〔事例で解決〕小規模宅地等特例Ｑ＆Ａ
【第15回】
「特定事業用宅地等の特例の適用における生計一親族の判断」
税理士 柴田 健次
［Ｑ］
次のそれぞれの場合には、Ａ宅地、Ｂ宅地について、小規模宅地等に係る特定事業用宅地等の特例の適用を受けることは可能でしょうか。① 被相続人は30年間中華料理屋を営んでいましたが、相続発生の10年前に後継者である同居していた長男にその事業を承継させ、事業廃止届出を税務署に提出しました。中華料理屋の事業の用に供していたＡ宅地及び家屋（いずれも被相続人が100％所有）は、長男が使用貸借により借り受け、長男の事業の用に供されています。相続発生に伴い、Ａ宅地及び家屋を長男が相続により承継し、相続税の申告期限まで引き続き、事業の用に供しています。
なお、長男は相続発生の５年前に被相続人の成年後見人となり、身上監護をしていました。被相続人は、相続発生の３年前から老人ホームに入居し、住民票も老人ホームに移転しました。長男は毎週末に老人ホームに行き、被相続人の預金の中から日常生活に必要な用品の購入をしています。また、被相続人は、賃貸用マンションを所有しており、毎月の老人ホームの利用料及び生活費は、その賃貸用マンションの収入がある口座から支出していました。
② 被相続人は40年間居酒屋を営んでいましたが、相続発生の４年前に後継者である同居していた長男にその事業を承継させ、事業廃止届出を税務署に提出しました。居酒屋の事業の用に供していたＢ宅地及び家屋（いずれも被相続人が100％所有）は、長男が使用貸借により借り受け、長男の事業の用に供されています。相続発生の１年前に被相続人は老人ホームに入居し、住民票も老人ホームに移転しました。相続発生に伴い、Ｂ宅地及び家屋を長男が相続により承継し、相続税の申告期限まで引き続き、事業の用に供しています。
なお、長男は老人ホームの毎月の利用料の一部を援助するために、自己の事業に係る収入から毎月15万円の仕送りをしていました。
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