〈事例で学ぶ〉
法人税申告書の書き方
【第33回】
「別表6(19) 特定の地域又は地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(19)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」
公認会計士・税理士
菊地 康夫
Ⅰ はじめに
本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
第31回目からは、平成29年度をもって終了する従来の雇用促進税制(地方拠点強化税制における雇用促進税制へ改組)、及び平成30年度の税制改正により見直しが行われたことによりその様式も改正された、地方拠点強化税制における雇用促進税制の別表をあらためて採り上げており(※)、改正点を踏まえながらその適用パターンごとに分けて順次解説している。
(※) 改正前の様式については【第10回】及び【第11回】を参照。
パターン①:平成30年4月1日以前に開始し、平成30年4月1日以後終了する事業年度の場合で従来の雇用促進税制の適用のみを受ける場合・・・「別表6(19) 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」⇒【第31回】参照
パターン②:平成30年4月1日以前に開始し、平成30年4月1日以後終了する事業年度の場合で、従来の雇用促進税制とあわせて地方拠点強化税制における雇用促進税制の上乗せ適用を受ける場合・・・「別表6(19) 特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」⇒【第32回】参照
パターン③:平成30年4月1日以後に開始する事業年度の場合で、地方拠点強化税制における雇用促進税制の適用を受ける場合・・・「別表6(19) 特定の地域又は地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」⇒【第33回】(本稿)参照
Ⅱ 概要
この別表は、青色申告書を提出する法人が租税特別措置法第42条の12第1項もしくは第2項(特定の地域又は地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)の規定の適用を受ける場合に作成する。
このうち、従来の雇用促進税制と、「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を実施する法人の上乗せ措置については、前回と前々回で解説したところであるが、今回は平成30年4月1日以後開始する事業年度から適用となる改正後の地方拠点強化税制における雇用促進税制について、その改正点を中心に解説する。
すなわち平成30年度改正では、従来の雇用促進税制のうち同意雇用開発促進地域に係る措置の廃止に伴い、同制度のうち地方事業所基準雇用者数に係る措置及び地方事業所特別基準雇用者数に係る措置を地方活力向上地域等において雇用者の数が増加した場合の税額控除制度に改組するとともに、次の見直しを行い、その適用期限が2年延長された。
(1) 「増加雇用者数が5人以上(中小企業者等については、2人以上)であること」との要件が、「地方事業所基準雇用者数のうち、有期雇用又はパートタイムである新規雇用者を除いた数が2人以上であること」とされた。
(2) 「給与等支給額が比較給与等支給額以上であること」との要件における比較給与等支給額について、その計算の基礎となる増加雇用者数に応じた給与等支給額に乗ずる割合が20%(改正前:30%)に引き下げられた。
(3) 地方事業所基準雇用者数に係る措置における地方事業所税額控除限度額が次の合計額とされた。
① 30万円(又は60万円)(※)×地方事業所基準雇用者数(増加雇用者が上限)のうち特定新規雇用者数
② 20万円(又は50万円)(※)×{(イ)の数+(ロ)の数}
(イ) 新規雇用者総数-特定新規雇用者数(新規雇用者総数の40%が上限)
(ロ) 地方事業所基準雇用者数-新規雇用者総数
(※) 基準雇用者数を適用年度開始の日の前日における雇用者(当期末において高年齢雇用者に該当する者を除く)の数で除した数(基準雇用者割合)が8%以上(なお、移転型事業にあたっては5%以上)であることとの要件を満たす場合には、それぞれ括弧書きの上乗せ金額となる。
