Ⅷ インボイス制度
2023年10月1日からインボイス制度が開始され、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れにおける「消費税額とみなされない金額(仕入税額控除できない金額)(※)」の会計処理については、明確な規定がない。
(※) 2023年10月から2026年9月までは、適格請求書発行事業者以外の者からの課税仕入れであっても、80%まで仕入税額控除できる。2026年10月から2029年9月までは、50%まで仕入税額控除できる。
ただし、日本公認会計士協会「消費税の会計処理について(中間報告)」をもとに考えると、以下の会計処理が考えられる。
「消費税額とみなされない金額」を資産の取得原価又は期間費用として処理する。
【設例1】商品を仕入れた場合(適格請求書発行事業者以外から購入した場合。以下の設例も同様)
商品10個の仕入(100,000円(税抜))を行った。期末には全て販売している。
① 取引時
② 期末時(期中又は月末で会計処理することも考えられる。以下の設例も同様)
10,000 ×(100% - 80%)= 2,000
【設例2】商品を仕入れて、期末に在庫として残る場合
商品10個の仕入(100,000円(税抜))を行った。期末には5個在庫として保有している。
① 取引時
② 期末時
※:10,000 ×(100% - 80%)= 2,000
仕入れた商品のうち、半分は在庫として残っているため、仕入1,000、棚卸資産1,000へ振り替える。
【設例3】消耗品を購入した場合
消耗品(100,000円(税抜))を購入した。
① 取引時
② 期末時
※:10,000 ×(100% - 80%)= 2,000
【設例4】固定資産を購入した場合
当期首に工具器具備品(500,000円(税抜))を購入した。減価償却は耐用年数10年の定額法とする。
① 取引時
② 期末時
消費税額とみなされない金額を工具器具備品に計上し、その分についても減価償却費を計上する。
※1:10,000 ×(100% - 80%)= 2,000
※2:※1 ÷ 10円 = 1,000