〈平成27年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「注意しておきたい最近の改正事項」
今年から適用される税制改正事項のうち、今回の年末調整に大きな影響を及ぼすものはない。しかし、今年の年末調整事務と同時並行で行われることの多い「平成28年分 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の受理に際しては、2つの改正事項が影響する。
包括的租税回避防止規定の理論と解釈 【第1回】「最近の税務訴訟の動き」
当連載の目的は、包括的租税回避防止規定の理論を解明したうえで、実務上、問題となりやすい事案について、実際に包括的租税回避防止規定が適用される可能性があるのか否かを検討することにある。なお、実際の検討としては、法人税法132条の2に規定する組織再編における包括的租税回避防止規定のみならず、法人税法132条に規定する同族会社等の行為計算の否認、その他の租税回避否認手法を含めたうえで、総合的な検討を行う予定である。
さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第2回】「武富士事件」~最判平成23年2月18日(集民236号71頁)~
今回紹介する判例は、相続税法(平成15年法律8号による改正前のもの)1条の2第2号の「住所」に関する解釈適用が問題となった事案である。同号によれば、国外財産を贈与された場合、受贈者が国内に住所を有していれば贈与税を課され、これを有していなければ贈与税を課されないこととなっていた。
国境を越えた役務の提供に係る消費税課税の見直し等と実務対応 【第4回】「リバースチャージ方式の導入」
国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち、その役務の性質又は役務の提供に係る規約条件等により、役務の提供を受ける者が事業者であることが明らかな場合、当該役務の提供を「事業者向け電気通信利用役務の提供」と位置づけ、その取引に係る消費税の納税義務を役務の提供を受ける事業者に転換した。
〈Q&A〉印紙税の取扱いをめぐる事例解説 【第17回】「請負に関する契約書①(請負契約書の単価変更)」
当社はエレベーター保守会社です。
エレベーター保守契約書(原契約)は、第2号文書(請負に関する契約書)と第7号文書(継続的取引の基本となる契約書)に該当し、通則3のイの規定により第2号文書(請負に関する契約書)に該当します。その後、月額保守料を変更するために覚書を作成した場合、①~⑧の覚書は何号文書に該当しますか。なお、覚書には原契約の名称、契約年月日等の原契約書を特定できる事項の記載があります。
改正電子帳簿保存法と企業実務 【第4回】「国税関係帳簿書類のデータ保存の承認申請(2)」
電帳法では、国税関係帳簿のデータを作成するシステムの要件として訂正や削除等の履歴を残すシステムでなければならないとされている。なぜならば紙の帳簿と異なり、データで作成された帳簿は、修正した形跡を残すことなく容易に訂正や削除が可能であるからである。
帳簿のデータを紙の保存に代えて保存するには、この要件を満たすシステムにより、決められた手順通りに入力された帳簿のデータを法定保存期間中、見読可能な状態で保存する必要がある。
〔平成27年分〕相続税の申告実務の留意点 【第4回】「結婚・子育て資金の贈与税非課税特例・国外転出時課税」~平成27年度税制改正事項~
平成27年度税制改正により、結婚・子育て資金の贈与に係る贈与税の非課税特例制度(措法70の2の3)が創設され、平成27年4月1日から適用開始となっている。
住宅取得等資金の贈与税非課税特例(措法70の2)、教育資金の贈与税非課税特例(措法70の2の2)を適用した贈与については、相続税の課税対象とはならないが、結婚・子育て資金の贈与税非課税特例を適用した贈与については、相続税の課税対象となる可能性がある。
これだけ知っておこう!『インド税制』 【第4回】「インドの物品税」
インドの物品税とは、インド国内での「製造」に対して課せられる間接税の1つである。
基本税率は本年2015年の予算案改正により教育目的税も含めて12.5%と改正された。
筆者がインドで仕事を始めた当時は10%であり、その後12%、そして今回12.5%となったことを考えると、ずいぶんと企業の負担は重くなったというのが正直な実感である。
[子会社不祥事を未然に防ぐ]グループ企業における内部統制システムの再構築とリスクアプローチ 【第2回】「周辺エリアで生じやすい不祥事」~子会社で不祥事が生じやすいのには、様々な要因がある~
企業不祥事は、会社資産の横領・背任といった財産犯罪、財務報告の虚偽記載(粉飾決算、脱税や違法な租税回避行為)、贈賄やカルテル・談合等の違法行為、ハラスメント行為や残業代不払い等の労働問題、知的財産や会社情報の漏えい問題、安全・環境に関する問題等様々存在する。本稿では、筆者の経験上子会社の不祥事の発生につき、特に親会社の不祥事とは異なる発生要因をご紹介したい。
海外先進事例で学ぶ「統合報告」~「情報の結合性」と「簡潔性」を達成するために~ 【紹介事例③】「ARM Holdings plc社」(ARM「Strategic Report 2014」)
「企業が長期にわたり価値をどのように創造してゆくのか」。企業の長期的な価値創造を株主や債権者をはじめとする多様なステークホルダーに分かりやすく示すことが統合報告書の主たる目的である。今回紹介するARM社の2014年戦略報告書は、この将来の価値創造の道筋である企業戦略を、同社が直面している主要なリスク及びその対処と関連付けながら記載している点が特徴的といえる。