なお、地方事業所基準雇用者数に係る措置については、地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額特別控除制度との選択適用となるとともに、控除税額は当期の法人税額の20%(改正前:30%)が上限とされた。
(4) 地方事業所特別基準雇用者数に係る措置における地方事業所特別税額控除限度額について、改正後の地域再生法の準地方活力向上地域の特定業務施設に係る金額が20万円(原則:30万円)にその特定業務施設に係る地方事業所特別基準雇用者数を乗じて計算した金額とされた。
(5) 地域再生法等の改正及び運用の適正化を前提に、地方活力向上地域特定業務施設整備計画について、準地方活力向上地域とされた近畿圏の中心部及び中部圏の中心部を移転型事業の対象地域とする等の見直しがされた。
なお、平成30年4月1日前に地域再生法第17条の2第3項の認定を受けた法人が、同日以後に開始する適用年度において、①基準雇用者数が5人以上(中小企業者等である場合には2人以上)であることにつき証明されたこと、②給与等支給額が比較給与等支給額以上であること、の2つの要件を満たす場合には、改正後の適用要件を満たすこととし、改正後の措置を以下のとおりとした上で適用できる(平成30年改正法附則第91条第1項の経過措置)。
(イ) 1人当たり税額控除額を上乗せできる措置の要件について、基準雇用者割合が10%以上である場合とする。
(ロ) 租税特別措置法第42条の11の3(地方活力向上地域等において特定建物等を取得した場合の特別償却又は法人税額の特別控除)との重複適用ができる。
◇ ◆ 記載上のポイント ◆ ◇
次の順序で記載すると効率的である。
なお、平成30年4月1日以後に開始する事業年度の場合は、別表6(19)〔7欄〕~〔14欄〕及び〔17欄〕~〔25欄〕と、別表6(19)付表〔6欄〕~〔11欄〕の記載は不要となる。
↓
別表6(19)〔1欄〕~〔3欄〕
⇒ 適用可否の判定〔3欄〕≧0.1
↓
別表6(19)付表〔20欄〕~〔30欄〕
↓
別表6(19)〔4欄〕~〔5欄〕
⇒適用可否の判定(〔4欄〕≧〔5欄〕)
↓
別表6(19)〔6欄〕、〔15欄〕~〔16欄〕
↓
別表6(19)付表〔12欄〕~〔19欄〕
↓
別表6(19)〔26欄〕~〔38欄〕
↓
別表6(19)〔39欄〕~〔49欄〕
▼ 注意!▼
なお、別表6(19)及びその付表については、国税庁からは「平成30年4月1日以後終了する事業年度分」と「平成30年6月1日以後終了する事業年度分」の2種類が用意されている。
これは後者が、地域再生法の一部を改正する法律が平成30年6月1日に公布・施行されたことに対応したタイトルや裏面の文言等の軽微な改正をしたことによるもので、様式・内容は両者とも一緒である。したがって、改正前の様式を使用しても支障はない。
Ⅲ 「別表6(19)」「別表6(19)付表」の書き方と留意点
以下の解説では、【第31回】・【第32回】で使用した事例の数値をそのまま用いており、解説内容が重複する部分については省略しているので、必要に応じて【第31回】・【第32回】も併せて参照していただきたい。
(1) 設例
▷ 会社名:(株)プロネット工業
▷ 事業年度:平成30年4月1日~平成31年3月31日
▷ 資本金額:20,000,000円(中小企業者に該当)
本社は東京にあるが、効率的に研究開発成果を量産に結びつけるため、平成30年4月5日に地域再生法に規定する地方活力向上地域特定業務施設整備計画(移転型)の認定を受け、主力生産工場がある地方のA市に研究所(特定業務施設に該当)を新たに建設し、東京本社から研究開発機能を移転した。
▷ 雇用者に対する給与等支給額
当期総額:868,800,000円
そのうち当期末の高年齢雇用者に係る金額:8,800,000円
前期総額:778,400,000円(H29.4.1~H30.3.31)
そのうち当期末の高年齢雇用者に係る金額:8,400,000円
▷ 法人全体の雇用者の数
当期末:175人
前期末:157人
そのうち当期末の高年齢雇用者の数:2人
▷ そのうち特定業務施設(A市研究所)の雇用者の数
当期末:15人
そのうち8人は東京より異動、7人は現地採用(内、4人は特定新規雇用者に該当)
前期末:0人
そのうち当期末の高年齢雇用者の数:0人
▷ 税額控除前の法人税額:59,750,000円
(2) 今回の別表が適用される事業年度
平成30年4月1日以後開始する事業年度。
(3) 別表の記載例
