公開日: 2023/06/29 (掲載号:No.525)
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これからの国際税務 【第37回】「第2の柱:軽課税所得ルール(UTPR)の見通し」

筆者: 青山 慶二

これから国際税務

【第37回】

「第2の柱:軽課税所得ルール(UTPR)の見通し」

 

千葉商科大学大学院 客員教授
青山 慶二

 

1 第2の柱についての我が国国内法の動向

2021年10月にOECD/G20から公表された経済のデジタル化対応の2つの柱から成る国際課税の新ルール合意のうち、2022年中に詳細設計の国際協議が進捗した(※1)第2の柱(15%のグローバル・ミニマム課税、租税条約面の対応も含めて「GloBE税制」とも呼称)の中核をなす所得合算ルール(IIR)について、政府は、令和5年度税制改正で国内法への導入を行った。

(※1) 2021年12月にOECDから公表された国内法のモデルルールとその実施要領を展開した2022年3月公表のコメンタリー、更には、2022年12月に公表された執行細則を指す。

多国籍企業の世界の法人税負担を、実効税率15%まで確保することを目的とするGloBE税制の中核となるIIRの国内法制化は、法人税法へ規定を追加する形で行われた。すなわち、内国法人の課税所得の範囲を定める総則規定において、各事業年度の所得に対する法人税(法5条)、連結親法人に対する法人税(同6条)に続けて、「特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対する各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」(同6条の2)を規定し、その課税標準等を定める細則は、法人税法第2編(内国法人の法人税)の第2章(同82条~82条の10)において、詳細に規定されている。

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これから国際税務

【第37回】

「第2の柱:軽課税所得ルール(UTPR)の見通し」

 

千葉商科大学大学院 客員教授
青山 慶二

 

1 第2の柱についての我が国国内法の動向

2021年10月にOECD/G20から公表された経済のデジタル化対応の2つの柱から成る国際課税の新ルール合意のうち、2022年中に詳細設計の国際協議が進捗した(※1)第2の柱(15%のグローバル・ミニマム課税、租税条約面の対応も含めて「GloBE税制」とも呼称)の中核をなす所得合算ルール(IIR)について、政府は、令和5年度税制改正で国内法への導入を行った。

(※1) 2021年12月にOECDから公表された国内法のモデルルールとその実施要領を展開した2022年3月公表のコメンタリー、更には、2022年12月に公表された執行細則を指す。

多国籍企業の世界の法人税負担を、実効税率15%まで確保することを目的とするGloBE税制の中核となるIIRの国内法制化は、法人税法へ規定を追加する形で行われた。すなわち、内国法人の課税所得の範囲を定める総則規定において、各事業年度の所得に対する法人税(法5条)、連結親法人に対する法人税(同6条)に続けて、「特定多国籍企業グループ等に属する内国法人に対する各対象会計年度の国際最低課税額に対する法人税」(同6条の2)を規定し、その課税標準等を定める細則は、法人税法第2編(内国法人の法人税)の第2章(同82条~82条の10)において、詳細に規定されている。

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連載目次

これからの国際税務

筆者紹介

青山 慶二

(あおやま・けいじ)

現 職:千葉商科大学大学院 客員教授
    21世紀政策研究所 国際租税研究主幹
専 門:国際租税

【略歴】
1971年 東京大学法学部卒業
1973年 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士)、国税庁入庁
1998年 国税庁国際業務課長
2003年 ニューヨーク大学ロースクール客員研究員
2004年 国税庁審議官(国際担当)
2006年 国税庁退職、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
2012年 早稲田大学大学院会計研究科教授(2019年3月定年退職)
2020年 千葉商科大学大学院客員教授

【主な審議会等委員】
OECD租税委員会(1998年~2000年、2004年~2006年)
経済産業省国際課税小委員会座長(2008年~2014年)
国連経済社会理事会・税に関する専門家委員会 委員(2009年~2014年)
国際租税協会(IFA)常設研究企画委員会 委員(2010年~2018年)
政府税制調査会専門家委員会 特別委員(2010年~2011年)

【近年の著書】
『米国内国歳入法第482条(移転価格)に関する財務省規則』社団法人日本租税研究協会(1995年)
『国際課税の理論と実務』(共著)有斐閣(1997年)
『改訂版国際課税の理論と課題』(共著)税務経理協会(1999年)
『租税条約の理論と実務』(共著)清文社(2008年)
『日本の税をどう見直すか』(共著)日本経済新聞出版社(2010年)
『国際課税の理論と実務73の重要課題』(共著)大蔵財務協会(2011年)
『現代税制の現状と課題(国際課税編)』(単著)新日本法規出版(2017年)

関連書籍

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