公開日: 2016/04/28 (掲載号:No.167)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第25回】「退職給付引当金(簡便法)」

筆者: 西田 友洋

【STEP1】従業員数の把握

簡便法は全ての企業で採用できるわけではない。原則として従業員数 300 人未満の企業の場合に、簡便法を採用できる(企業会計基準適用指針第25号「退職給付に関する会計基準の適用指針(以下、「適用指針」という)」47)。300人以上の場合には、数理計算に一定水準の信頼性が得られるが、300人未満の場合には、一定水準の信頼性が得られないため、300人という基準が設けられている。

そのため、従業員数が300人未満の場合は、【STEP2】を検討し、300人以上の場合は、原則法を適用し【第14回】の内容を検討する。

ただし、従業員数が 300 人以上の企業であっても年齢や勤務期間に偏りがある(例えば、会社設立後間もないため)などにより、原則法による計算の結果に一定の高い水準の信頼性が得られないと判断される場合には、簡便法によることができる(適用指針47)。そのため、原則法による計算の結果に一定の高い水準の信頼性が得られないと判断される場合には、【STEP2】を検討し、信頼性が得られる場合には、原則法を適用し【第14回】の内容を検討する。

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ここでの従業員数とは退職給付債務の計算対象となる従業員数を意味し、複数の退職給付制度を有する事業主にあっては制度ごとに判断する(適用指針47)。

また、従業員数は毎期変動することが一般的であるので、簡便法の適用は一定期間の従業員規模の予測を踏まえて決定する(適用指針47)。

なお、連結グループにおいて、原則法と簡便法のいずれかに統一する必要はない(適用指針110)。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第25回】

「退職給付引当金(簡便法)」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、退職給付引当金(簡便法)の会計処理について解説する。

退職給付引当金は、原則、数理計算により算定する。これを原則法という(【第14回】参照)。一方、従業員数が比較的少ない小規模企業等において、高い信頼性をもって数理計算上の見積りを行うことが困難である場合又は退職給付に係る財務諸表項目に重要性が乏しい場合には、期末の退職給付の要支給額を用いた見積計算を行う等の簡便な方法を用いて、退職給付引当金(退職給付に係る負債)及び退職給付費用を計算することができる(企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準(以下、「基準」という)」26)。この方法を簡便法という。

なお、連結財務諸表上では、退職給付引当金は「退職給付に係る負債」で表示する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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