※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。
(4) 別表の各記載欄の説明
◆別表6(19)
〔1欄〕~〔6欄〕【第31回】の〈その1〉の解説と同じため省略。
〔7欄〕~〔14欄〕記載不要のため省略。
〔認定地方活力向上地域等特定業務施設整備計画に関する事項〕
〔認定年月日〕欄
地域再生法第17条の2第1項に規定する地方活力向上地域特定業務施設整備計画の同項に規定する認定都道府県知事による認定年月日を記入(変更がある場合はその変更認定年月日を括弧内に記入)。事例では「30・4・5」と記入。
〔事業実施地域〕欄
地域再生法第17条の2第3項の認定を受けた同条第1項に規定する地方活力向上地域特定業務施設整備計画の実施地域を記入。事例では「A市」と記入。
〔平成30年改正法附則第91条第1項の規定の適用の有無〕欄
平成30年4月1日以後に開始する事業年度の場合で、平成30年3月31日までに整備計画の認定を受けている場合には、平成30年改正法附則第91条第1項の規定の経過措置の適用の有無を該当する方に〇印を付す。事例では経過措置の適用を受けないため、「無」に〇印を付す。
〔地方事業所基準雇用者数に係る当期税額控除額の計算〕
〔15欄〕地方事業所基準雇用者数
平成30年4月1日以後に開始した事業年度の場合は、別表6(19)付表の〔5欄〕の⑤欄の数を記載(マイナスの場合は「0」)。申告書欄内の文言は「「5の⑦」又は」を消す。事例では、「15」を記入。
〔16欄〕調整地方事業所基準雇用者数
〔2欄〕と〔15欄〕の数を比較して少ない方を記載。事例では、20>15より「15」を記入。
〔17欄〕~〔25欄〕記載不要のため省略。
〔26欄〕特定新規雇用者基礎数
〔16欄〕と別表6(19)付表の〔12欄〕の数を比較して少ない方を記載。事例では、15>4より「4」を記入。
〔27欄〕対象移転型特定新規雇用者数
〔26欄〕と別表6(19)付表の〔13欄〕の数を比較して少ない方を記載。事例では、4≧4より「4」を記入。
〔28欄〕対象非特定新規雇用者数及び非新規基準雇用者数の合計
別表6(19)付表の〔16欄〕+〔18欄〕の計算結果を記載。事例では、2+8の計算結果である「10」を記入。
〔29欄〕対象移転型非特定新規雇用者数及び対象移転型非新規基準雇用者数の合計
別表6(19)付表の〔17欄〕+〔19欄〕の計算結果を記載。事例では、2+8の計算結果である「10」を記入。
〔30欄〕(3)≧8%若しくは(3)≧10%又は(1)=0の場合
平成30年改正法附則第91条第1項の規定の経過措置の適用を受けない場合において、〔3欄〕が8%以上又は〔1欄〕が0の場合には、〔26欄〕×600,000+〔28欄〕×500,000の計算結果を記載。申告書欄内の文言は、「若しくは(3)≧10%」を消す。
事例では、〔3欄〕が8%以上なので、4×600,000+10×500,000の計算結果である「7,400,000」を記入。
▼ 注意!▼
平成30年改正法附則第91条第1項の規定の経過措置の適用を受ける場合において、〔3欄〕が10%以上又は〔1欄〕が0の場合には、〔26欄〕×600,000+〔28欄〕×500,000の計算結果を記載。この場合の申告書欄内の文言は、「(3)≧8%若しくは」を消す。
〔31欄〕5%≦(3)<8%の場合
〔3欄〕が5%以上8%未満の場合には、(〔26欄〕+〔27欄〕)×300,000+(〔28欄〕+〔29欄〕×1.5)×200,000の計算結果を記載。事例では、〔3欄〕が8%以上なので空欄のまま。
〔32欄〕(3)<5%又は(3)<10%の場合
平成30年改正法附則第91条第1項の規定の経過措置の適用を受けない場合において、〔3欄〕が5%未満の場合には、〔26欄〕×300,000+〔28欄〕×200,000の計算結果を記載。申告書欄内の文言は、「又は(3)<10%」を消す。
事例では、〔3欄〕が5%以上なので空欄のまま。
▼ 注意!▼
平成30年改正法附則第91条第1項の規定の経過措置の適用を受ける場合において、〔3欄〕が10%未満の場合には、〔26欄〕×300,000+〔28欄〕×200,000の計算結果を記載。この場合の申告書欄内の文言は、「(3)<5%又は」を消す。
〔33欄〕税額控除限度額
〔30欄〕、〔31欄〕又は〔32欄〕に記載した金額を記載。ただし、〔4欄〕<〔5欄〕の場合は「0」と記載する。事例では「7,400,000」と記入。
〔34欄〕当期税額基準額
