公開日: 2017/11/30 (掲載号:No.246)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第40回】「親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が新株発行の場合)」

筆者: 西田 友洋

【STEP3】連結財務諸表における会計処理

被結合企業の資産及び負債を時価評価した上で、投資と資本を相殺し、のれん(又は負ののれん)を算定する(適用指針116)。

【留意点】

株式交換日が被結合企業の決算日以外の日である場合、株式交換日の前後いずれかの決算日(みなし取得日)に株式交換が行われたものとみなして会計処理することができる。この場合、株式交換の効力発生日をみなし取得日にすることになる。

ただし、みなし取得日は、企業結合の主要要件が合意されて公表された日以降としなければならない(適用指針117)。

 

《設例》

P社は、S社を株式交換により100%子会社とした。
株式交換にあたって、P社は新株発行によりS社の株主にP社株式を交付(株式交換時の時価は8,000)した。
新株発行により、増加する資本は、その他資本剰余金とする。
取得関連費用は発生していない。

S社株主が保有していたS社株式の帳簿価額は6,000であった。

S社の貸借対照表(時価評価後)は以下のとおりである。法定実効税率は30%とする。

(※) S社の土地の帳簿価額は500であるが、時価は1,000である。また、分離して譲渡可能な無形資産があり、合理的に算定された価額は1,000である。

〈会計処理〉

1 P社(結合企業)の会計処理

(借方)	S社株式		8,000	(※1)	(貸方)	自己株式		5,000	 						その他資本剰余金		3,000	(※2)

(※1) 時価

2 S社(被結合企業)の株主の会計処理

(借方)	P社株式		6,000		(貸方)	S社株式		6,000

3 連結財務諸表における会計処理

(借方)	土地		500		(貸方)	評価差額		1,050	(※3) 	無形資産		1,000			繰延税金負債		450	(※4) 									 (借方)	株主資本		1,500		(貸方)	S社株式		8,000	 	評価差額		1,050						 	のれん		5,450	(※5)

(※2) (500+1,000)×(1-30%)=1,050

(※3) (500+1,000)×30%=450

(※4) 差額

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第40回】

「親会社が存在しない会社間における株式交換

(対価が新株発行の場合)」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が新株発行の場合)を解説する。また、株式交換前に株式の持ち合いはなく、かつ、株式交換後も結合企業(株式交換完全親会社)は、被結合企業(株式交換完全子会社)の元々の株主の子会社又は関連会社には該当しない場合を前提とする。なお、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が新株発行の場合)に関する全ての論点を取り扱っているわけではない。

株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社に取得させることをいう(会社法2条31項)。そして、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が新株発行の場合)は企業結合の会計処理上、「取得」【第39回】参照)に該当する。

「取得」の場合、「パーチェス法」で会計処理する(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準(以下、「基準」という)」17)。パーチェス法とは、被取得企業から受け入れる資産及び負債の取得原価を、原則として、対価として交付する現金及び株式等の時価とする会計処理をいう(企業会計基準適用指針第 10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(以下、「適用指針」という)」29)。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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