◆ 解 説 ◆◆◆◆ 1 商法が適用される場合 「商人の営業、商行為その他商事」については、他の法律に特別の定めがない限り、商法の定めるところによるものとされている(商法1条1項)。 商法が適用されるかどうかを判断するうえでポイントになるのは、「商人」「商行為」の2つの概念である。 まず、商法の規定により「商行為」にあたるのは、以下の3つである(商法501条~503条)。 そして、商法の規定により「商人」にあたる(とみなされる)のは、以下の2つである(商法4条1項、2項)。 以上より明らかなとおり、「商行為」概念を基礎として「商人」概念が決まるという関係にあるとともに(固有の商人)、「商人」概念を基礎として「商行為」概念が決まるという関係にもあるのであり(附属的商行為)、2つの概念は相互に絡み合っている。 なお、1つの「商行為」(商取引)については、複数の当事者が想定できるが、小売業者と消費者との間で締結される売買など、一方当事者にとっては「商行為」にあたるが、他方当事者にとっては「商行為」にあたらない場合があり得る(一方的商行為)。 この場合も、特別の定め(商法511条1項、521条等)がない限り、商法の規定が双方当事者に適用されるとされているため(商法3条)、依頼者にとって「商行為」にあたらない場合でも、商法の規定の適用がないかに留意する必要がある。 2 商法の規定内容 商法の規定内容は多岐にわたるが、紙幅の関係上全てを取り上げることはせず、税理士業務に関して重要と思われる規定について概説するに留める(特に、第一編「総則」の第三章「商業登記」以下、第二編「商行為」の第三章「交互計算」以下、第三編「海商」については、完全に割愛する)。 (1) 商事代理 まず、民法上の代理については、原則として、本人に代理行為の効果を帰属させるためには、代理人が本人のためにすることを示すこと(顕名)が必要とされており、例外的に、相手方が代理行為であることを知ることができた場合に限り、本人に代理行為の効果が帰属するものとされている(民法100条)。 これに対して、商事代理においては、商事取引の簡易迅速性の要請から、顕名がなくても、代理行為の効果は本人に帰属するのが原則とされており(商法504条本文)、例外的に、相手方が代理行為であることを無過失で知らなかった場合は、代理人を契約当事者とすることを選択できるものとされている(商法504条但書。最判昭和43年4月24日民集22巻4号1043頁)。 また、民法上は、代理権を授与した本人が死亡した場合は、代理権の効力が失われるとされている(民法111条1項1号)。 これに対して、商行為の委任による代理権については、商事取引の円滑確保の要請から、本人が死亡しても消滅しないものとされている(商法506条)。 (2) 商事契約の成立 民法上は、契約の申込みを受けた者は、諾否の自由を有するだけで、特に義務を負うものではない。例えば、事業者が消費者に対し、「購入する意思がなければ10日以内に返送せよ」として一方的に商品を送り付けた場合(いわゆるネガティブオプション)、消費者が商品の返送をしなくても、承諾の意思表示をしない限り、契約が成立することはないし、返還請求があった際に応じられるように、自己の物と同一の注意義務で保管すれば足りるとされている(なお、ネガティブオプションについては、特定商取引法により、一定の要件を満たせば返還請求権を消滅させることもできるとされている)。 これに対して、商法では、商取引の迅速性の要請から、契約の成立が当然に予想される場合における相手方の信頼を保護するために、「商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたとき」は、遅滞なく承諾しない旨の通知を発しなければ、申込みに対して承諾したものとみなされる(商法509条1項2項)。 また、申込者の信頼・利益保護の要請から、「商人がその営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合」で、「その申込みとともに受け取った物品があるとき」は、申込みを拒絶した場合でも、善良な管理者の注意をもって、その物品を保管する義務を負う(商法510条。ただし、保管費用は申込者の負担となり、保管者はその物品について商事留置権(後述する)を行使することができる)。 このように、商人は、その営業の部類に属する契約の申込みを受けた場合、一定の義務を負担することになる。 (3) 商行為通則 商法上の商行為通則に関する規定は、極めて雑多であるが、大きく分けると、①債務の履行・債権担保に関する規定(多数当事者の債務の連帯、流質契約の自由、商事留置権、商事消滅時効(債権法改正で削除))、②商行為の営利性を重視した規定(報酬請求権、利息請求権、商事法定利率(債権法改正で削除))等がある。 