〔6欄〕×20/100の計算結果を記載(少数点以下切捨)。事例では、59,750,000×20/100の計算結果である「11,950,000」を記入。
〔35欄〕当期税額控除可能額
〔33欄〕と〔34欄〕のうち少ない金額を記載。なお、平成30年改正法附則第91条第1項の規定の経過措置の適用が「有」の場合において、「地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の法人税額の特別控除」の規定の適用を受ける場合は、〔34欄〕から別表6(18)の〔16欄〕の金額を差し引いて比較する。事例では、経過措置の適用は受けないので、7,400,000<11,950,000より、「7,400,000」を記入。
〔36欄〕当期税額控除可能額
〔25欄〕又は〔35欄〕に記載された金額を記載。事例では、「7,400,000」を記入。
〔37欄〕調整前法人税額超過構成額
租税特別措置法第42条の13(法人税の額から控除される特別控除額の特例)の規定の適用を受ける場合には、別表6(28)の〔7の⑮欄〕の金額を記載。事例では当該特例を受けないものとして空欄とする。
〔38欄〕当期税額控除額
〔36欄〕-〔37欄〕の計算結果を記載(マイナスの場合は「0」)。事例では7,400,000-0の計算結果である「7,400,000」を記入。
〔地方事業所特別基準雇用者数に係る当期税額控除額の計算〕
〔基準年度〕欄
措置法第42条の12第1項の規定の適用を受ける事業年度(又は受けた事業年度)を記載。事例では「30・4・1」「31・3・31」と記入。
〔39欄〕~〔42欄〕地方事業所特別基準雇用者数の基礎となる地方事業所基準雇用者数
適用年度の各欄は、地方活力向上地域等特定業務施設整備計画の認定を受けた日以後に終了する各事業年度ごとに、別表6(19)付表の〔5欄〕の⑧欄に記載される人数を記載する。なお、内書は移転型認定を受けた移転先が、改正地域再生法5条4項5号ロに規定する準地方活力向上地域である場合に使用することになるので記載を要しない。
事例では、当期において認定を受けているので、「当期分」の欄のみに、「15」と記入する。
▼ 注意!▼
付表を作成していない年度がある場合は、当該欄に準じて計算した人数を記載することになるが、その際にはその計算に関する明細を別紙記載して添付することになっている。
〔43欄〕地方事業所特別基準雇用者数
〔39欄〕+〔40欄〕+〔41欄〕+〔42欄〕の計算結果を記載(マイナスの場合は「0」)。事例では、各欄の合計額である「15」を記入。
〔44欄〕地方事業所特別税額控除限度額
(〔43欄〕-〔43欄〕の内書)×300,000+〔43欄〕の内書×200,000の計算結果を記載。事例では、内書がないので15×300,000の計算結果である「4,500,000」を記入。
〔45欄〕差引当期税額基準額残額
平成30年4月1日以後に開始した事業年度の場合には、〔34欄〕-〔35欄〕の計算結果を記載。申告書欄内の文言は、「((24)-(25))又は」を消す。
なお、平成30年改正法附則第91条第1項の規定の経過措置の適用が「有」の場合において、「地方活力向上地域において特定建物等を取得した場合の法人税額の特別控除」の規定の適用を受ける場合は、〔34欄〕から別表6(18)の〔16欄〕の金額と〔35欄〕の金額を差し引いて計算する。事例では、経過措置の適用は受けないので、11,950,000-7,400,000の計算結果である「4,550,000」を記入。
〔46欄〕当期税額控除可能額
〔44欄〕と〔45欄〕のうち少ない金額を記載。事例では、4,500,000<4,550,000より、「4,500,000」を記入。
〔47欄〕調整前法人税額超過構成額
租税特別措置法第42条の13(法人税の額から控除される特別控除額の特例)の規定の適用を受ける場合には、別表6(28)の〔7の⑯欄〕の金額を記載。事例では当該特例を受けないものとして空欄とする。
〔48欄〕当期税額控除額
〔46欄〕-〔47欄〕の計算結果を記載(マイナスの場合は「0」)。事例では4,500,000-0の計算結果である「4,500,000」を記入。
〔49欄〕法人税額の特別控除額
〔14欄〕+〔38欄〕+〔48欄〕の計算結果を記載。事例では7,400,000+4,500,000の計算結果である「11,900,000」を記入。
◆別表6(19)付表
〔基準雇用者数等の計算に関する明細〕
