相続税の実務問答 【第96回】「相続時精算課税選択届出書の提出(贈与税の申告義務がない場合)」
私は、毎年、6月の誕生日に父から100万円の現金の贈与を受けており、今年も6月に父から100万円の贈与を受けました。
父からの贈与金額はいわゆる暦年課税の基礎控除額である110万円以下なので、これまで贈与税の申告はしていません。相続時精算課税を選択すると、父から贈与により取得した財産の価額は、その贈与が何年前のものであったとしても、父に相続が開始した際に、相続税の課税価格に加算しなければならないとのことでしたので、これまで相続時精算課税の選択をしませんでした。
令和6年からは、相続時精算課税にも110万円の基礎控除を適用することができることとなり、しかも、贈与者に相続が開始した場合にも基礎控除額までの金額については、相続税の課税価格に加算する必要がなくなったと聞きました。
令和6年中に他に財産の贈与を受ける見込みはないので、将来の相続税をも考慮し、相続時精算課税を選択したいと思っています。相続時精算課税に係る基礎控除額110万円を適用すれば、贈与税は発生しませんので、昨年までと同様に贈与税の申告をする必要はないということでしょうか。その場合、どのような手続きを行えばよいのでしょうか。
暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第45回】
暗号資産の取引に係る所得を申告に含めていなかったとして、所得税等と過少申告加算税の課税処分を受けた納税者が、取引所を介していない個人間取引や海外取引所における取引において生じた損失があると主張して処分を争った国税不服審判所令和5年6月15日裁決(裁決事例集未登載・高裁(所)令4第13号)を確認する。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第48回】「日本圧着端子事件(高判平22.1.27)(その1)」~国税通則法77条1項及び2項、104条2項、租税特別措置法66条の4、同施行令39条の12~
南税務署長が平成11年5月31日付けでした第一次更正処分について、納税者は不服申立期間に不服申立てをしなかった。さらに南税務署長は、平成12年6月28日付けで下記各事業年度についての第二次更正処分及びこれに伴う過少申告加算税の賦課決定をした。納税者はこれを不服として、平成16年7月5日付けの国税不服審判所の裁決(※1)及び大阪地方裁判所の一審判決(※2)を経て、大阪高等裁判所に控訴したものである。
〈経理部が知っておきたい〉炭素と会計の基礎知識 【第3回】「温室効果ガスの排出量はどのように算定するの?」
温室効果ガス排出量の算定をする前提として、温室効果ガスによって地球が温まるしくみを知っておきましょう。
《速報解説》 「グループ監査における特別な考慮事項」の公表に伴い、会計士協会が「監査ツール(実務ガイダンス)」を見直す改正
2024年6月17日、日本公認会計士協会は、「監査基準報告書300実務ガイダンス第1号「監査ツール(実務ガイダンス)」の改正」を公表した。
《速報解説》 金融庁、「財務諸表等規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表~GM課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱いを受けて規定~
2024年6月14日、金融庁は、「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表し、意見募集を行っている。
《速報解説》 国税庁、令和6年分の予定納税減額申請書に関し、定額減税の追加のみを理由とする申請書の簡易的な記載方法を示す
国税庁は6月11日に「令和6年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月(11月)減額申請書」及び「令和6年分所得税の予定納税における定額減税の取扱いについて」を公表した。
《速報解説》 令和6年能登半島地震に係る国税の申告・納付等の延長期限は一部地域を除き、令和6年7月31日
既報のとおり、国税庁は、令和6年能登半島地震の発生を受け、石川県及び富山県に納税地のある個人・法人を対象とした令和6年1月1日以降に到来する国税の申告・納付等の期限を延長する措置を公表していた。
酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第132回】「消費税法上の実質行為者課税の原則(その5)」
これまで見てきたとおり、所得税法や法人税法における実質所得者課税の原則としては、原則的には法律的帰属説、例外的には経済的帰属説を採用する信託税制という建付けであった。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第27回】「国税通則法第7章の2」-質問検査総説-
国税通則法第7章の2は平成23年度[11月]税制改正における同法の改正によって創設されたが、その創設は、「昭和36年の国税通則法制定に関する答申では、質問検査権を統一的に同法に盛り込むべきとしたが、質問検査の内容や態様がかなり相違するとして見送られた経緯がある。」(日本弁護士会連合会日弁連税制委員会編『国税通則法コンメンタール 税務調査手続編』(日本法令・2023年)148頁[舘彰男執筆])といわれる、税制調査会「国税通則法の制定に関する答申(税制調査会第二次答申)」(昭和36年7月)の答申内容の単なる「復活」ではない。