まず、民法上も、債権の担保のため、債務者の所有物の返還を拒むことができる留置権の定めがあるが、被担保債権と目的物との個別的牽連性が必要とされている(民法295条。「その物に関して生じた債権を有するとき」)。 これに対して、商法では、継続的取引における債権の担保を強化することによって、確実な取引関係を維持する要請から、被担保債権と目的物との個別的牽連性は不要とされている(商法521条。「その債務者との間における商行為によって自己の占有に属した債務者の所有する物又は有価証券」)。なお、倒産手続に移行した場合の効力についても、商事留置権の方が強くなっている。 また、債権法改正以前は、民法上、債権の消滅時効期間は原則10年とされていたのに対して(改正前民法167条1項)、商法では商取引の迅速決済の要請から、「商行為によって生じた債権」の消滅時効期間は5年とされていた(改正前商法522条)。 債権法改正により、民法上、原則的な債権の消滅時効期間が、権利行使できることを知ってから5年か、権利行使できる時から10年のいずれか早い方とされ(民法166条1項)、短期消滅時効の規定も削除された(改正前民法170条~174条)ことと平仄を合わせる形で、商事消滅時効に関する規定も削除された。 そして、民法上は、他人のためにある行為をしても、報酬に関する合意がない限り、無償であり報酬を請求することはできないのが原則であり(民法648条1項)、消費貸借についても無利息が原則である(民法589条1項)。 これに対して、商法では、商人の行為が当然に営利を目的とする行為であることに照らして、「商人がその営業の範囲内において他人のために行為をしたとき」に、相当な額の報酬請求権が発生するものとし(商法512条)、商人間での金銭消費貸借、商人のその営業の範囲内における金銭立替えについては、法定利息請求権が発生するものとされている(商法513条)。 この点、法定利息の利率についても、債権法改正以前は、民法上は年5%であるのに対し(改正前民法404条)、商法上は年6%とされていた(改正前商法514条)が、債権法改正により、法定利率は年3%からスタートする3年ごとの変動制とされ、それに伴って商事法定利率に関する規定も削除された。 (4) 商事売買 民法上は、種類や品質に関する契約不適合(改正前民法における瑕疵)があった場合、売主がその契約不適合について悪意又は重過失であった場合を除き、それを知ってから1年以内に売主に通知しなければ、契約不適合責任の追及ができなくなるものとされている(民法566条。数量不足については期間制限の対象外とされている)。 このような民法上の期間制限に加えて、商法では、「商人間の売買」について、買主に目的物を遅滞なく検査する義務を負担させることとし、売主が契約不適合について悪意であった場合を除き、①検査すれば直ちに発見できる契約不適合(数量不足を含む)については、直ちにその旨を通知しなければ、②検査しても直ちに発見できない種類や品質に関する契約不適合については、目的物を受領してから6ヶ月以内にそれを発見したうえで、直ちにその旨を通知しなければ、契約不適合責任の追及をすることができなくなるものとされている(商法526条)。 なお、商法上は、契約不適合があった場合でも、買主において、善良な管理者の注意をもって、その物品を保管する義務を負うとされている(商法527条)。 3 債権法改正の影響 上記2で述べたとおり、債権法改正により、商事消滅時効や商事法定利率などの、商法独自の規定が削除された結果、商法の規定について考慮する必要性は、一定程度減じたとも考えられる。 しかしながら、施行日以降は、全ての債権について改正後民法・商法が適用されることになるわけではなく、相当期間にわたって、引き続き改正前民法・商法が適用される場合があることに留意する必要がある。 すなわち、施行日前に生じた債権、あるいは、施行日前にその発生原因である法律行為がされた債権には、引き続き、改正前民法・商法の消滅時効に関する規定が適用されることになる(例えば商行為である売買契約に基づく債権であれば、債権自体の発生が施行日後であっても、売買契約の締結が施行日前であれば改正前商法の商事消滅時効が適用される)。 また、施行日前に最初の利息が生じた(≒ 元本である金銭を受け取った)債権、あるいは、施行日前に遅滞に陥った債権については、利息や損害金の算定にあたり、引き続き、改正前民法・商法の法定利率に関する規定が適用されることになる。 (了)
