ハラスメント発覚から紛争解決までの
企 業 対 応
【第5回】
「事実調査における証拠の収集と事情聴取の留意点」
弁護士 柳田 忍
ハラスメント事件のおそれが発覚した場合、会社として、まずは事実調査を行うべきである。
本稿においては、事実調査のポイントを解説する。
1 物的証拠の収集
ハラスメントの事実調査の方法には、物的証拠の収集と関係者の事情聴取を通じた人的証拠の収集とがある。
ハラスメントの物的証拠としては、被害を申告した者(以下「被害者」という)と加害者とされた者(以下「加害者」という)の間のやりとりを記したメールやLINE等のSNS、録音データ等が挙げられる。加害者から被害者宛のメール等に記載されたメッセージがハラスメントに該当する場合もあるし、被害者から加害者宛のメッセージが有力な物的証拠となる場合もある(例えば、社員間の性的関係がセクハラによるものか、単なる社内恋愛かを判断する際に、被害者から加害者へのメッセージも参考になる)。
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