公開日: 2015/10/29 (掲載号:No.142)
文字サイズ

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例] 【第2回】「武富士事件」~最判平成23年2月18日(集民236号71頁)~

筆者: 菊田 雅裕

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第2回】

「武富士事件」

~最判平成23年2月18日(集民236号71頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

武富士事件

最判平成23年2月18日(集民236号71頁)

《概要》

今回紹介する判例は、相続税法(平成15年法律8号による改正前のもの)1条の2第2号の「住所」に関する解釈適用が問題となった事案である。同号によれば、国外財産を贈与された場合、受贈者が国内に住所を有していれば贈与税を課され、これを有していなければ贈与税を課されないこととなっていた。

本件では、大手消費者金融(A社)の創業者(B)の子(X)が、香港赴任中に、B及びBの妻(C)から、オランダ法人(D社(A社の子会社))の出資持分の贈与を受けた。このXの「住所」が問題となり、結論としては、「住所」は国内にはないと判断された。

《関係図》

 B・C              X(香港赴任中)              ①D社出資持分贈与                           ②贈与税の決定処分                            無申告加算税の賦課決定処分                          Y税務署長

▷争点

贈与日において、Xが日本国内に住所を有していたか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

さっと読める!

実務必須の

[重要税務判例]

【第2回】

「武富士事件」

~最判平成23年2月18日(集民236号71頁)~

 

弁護士 菊田 雅裕

 

-本連載の趣旨-

本連載は、税務分野の重要判例の要旨を、できるだけ簡単な形でご紹介するものである。

税務争訟は、請求内容や主張立証等が細かく煩雑となりやすい類型の争訟であり、事件の正確な理解のためには、処分経過の把握や判決文の十分な読み込み等が必要となってくるが、若手税理士をはじめとする多忙な読者諸氏が、日常業務をこなしつつ判例研究の時間を確保することは、容易なことではないであろう。他方、これから税務重要判例を知識として蓄積していこうとする者にとっては、要点の把握すら困難な事件も数多い。

本連載では、解説のポイントを絞り、時には大胆な要約や言い換え等も行って、上記のような読者の方に、重要判例の概要を素早く把握していただこうと考えている。

このような企画趣旨から、本連載における解説は、自ずと必要最低限のものとなり、基礎知識の説明、判例の繊細なニュアンスの紹介、多角的な分析、主要な争点以外の判断事項の紹介等を省略することも多くなると思われるが、ご容赦をいただきたい。

なお、より深い内容については、できるだけ論末において他稿をご紹介するので、そちらをご参照いただきたい。

▷今回の題材

武富士事件

最判平成23年2月18日(集民236号71頁)

《概要》

今回紹介する判例は、相続税法(平成15年法律8号による改正前のもの)1条の2第2号の「住所」に関する解釈適用が問題となった事案である。同号によれば、国外財産を贈与された場合、受贈者が国内に住所を有していれば贈与税を課され、これを有していなければ贈与税を課されないこととなっていた。

本件では、大手消費者金融(A社)の創業者(B)の子(X)が、香港赴任中に、B及びBの妻(C)から、オランダ法人(D社(A社の子会社))の出資持分の贈与を受けた。このXの「住所」が問題となり、結論としては、「住所」は国内にはないと判断された。

《関係図》

 B・C              X(香港赴任中)              ①D社出資持分贈与                           ②贈与税の決定処分                            無申告加算税の賦課決定処分                          Y税務署長

▷争点

贈与日において、Xが日本国内に住所を有していたか。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。

プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。

連載目次

さっと読める! 実務必須の[重要税務判例]

連載が単行本になりました!!
くわしくは[こちら

第1回~第80回

第81回~

筆者紹介

菊田 雅裕

(きくた・まさひろ)

弁護士
横浜よつば法律税務事務所

【略歴】
・平成13年 東京大学法学部卒業
・平成16年 司法試験合格
・平成18年 弁護士登録
・平成23~25年 福岡国税不服審判所 国税審判官
・平成25~26年 東京国税不服審判所 国税審判官

【著書】
さっと読める!実務必須の重要税務判例70』(清文社、2021年)

関連書籍

事例で解説 法人税の損金経理

税理士 安部和彦 著

〇×判定ですぐわかる資産税の実務

公益財団法人 納税協会連合会 編集部 編

もめない相続 困らない相続税

税理士 坪多晶子 著 弁護士 坪多聡美 著

税法基本判例 Ⅰ

谷口勢津夫 著

STEP式 相続税申告書の作成手順

税理士 石原健次 監修 税理士 松田昭久 共著 税理士 榮村聡二 共著 税理士 上西由香 共著 税理士 西田 豊 共著

新・くらしの税金百科 2023→2024

公益財団法人 納税協会連合会 編

社長!税務調査の事前対策してますか

公認会計士・税理士 清原裕平 著

中小企業の運営・承継における理論と実務 ファミリービジネスは日本を救う

大阪弁護士会・日本公認会計士協会近畿会・ファミリービジネス研究会 著

相続税申告と一体で取り組む 遺産整理業務 実践ガイド

税理士 山本和義 監修 税理士 秋山遼太 共著 税理士 荒田康夫 共著 税理士 野田暢之 共著 税理士 藤原誉夫 共著 税理士 松井佑介 共著 税理士 三角拓也 共著 税理士法人FP総合研究所 藤田博久 共著 弁護士 東 信吾 共著

精選Q&A 相続税・贈与税全書〔相続基本編〕

税理士法人チェスター 編著 CST法律事務所 編著

図解でわかる 不動産オーナーの相続対策

税理士 今仲 清 著税理士 坪多晶子 著

基礎から学ぶ相続法

弁護士 木村浩之 著

はじめての国際相続

税理士法人ゆいアドバイザーズ 中山史子 著

記事検索

メルマガ

メールマガジン購読をご希望の方は以下に登録してください。

#
#