これからの国際税務
【第19回】
「令和2年度税制改正大綱における国際課税の焦点(その3)」
-子会社配当益金不算入を利用した租税計画への対応-
千葉商科大学大学院 客員教授
青山 慶二
1 はじめに
(1) 外国子会社配当益金不算入制度導入が端緒
平成21年度税制改正で我が国が導入した外国子会社配当についての益金不算入制度は、事業に関係する国外所得を法人税の課税対象所得から除外する趣旨のものであり、それまでの間接外国税額控除制度の複雑さを解消するメリットに加え、グローバルスタンダードにも合致し、他国の多国籍企業との競争中立を保証する二重課税排除方式として評価され、実務に定着してきた。
しかし、一方では、その領域主義的割切りの課税権配分理念は、国境をまたぐ彼我の管轄の制度間で、課税の空白(二重非課税)を許すリスクのあることが従来より認識され、租税条約では、経済活動が行われる源泉地国が非課税とする場合には、居住地国は国外所得非課税を適用しないとする対応条項(OECDモデル条約23A条4項が規定する、いわゆる「subject to tax条項」)が既に用意されているほか、近年のBEPSプロジェクトでも、二重課税の除去方法に関し、多国間協定において対応策(BEPS措置防止条約5条2項)が追加されている。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。