公開日: 2017/11/30 (掲載号:No.246)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第40回】「親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が新株発行の場合)」

筆者: 西田 友洋

【STEP4】取得の注記

企業結合年度において、取得とされた企業結合に係る重要な取引がある場合には、以下の事項を注記する。また、連結財務諸表における注記と個別財務諸表における注記が同じとなる場合には、個別財務諸表においては、連結財務諸表に当該注記がある旨の記載をもって代えることができる(基準49)。

(1) 企業結合の概要

被取得企業の名称及び事業の内容、事業を取得した場合は相手企業の名称及び取得した事業の内容、企業結合を行った主な理由、企業結合日、企業結合の法的形式、結合後企業の名称、取得した議決権比率及び取得企業を決定するに至った主な根拠

(2) 財務諸表に含まれている被取得企業又は取得した事業の業績の期間

(3) 取得原価の算定等に関する事項

① 被取得企業又は取得した事業の取得原価及び対価の種類ごとの内訳。株式を交付した場合には、株式の種類別の交換比率及びその算定方法並びに交付又は交付予定の株式数

② 企業結合契約に定められた条件付取得対価の内容及びそれらの今後の会計処理方針

③ 主要な取得関連費用の内容及び金額

(4) 取得原価の配分に関する事項

① 企業結合日に受け入れた資産及び引き受けた負債の額並びにその主な内訳

② 取得原価の大部分がのれん以外の無形資産に配分された場合には、のれん以外の無形資産に配分された金額及びその主要な種類別の内訳並びに全体及び主要な種類別の加重平均償却期間

③ 取得原価の配分が完了していない場合は、その旨及びその理由

④ 発生したのれんの金額、発生原因、償却方法及び償却期間。負ののれんの場合には、負ののれんの金額及び発生原因

(5) 比較損益情報

企業結合が当期首に完了したと仮定したときの当期の連結損益計算書への影響の概算額及び当該概算額の算定方法並びに計算過程における重要な前提条件。ただし、影響額に重要性が乏しい場合は、注記を省略することができる。
取得企業が連結財務諸表を作成していない場合は、個別損益計算書への影響の概算額を、連結財務諸表を作成している場合に準じて注記する。

(6) 企業結合年度の翌年度において、暫定的な会計処理の確定に伴い、取得原価の当初配分額に重要な見直しがなされた場合には、見直しがなされた事業年度において、その見直しの内容及び金額を注記する。なお、連結財務諸表における注記と個別財務諸表における注記が同じとなる場合には、個別財務諸表においては、連結財務諸表に当該注記がある旨の記載をもって代えることができる。

なお、計算書類では、上記のような注記は必ずしも求められていない。

*  *  *

以上、4のステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。
※画像をクリックすると、別ウィンドウでPDFが開きます。

【参考】

 

(了)

「フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 」は、毎月最終週に掲載されます。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第40回】

「親会社が存在しない会社間における株式交換

(対価が新株発行の場合)」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が新株発行の場合)を解説する。また、株式交換前に株式の持ち合いはなく、かつ、株式交換後も結合企業(株式交換完全親会社)は、被結合企業(株式交換完全子会社)の元々の株主の子会社又は関連会社には該当しない場合を前提とする。なお、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が新株発行の場合)に関する全ての論点を取り扱っているわけではない。

株式交換とは、株式会社がその発行済株式の全部を他の株式会社に取得させることをいう(会社法2条31項)。そして、親会社が存在しない会社間における株式交換(対価が新株発行の場合)は企業結合の会計処理上、「取得」【第39回】参照)に該当する。

「取得」の場合、「パーチェス法」で会計処理する(企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準(以下、「基準」という)」17)。パーチェス法とは、被取得企業から受け入れる資産及び負債の取得原価を、原則として、対価として交付する現金及び株式等の時価とする会計処理をいう(企業会計基準適用指針第 10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針(以下、「適用指針」という)」29)。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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