《速報解説》 改正会社法及び会社法整備法の施行等に伴う 金融庁関係政府令等の改正案が公表される ~企業会計に関するもの含め多数の改正案が明らかに~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020年11月6日、金融庁は、「会社法の一部を改正する法律」及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の施行等に伴う金融庁関係政府令等の改正案を公表し、意見募集を行っている。 これは、「会社法の一部を改正する法律」(令和元年法律第70号。以下「改正会社法」という)及び「会社法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(令和元年法律第71号。以下「会社法整備法」という)の施行(1年3月以内施行及び1年6月以内施行)等に伴うものである。 意見募集期間は2020年12月7日までである。 非常に多数の金融庁関係政府令等を改正するものであるので、本稿では、企業会計に関連する改正案について解説を行う。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 財務諸表等規則関係 1 定義 2 純資産の分類 「取締役の報酬等として株式を無償交付する取引に関する取扱い(案)」(2020年9月11日、実務対応報告公開草案60号)では、純資産の部の株主資本以外の項目に「株式引受権」を新設する提案をしている。 また、「会社法改正に伴う法務省関係政令及び会社法施行規則等の改正案」(2020年9月1日、法務省)では、「株式引受権」が新たに定義されており、取締役又は執行役がその職務の執行として株式会社に対して提供した役務の対価として当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利(新株予約権を除く)をいうとされている(会社計算規則改正案2条3項34号)。 そこで、財務諸表等規則でも次の改正を行う(連結財務諸表規則、四半期財務諸表等規則、四半期連結財務諸表規則も同様)。 Ⅲ 企業内容等の開示に関する内閣府令関係 1 株式交付 改正会社法では、株式交付について規定されている。 株式交付とは、株式会社が他の株式会社をその子会社(法務省令で定めるものに限る。会社法774条の3第2項において同じ)とするために当該他の株式会社の株式を譲り受け、当該株式の譲渡人に対して当該株式の対価として当該株式会社の株式を交付することをいう(改正会社法2条32号の2)。 そこで、「企業内容等の開示に関する内閣府令」でも次の改正を行う 2 補償契約 有価証券届出書などの「コーポレート・ガバナンスの概要」において、補償契約(会社法430条の2第1項に規定する補償契約)もしくは役員等賠償責任保険契約(会社法430 条の3第1項に規定する役員等賠償責任保険契約)を締結した場合について規定する。 3 役員の報酬等 Ⅳ 適用時期等 「損害保険料率算出団体に関する法律施行令」、「金融商品取引法施行令(1年3月以内施行)」、「保険業法施行令(1年3月以内施行)」は、会社法整備法附則2号に掲げる規定の施行の日、その他の政府令等については改正会社法の施行の日から施行・適用する。 (了)
《速報解説》 金融庁が「記述情報の開示の好事例集2020」を公表 ~新型コロナウイルス感染症、ESGに関する開示の好事例をまとめる~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020年11月6日、金融庁は「記述情報の開示の好事例集2020」を公表した。 これは、「新型コロナウイルス感染症」、「ESG」に関する開示の好事例を取りまとめたものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 新型コロナウイルス感染症に関する開示例 「新型コロナウイルス感染症」に関しては、経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(経営戦略等)、事業等のリスク、経理の状況(追加情報)などでの開示に関連する。 好事例のポイントとして次のことが記載されている。 Ⅲ ESGに関する開示例 ESG(環境、社会、ガバナンス)に関しては、経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(経営戦略等)、事業等のリスクなどでの開示に関連する。 ESGに関する開示について、次のような点に着目している。 好事例のポイントとして次のことが記載されている。 (了)
