これからの国際税務
【第10回】
「ポストBEPSにおける『税の安定性プロジェクト』の進捗」
早稲田大學大学院会計研究科 教授
青山 慶二
1 増幅が懸念される「税の不安定性」リスクへの対応
BEPSプロジェクトの成果物は、国際課税ルールの間隙をついて二重非課税の便益を不当に得ている多国籍企業をターゲットにした各種処方箋であり、BEPS防止措置実施条約の締結や移転価格税制の改正などがその具体例である。
しかし、近年はBEPSプロジェクト以前から、二重課税事案の解決のための相互協議が増加しその解決が遅延していることが問題視されていたことから、新規の処方箋については、その解釈・適用の如何によっては新たな二重課税リスクを追加し、納税者・当局の双方にとって予測可能性をさらに弱めることが懸念されていた。条約における主要目的テスト(PPT)や評価困難な無形資産への移転価格税制の適用など、BEPSが新規導入した課税メカニズムの中には、各国での経験が豊かとはいえないものも含まれていることも、その懸念を増幅させていたのである。加えて、BEPSの実行段階において、国内法制の整備に際してBEPS合意の枠を超えた一国限りの立法も急に目立ち始めた。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。