Ⅹ サステナビリティ開示
2023年3月期の有価証券報告書からサステナビリティ開示が行われている。将来的には、サステナビリティ開示は増えていくことが予定されているため、2024年3月期でも特段の改正はないが、前期と同様の開示にすればよいと安易に考えるのではなく、各社、十分に考えて開示をすることが望まれる。
なお、その際には、2023年12月27日に金融庁より公表されている「記述情報の開示の好事例集2023」(以下、「好事例集」という)を参考にされたい。
好事例集では、投資家・アナリスト・有識者が期待する主な開示のポイントとして、以下が挙げられている。これらのポイントを参考にして、開示の検討をすることが望まれる。
- サステナビリティ情報では、比較可能性、透明性、独自性の3つの観点が重要であり、どのようにサステナビリティに取り組んでいるかについて透明性を持った開示をすることや、どこに注力しているのか、どこにどのような強みを持っているのかといった各社の独自性を持った取組みについて開示をすることは有用
- 戦略と指標及び目標は、有価証券報告書での開示は義務付けられていないが、全体像を話す際には、戦略と指標及び目標についても、どのような考え方や取組み方針を持っているかについて示すことが有用
- サステナビリティに関する取組みにより、企業価値がどのように創出されるかを丁寧に説明することは有用
- ESGやサステナビリティに関するKPIについて、KPIを選定した理由や算定方法等について説明することは有用
- 指標及び目標では、目標値と実績値に加え、現状の考察が記載されることは有用
- 非財務情報は、超長期の方針・計画等の将来の方向性を財務情報で示すことができないために、財務情報の代わりに求められている。そのため、非財務情報と財務情報の連動性や開示のタイミングを整合させることは有用
- 現在の状況だけでなく、時間軸を持った開示を行うことは有用
- 第三者保証を見据えて限られた情報を開示するのではなく、必要な情報は積極的に開示することが有用
- 開示の改善や施策の継続には、経営陣からの強いコミットメント及び適切なリソース配分が必要
(了)
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