公開日: 2016/09/29 (掲載号:No.187)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第30回】「IFRS16 リース(借手の会計処理の基本)」

筆者: 西田 友洋

【STEP2】少額資産のリース

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少額資産のリースに該当するかどうかを検討する。

少額資産のリースについては、オンバランスせず、定額法又は別の規則的な方法(当該方法の方が実態に沿う場合)により、純損益に反映する(IFRS16.6)。少額資産のリースについての会計方針の選択は、リースごとに行う(IFRS16.8)。

少額リースに該当するかどうかの判定においては、以下の点に留意する必要がある。

(1) リース資産が新品である時点での価値で判断する(IFRS16.B3)。

(2) 絶対額ベースで判断する。借手にとって重要性があるか否かは関係ない。評価は、借手の規模、特徴、状況に影響を受けない。特定の原資産の価値が少額であるか否かについて、異なる借手が同じ結論に至ることが期待される(IFRS16.B4)。

(3) 原資産は、以下の場合にのみ、価値が少額となる(IFRS16.B5)。

① 借手が、原資産単独で、又は、借手にとって容易に入手可能な他の資源とともに、便益を享受することができ、かつ、

② 原資産の他の資産への依存性や相互関連性が高くない。

(4) 原資産の性質からして、原資産が新品であれば、一般的には、価値が少額でない場合は、当該原資産のリースは少額資産のリースに該当しない(IFRS16.B6)。

(5) 借手が転リースする、又は転リースを予定している場合、原リースは少額資産のリースに該当しない(IFRS16.B7)。

また、少額の数値基準は、IFRS16では、明示されていないが、結論の根拠(IFRS16.BC100)において、少額資産のリースについて簡便的な会計処理を認めるにあたって、5,000米ドル以下というのを念頭に置いていたとの記載がある。

IFRSでは、日本基準の300万円よりもかなり低いラインが想定されていることが伺える。

少額資産のリースに該当する場合、【STEP3】以降の検討は不要である。少額資産のリースに該当しない場合、【STEP3】を検討する。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第30回】

「IFRS16 リース(借手の会計処理の基本)」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

2016年1月13日にIFRS第16号「リース(以下、「IFRS16」という)」が公表されている。IFRS16は、原則、2019年1月1日以後開始する事業年度から適用される。

リースとは、「資産(原資産)を使用する権利を一定期間にわたり対価と交換に移転する契約又は契約の一部」をいう(IFRS16.付録A)。原資産とは、「リースの対象である資産で、当該資産を使用する権利が貸手から借手に移転されているもの」をいう(IFRS16.付録A)。

ただし、以下のリースは、IFRS16の適用範囲外である(IFRS16.3)。

 鉱物、石油、天然ガス及び類似の非再生資源の探索又は使用のためのリース

 IAS第41号「農業」の範囲に含まれる借手が保有する生物資産のリース

 IFRIC第12号「サービス委譲契約」の範囲に含まれるサービス委譲契約

 IFRS第15号「顧客との契約から生じる収益」の範囲に含まれる貸手が供与する知的財産のライセンス

 IAS第38号「無形資産」の範囲に含まれる映画フィルム、ビデオ録画、演劇脚本、原稿、特許権及び著作権などのライセンス契約に基づく借手が保有する権利

なお、借手は、上記を除き、無形資産をリースの対象として、IFRS16を適用することができる(IFRS16.4)。

IFRS16の借手の会計処理では、従前のようにファイナンス・リースではオンバランス、オペレーティング・リースではオフバランスといった会計処理はされず、原則、全てのリースについてオンバランスする。この会計処理を「使用権モデル」という。

今回は、IFRS16において大きく変わった借手の会計処理の基本について解説する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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