2020年11月5日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.393を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
monthly TAX views -No.94- 「ウーバーイーツ配達員のセーフティーネットをどう考えるか」 東京財団政策研究所研究主幹 森信 茂樹 ウーバーイーツの配達員の自転車に追突されケガをした女性が、「事実上、指揮監督している運営会社にも責任がある」と主張して配達員と運営会社の両者に損害賠償を求める訴えを起こした。 直接的にはウーバーイーツの使用者責任の有無を巡っての争いと思われるが、ウーバーイーツと配達人との関係も議論される可能性がある。 ウーバーイーツはこれまで、配達人から「事故やケガの補償」「運営の透明性」「適切な報酬」を求めて「ユニオン」が設立されるなど、様々な問題が浮き彫りにされている。 コロナ禍で、マッチング宅配サービスなど仲介型プラットフォームを通じて労働力を提供する個人事業者(いわゆるギグ・ワーカー)は、今後も増え続けると予想されており、あらためてセーフティーネットの問題を考えてみたい。 * * * マッチング宅配サービスのビジネスモデルは、極めて巧妙なものである。 配達人は配達について店と直接契約する形をとるので、労働(雇用)法制上は「労働者」ではなく「個人事業者」(フリーランス)となる。 ウーバーイーツはマッチング情報を提供する「仲介者」という立場である。 このようなビジネスモデルを構築する最大理由の1つは、プラットフォーマーが、配達人など自ら労務を提供する者の社会保険料負担を行う必要がないということである。この点「法制度による規制の穴をついたビジネスモデル」といえる側面がある。 雇用法制において「労働者」と「個人事業者」を区分するメルクマールは、使用従属関係があるかないか、つまり自己の計算と危険において独立して営まれている(個人事業者)かどうか、空間的・時間的な拘束に縛られている(労働者)かどうかなどの実態で判断することとなっている。 マッチング宅配サービスの場合、プラットフォーマーが提供する仲介に応じるかどうかは配達人の選択・自由という「建前」なので、配達人は「労働者」には該当せず、様々なセーフティーネットから取り残されることになる。 しかし配達人の実態を見ると、「注文をもらわないと生きていけない」という事情はともかく、業務の内容や進め方について指示を受けるなど、「労働者」と同じような「従属的な働き方」を強いられている場合も多いといわれている。 論点としては、働きからの実態を見ると「労働者」に近いにもかかわらず、雇用契約となっていないため雇用法制上の保護から抜け落ちる者のセーフティーネットをどうしていくのか、その場合の責任や財源をどこに求めるのかという点である。 この問題は政府の全世代型社会保障検討会議で議論され、本年6月25日に公表された第2次中間報告書では、フリーランスのセーフティーネットについて法律改正も含め様々な提案が行われている。例えば、労働者災害補償保険等の更なる活用として、特別加入制度の対象拡大や、フリーランスも加入できる共済制度活用促進などである。筆者も経産省の研究会に参加して議論しているところである。 * * * 先進諸国の流れを見ると、大きく2つに分かれる。 1つは、個人事業主と国、関係企業が分担して保険料を負担する基金を創設することである。ドイツの音楽家・画家・ダンサー、ジャーナリストなどが加入する芸術家基金では、芸術家個人が5割、芸術家に委託等をしている企業が3割、連邦政府が2割を負担する制度となっており、コロナ禍でのセーフティーネットに役立っている。 一定規模以上の委託企業は、社会保険料を負担していないこともあり、幾分かの負担(基金への拠出)を求めてもいいのではないかという発想である。委託企業にとっても、一定の社会的責任を果たすことは中長期的に自らの利益につながっていく。 もう1つは、セーフティーネットという観点から、ウーバーの運転手などのギグ・ワーカーについて、既成の法体系とは別に、「第3のカテゴリー」として考えるという方向だ。 米国では雇用者(employee)と個人事業者(independent contractor)の中間の独立労働者として「independent worker」というカテゴリーを設け、セーフティーネットの整備を図ろうという動きがみられる。 カリフォルニア州ではAB5(Assembly Bill 5)で、労働者と個人事業者の認定基準を法定化、その立証責任を発注者側に課すことによりギグ・ワーカーやフリーランスの保護を広げたが、これもそのような動きの延長上にある。 これら欧米の例は裁判を通じた判例が積み上がったものだが、わが国でも冒頭のような裁判が始まるので、今後、判例の積み重ねを参考にしながらフリーランスの社会保障を考えていく必要がある。 (了)
