〔顧問先を税務トラブルから救う〕
不服申立ての実務
【第1回】
「更正決定処分をするための税務署側の手続」
公認会計士・税理士 大橋 誠一
◆連載開始にあたって◆
クライアントの税理士に対する期待は、税務調査において特段の指摘事項を受けることがないように各事業年度の税務申告を履行することであって、弁護士が扱うような紛争処理を期待されているのではない。
とはいえ、税務調査の過程において誤った法令解釈や事実認定がなされることにより、また、法令解釈に対して事実を誤って当てはめられることにより更正・決定処分がなされ、納税者が不測の経済的損害を被る場面に立ち会うこともあり得る。
そのような場面においては、税理士は、国税に関する法律専門家として、納税者の権利救済を積極的に担うべきであるし、少なくとも不服申立て制度の枠内においては代理人として活動することが認容されている。
本稿では、税理士の関与する納税者が国税に関する不利益処分を実際に受けた場合にどのような権利救済の途があり、それをどのように選択して行使すべきかについて解説することを目的としている。
併せて、読者各位は、本稿の記述内容を把握することにより、実際に不利益処分を受けた後の「事後の段階」の救済のみならず、税務調査の進行中において不利益処分をこれから受けるかもしれないという「事前の段階」においてこそ活かすことにより、納税者を無用な税務争訟に巻き込ませないように行動してほしいと願うものである。
* * *
1 争点整理表
(1) 更正決定等をすべき指摘事項か否かの峻別
調査担当者は、調査により非違が疑われる事項を識別した際には、課税要件を認定するための証拠資料や聴取書等に基づいて上司である統括国税調査官等に復命して指示を仰ぐとともに、当該事項に対する納税義務者や税理士による反論を吟味して諾否を判断することになる。
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