公開日: 2016/10/27 (掲載号:No.191)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第31回】「圧縮記帳」

筆者: 西田 友洋

【STEP2】交換取引

(1) 会計処理

交換取引の圧縮記帳の税務処理では、原則、交換取得資産の取得原価から圧縮損相当額を直接控除する(直接減額方式)。また、交換取得資産の取得価額について、圧縮損相当額を直接控除しないで、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額とその交換取得資産の取得のために要した経費との合計額に相当する金額を下らない金額を交換取得資産の取得価額とすることも認められている(※)

会計上、直接減額方式は、取得原価を減額するため、取得原価主義の考え方に照らして適切ではない。

そして、会計上は、交換取得資産の取得価額を、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額と取得のために要した経費の合計額とする処理((※)と同様の会計処理)が適切であると考えられている(43号Ⅱ1)。

したがって、自己所有の固定資産と交換に同一種類・同一用途の固定資産を取得したときは、資産間の連続性又は同一性が認められるので、譲渡資産の帳簿価額を取得資産の取得価額として処理した場合((※)と同様の会計処理とした場合)、監査上妥当なものとして取り扱うとされている(43号一1、Ⅲ1)。

(2) 表示

交換取引の場合、譲渡資産の帳簿価額がそのまま取得資産の取得価額とされるため、圧縮損及び譲渡益に関する損益表示の問題は生じない(43号Ⅲ3)。

《設例1》

交換により、同一種類・同一用途の固定資産を取得した。

交換取得資産の取得価額について、直接控除しないで、譲渡資産の譲渡直前の帳簿価額とその交換取得資産の取得のために要した経費との合計額に相当する金額を下らない金額を交換取得資産の取得価額とする。

  • 譲渡固定資産の帳簿価額 ・・・ 12,000
  • 取得固定資産の時価 ・・・ 15,000

【交換時の会計処理】

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第31回】

「圧縮記帳」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、圧縮記帳の会計処理について解説する。なお、圧縮記帳の税務上の要件や圧縮限度額の算定等については、解説していない。

法人税法上及び租税特別措置法上、主な圧縮記帳として以下が規定されている。

《法人税法上の圧縮記帳》

  • 国庫補助金等で取得した固定資産等
  • 工事負担金で取得した固定資産等
  • 保険金等で取得した固定資産等
  • 交換により取得した資産

《租税特別措置法上の圧縮記帳》

  • 収容等に伴い取得した資産
  • 特定の資産の買換え等により取得した資産

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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