新型コロナウイルス感染症にかかる 助成金等の課税関係 【後編】 公認会計士・税理士 菊地 弘 前回に続き、新型コロナウイルス感染症にかかる助成金等の課税関係をコンパクトに解説する。 3 法人が受給する場合の課税関係 (1) 各事業年度の所得の金額 各事業年度の所得の金額は、その事業年度の益金の額から損金の額を控除した金額である。益金の額に算入すべき金額は、その事業年度に帰属する収益の額である。ただし別段の定めがあるものや資本等取引に係るものは除かれる(法人税法22条1項、2項、4項)。 法人が受給する助成金・給付金等は原則として、各事業年度の益金の額に算入される。そのため、新型コロナウイルス感染症の影響に関連して、国や地方公共団体から支給される助成金・給付金等を受給した場合も同様に各事業年度の益金の額に算入される。例えば、雑収入として会計上営業外収益に計上することにより、法人税の課税所得を構成する。 (2) 助成金・給付金等の収益計上時期 ① 給付原因(休業等)の事実があった日の属する事業年度に収益計上する助成金・給付金等 【例示】: 「雇用調整助成金」、「小学校休業等対応助成金」 ② 「支給決定日」の属する事業年度で収益計上する助成金・給付金等 【例示】: 「持続化給付金」、「家賃支援給付金」、「休業要請に対する支援金」 この収益計上時期について、法人税基本通達2-1-42に、(法令に基づき交付を受ける給付金等の帰属の時期)として、次のように定めている。 4 消費税の取扱い(個人・法人) 国・地方公共団体等から受ける補助金・奨励金・助成金等は資産の譲渡等の対価に該当しないため、これらについての消費税は不課税(課税対象外)となる。 この資産の譲渡等の対価性について、消費税法基本通達5-2-15に、(補助金、奨励金、助成金等)として、次のように定めている。 (連載了)
組織再編税制、グループ法人税制及びグループ通算制度の 現行法上の問題点と今後の課題 【第10回】 「受取配当金と株式譲渡損益」 公認会計士 佐藤 信祐 《第4章:受取配当金と株式譲渡損益》 1 自己株式の取得の特例 法人税法施行令23条3項では、自己株式の取得をした場合であってもみなし配当が発生しないものが列挙されており、同項8号では、被合併法人の株主等による反対株主の株式買取請求による買取りが掲げられている。 被合併法人の株主が反対株主の株式買取請求を行った場合には、合併の効力発生日(新設合併の場合は、成立の日)に被合併法人が被合併法人株式を取得したものとして取り扱われる(会社法786⑥、807⑥)。すなわち、当該買取請求に係る株式の買取りは、合併の日に遡って効力が生じるのに対し、合併の日においては金額不確定の状況にあることから、技術的に源泉所得税を徴収することができないという問題が生じる(※1)。 (※1) 『平成18年版改正税法のすべて』264頁(大蔵財務協会、平成18年)。 このような源泉所得税の問題があることから、被合併法人の株主等が反対株主の株式買取請求を行ったことにより、被合併法人が自己株式を取得したとしても、みなし配当が生じないものとされている。 これに対し、合併法人、分割法人、分割承継法人、株式交換完全親法人、株式交換完全子法人及び株式移転完全子法人の株主からの買取りについては特例が定められていない。所得税法については、国税庁文書回答事例「株式交換に反対する個人株主の株式が買取請求に基づき買い取られた場合の課税関係」において、株式交換完全子法人株式の買取価格が反対株主と株式交換完全子法人との間の協議により決定した場合は当該協議が調った日、裁判所により決定した場合は当該決定日を収入すべき時期として差し支えない旨の回答がなされている。 そのため、上記のような不都合は生じないのかもしれないが、被合併法人の株主と取扱いを変える合理的な理由はないことから、合併法人、分割法人、分割承継法人、株式交換完全親法人、株式交換完全子法人及び株式移転完全子法人の株主からの買取りについても、みなし配当の対象から除外すべきであると考えられる。 2 みなし配当と株式譲渡損の両建て 平成22年度税制改正によりグループ法人税制が導入され、令和2年度税制改正により特定関係子法人から受ける配当等の額が株式等の帳簿価額の10%を超える場合の特例が導入されたが、みなし配当と株式譲渡損の両建てがなされる事案のすべてを対象としたものではなく、みなし配当と株式譲渡損が両建てになる事案も残されている。 