公開日: 2020/08/27 (掲載号:No.383)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第50回】「建設協力金の会計処理」

筆者: 西田 友洋

【STEP4】〈返還されない部分〉支払時等の会計処理

将来返還されない部分の額については、支払額で資産計上し、その後、賃借期間にわたり定額法により償却する(実務指針133)。

(1) 支払時

【会計処理】 (借方) 長期前払費用(※2) ×××(※1) (貸方) 現金預金 ×××(※1)

(※1) 支払額

(※2) 勘定科目は各社の状況に応じて適切に設定することが考えられる。

(2) 支払後

【会計処理】 (借方) 長期前払費用償却 ×××(※3) (貸方) 現金預金 ×××(※3)

(※3) 残高 ÷ 賃借残存期間

《設例》

X社は入居予定の建物の建設資金1,100を、地主A社に建設協力金として支払った。

〈前提条件〉

・期間:X0年4月1日から10年間

・返還されない部分:建設協力金1,100のうち100は返還されない。

・金利:当初5年間は無利息、その後は年率2%(毎年3月末に受領)

・返還条件:X6年3月31日からX10年3月31日までの毎3月31日に200ずつが金利とともに返還される。

・割引率:割引率3%

〈会計処理〉

1 X0年4月1日

(※1) 割引現在価値

(※2) 支払額

(※3) 差額

(※4) 返還されない部分

※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。

2 X1年3月31日

(※5) 利息法で計算

(※6) 162 ÷ 10年間 = 16

(※7) 100 ÷ 10年間 = 10

3 X6年3月31日

*  *  *

以上、4のステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。
※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。

【参考】

  • 会計制度委員会報告第14号「金融商品会計に関する実務指針」(日本公認会計士協会)

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第50回】

「建設協力金の会計処理」

 

RSM清和監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

建設協力金とは、ある土地及び建物を借りるにあたって、賃借人が賃貸人(土地の所有者)に建物の建設費用を預託する金銭のことをいう。一般的には、一定期間据え置き後に、利息とともに分割返済される(又は賃料と相殺される)のが一般的である。

今回は、賃借人の建設協力金の会計処理について解説する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

史彩監査法人 パートナー
公認会計士

2007年10月に準大手監査法人に入所。2019年8月にRSM清和監査法人に入所。2022年2月に史彩監査法人に入所。
主に法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。また、会社買収に当たっての財務デューデリジェンス、IPOを目指す会社への内部統制コンサル及び短期調査、収益認識コンサル実績もある。
他に、決算留意事項セミナーや収益認識セミナー等の講師実績もある。

【日本公認会計士協会委員】
監査・保証基準委員会 委員(現任)
監査・保証基準委員会 起草委員会 起草委員(現任)
中小事務所等施策調査会 「監査専門委員会」専門委員(現任)
品質管理基準委員会 起草委員会 起草委員
中小事務所等施策調査会 「SME・SMP対応専門委員会」専門委員
監査基準委員会「監査基準委員会作業部会」部会員

【書籍】
「図解と設例で学ぶ これならわかる連結会計」(共著/日本実業出版社)等

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