〔1欄〕から〔5欄〕まで、「① 法人全体」「⑤ 特定業務施設」「⑦ 差引」「⑧ ⑤のうち移転型計画に係る特定業務施設」の各欄の該当する人数を記載。
なお、②~④及び⑥の各欄は該当がないので記載を要しない。
〔1欄〕当期の終了の日における雇用者の数
当期の終了の日における雇用者の人数を記載。事例では①欄に「175」、⑤欄に特定業務施設の人数である「15」を記入し、⑦欄には(⑤欄-⑥欄)の計算結果である「15」を記入。⑧欄は移転型計画に係る特定業務施設の人数である「15」を記入。
〔2欄〕(1)のうち新規雇用者の数
〔1欄〕のうち、新規雇用者の人数を記載。事例では⑤欄に特定業務施設の人数である「7」を記入し、かつ⑤欄の内書には特定新規雇用者の人数である「4」を記入。⑦欄には(⑤欄-⑥欄)の計算結果である「7」と内書に「4」を記入。⑧欄は移転型計画に係る特定業務施設の人数である「7」と内書に「4」を記入。
〔3欄〕当期の開始の日の前日における雇用者の数
当期の開始の日の前日における雇用者の人数を記載。事例では①欄に「157」、⑤欄に特定業務施設の人数である「0」を記入し、⑦欄には(⑤欄-⑥欄)の計算結果である「0」を記入。⑧欄は移転型計画に係る特定業務施設の人数である「0」を記入。
〔4欄〕(3)のうち当期の終了の日において高年齢雇用者に該当する者の数
〔3欄〕のうち当期の終了の日において高年齢雇用者に該当する者の人数を記載。事例では①欄に「2」、⑤欄に特定業務施設の人数である「0」を記入し、⑦欄には(⑤欄-⑥欄)の計算結果である「0」を記入。⑧欄は移転型計画に係る特定業務施設の人数である「0」を記入。
〔5欄〕基準雇用者数
〔1欄〕-(〔3欄〕-〔4欄〕)の計算結果を記載。事例では、①欄に175-(157-2)の計算結果である「20」、⑤欄、⑦欄及び⑧欄に15-(0-0)の計算結果である「15」を記入。
〔6欄〕~〔11欄〕記載不要のため省略。
〔12欄〕特定新規雇用者数
〔2欄〕の⑤欄の内書の人数を記載。事例では「4」を記入。
〔13欄〕移転型特定新規雇用者数
〔2欄〕の⑧欄の内書の人数を記載。事例では「4」を記入。
〔14欄〕調整新規雇用者総数
〔2欄〕の⑤欄の人数と別表6(19)の〔16欄〕の人数を比較して少ない方を記載。事例では、7<15より「7」を記入。
〔15欄〕調整新規雇用者総数の40%相当数
〔14欄〕の数に40/100の割合を乗じた数を記載(少数点以下切捨)。事例では、7×40/100の計算結果である「2」を記入。
〔16欄〕対象非特定新規雇用者数
(〔14欄〕-〔12欄〕)の数と〔15欄〕の数を比較して少ない方を記載(マイナスの場合は「0」)。事例では、7-4>2より「2」を記入。
〔17欄〕対象移転型非特定新規雇用者数
(〔2欄〕の⑧欄-〔13欄〕)の数と〔16欄〕の数を比較して少ない方を記載(マイナスの場合は「0」)。事例では、7-4>2より「2」を記入。
〔18欄〕非新規基準雇用者数
別表6(19)の〔16欄〕-付表〔14欄〕の計算結果を記載。事例では、15-7の計算結果である「8」を記入。
〔19欄〕対象移転型非新規基準雇用者数
(〔5欄〕の⑧欄-〔2欄〕の⑧欄)の数と〔18欄〕の数を比較して少ない方を記載(マイナスの場合は「0」)。事例では、15-7≧8より「8」を記入。
〔20欄〕~〔22欄〕【第31回】の〈その1〉の解説と同じため省略。
〔比較給与等支給額の計算に関する明細〕
〔23欄〕事業年度又は連結事業年度
適用を受ける事業年度の開始の日前1年以内に開始した各事業年度を記載。事例では、1事業年度しかないので、上の段に「29・4・1」「30・3・31」と記入。
〔24欄〕~〔29欄〕【第31回】の〈その1〉の解説と同じため省略。
〔30欄〕比較給与等支給額
〔29欄〕に記載した金額に別表6(19)の〔3欄〕の割合と20/100を乗じた金額に〔29欄〕の金額を加算した金額を記載(少数点以下切捨)。
また、申告書欄内計算式の分数の分子は、「30又は」を消して計算する(なお、当期が平成30年4月1日前に開始する事業年度である場合には「又は20」を消して計算することになる)。
事例では、770,000,000+770,000,000×0.129032258×20/100の計算結果である「789,870,967」を記入。
(了)
「〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方」は、毎月最終週に掲載されます。