例えば、完全支配関係のない法人との現金交付型合併については、平成22年度税制改正により、抱き合わせ株式に対して株式譲渡損益を認識せず(法法61の2③)、当該株式譲渡損益に相当する金額を資本金等の額の加減算項目として処理することになったため(法法2十六、法令8①五)、みなし配当と株式譲渡損の両建てを防ぐことができている。 これに対し、完全支配関係のない法人の残余財産が確定した場合、その他資本剰余金を配当した場合には、みなし配当と株式譲渡損の両建てが可能になり、自己株式取得予定株式等と異なり(法法23③)、受取配当等の益金不算入の対象から除外する旨の特例も定められていないことから、法人税の負担を減少させることができる。 さらに、完全支配関係のある法人であったとしても、資本金等の額が100百万円である法人の株式を1,000百万円で買収し、1年後に900百万円を配当させたうえで、100百万円で転売した場合には、受取配当金と株式譲渡損の両建てが可能になる。このことは、900百万円の適格現物分配をさせたうえで、100百万円で転売した場合にも、同様の効果が期待できる。 平成22年度税制改正、令和2年度税制改正により、みなし配当と株式譲渡損の両建てを狙ったスキームに対応する改正がなされているが、本来であれば抜本的な見直しが必要になると思われ、第6回で解説したように、帳簿価額修正を単体納税制度に導入することは、1つの解決策であると思われる。 3 受贈益の益金不算入 (1) 基本的な取扱い 平成22年度税制改正によりグループ法人税制が導入されたことによって、法人による完全支配関係がある場合には、贈与を受けた法人において発生した受贈益は、その全額が益金の額に算入されず(法法25の2①)、贈与を行った法人において発生した寄附金は、その全額が損金の額に算入されないことになった(法法37②)。 さらに、受贈益の益金不算入の導入により、これを利用した株式の価値の移転が容易となり、子法人株式の譲渡損を作出する租税回避が考えられることから、これを防止するために、寄附修正事由が導入されている(法令9①七、法令119の3⑥、119の4①)(※2)。 (※2) 『平成22年度版改正税法のすべて』208頁(大蔵財務協会、平成22年)。 すなわち、A社とB社との間にA社による完全支配関係がある場合において、A社からB社に対して100百万円の贈与を行ったときは、受贈益の益金不算入の適用対象となる。さらに、寄附修正事由が発生しているため、寄附金に相当する部分の金額だけA社が保有するB社株式の帳簿価額に加算する必要がある。 【A社の仕訳】(単位:百万円) 【B社の仕訳】(単位:百万円) (2) 問題となる事案 これに対し、A社とB社との間にA社による完全支配関係がある場合において、①A社からB社に対する100百万円の贈与、②B社からA社に対する100百万円の配当、③A社によるB社株式の譲渡を行った場合には、以下の仕訳の通りとなる(なお、単純化のため、源泉所得税については省略している)。 【A社の仕訳】(単位:百万円) ① B社に対する贈与 ② B社からの配当 ③ 株式譲渡 【B社の仕訳】(単位:百万円) ① A社からの贈与 ② A社への配当 このように、法人(A社)による完全支配関係があることから、A社からB社に対する贈与を行っても、B社において生じる受贈益が益金の額に算入されない。さらに、B社からA社への配当については、完全支配関係のある法人間における配当であることから、配当の計算期間を通じて完全支配関係が継続していれば、負債利子を控除することなくその全額が益金不算入となる(法法23①⑤、法令22の2)。 このように、A社からB社に対する贈与により100百万円の現金預金を移転し、B社からA社に対する配当により100百万円の現金預金を移転させたことにより、B社株式譲渡損を創出することが可能になる。 もちろん、租税回避に該当する場合には、同族会社等の行為計算の否認(法法132)が適用されることもあり得るが、事業目的が税目的を上回っている場合には、租税回避として認定することが困難である。すなわち、A社からB社に対する贈与を行った時点において、B社株式を譲渡することが見込まれていない場合には、贈与を行った時点では税負担減少の意図がないことから、租税回避として認定することが困難な事案が想定される。 このような問題についても、帳簿価額修正を単体納税制度に導入することにより解決することができると考えられる。 * * * 次回では、繰越欠損金について解説を行う予定である。 (了)