公開日: 2016/04/28 (掲載号:No.167)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第25回】「退職給付引当金(簡便法)」

筆者: 西田 友洋

【STEP3】年金資産の算定

年金資産とは、特定の退職給付制度のために、その制度について企業と従業員との契約(退職金規程等)等に基づき積み立てられた、次のすべてを満たす特定の資産をいう(基準)。

  • 退職給付以外に使用できないこと
  • 事業主及び事業主の債権者から法的に分離されていること
  • 積立超過分を除き、事業主への返還、事業主からの解約・目的外の払出し等が禁止されていること
  • 資産を事業主の資産と交換できないこと

年金資産の額は、期末における時価(公正な評価額)により計算する(基準22)。時価は年金資産の受託会社である信託銀行や生命保険会社が算定したものを使う。

期末日における年金資産の額については、時価を入手する代わりに、直近の年金財政決算における時価を基礎として合理的に算定された金額(例えば、直近の時価に期末日までの拠出額及び退職給付の支払額を加減し、当該期間の見積運用収益を加算した金額)を用いることもできる(適用指針48(2))。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第25回】

「退職給付引当金(簡便法)」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、退職給付引当金(簡便法)の会計処理について解説する。

退職給付引当金は、原則、数理計算により算定する。これを原則法という(【第14回】参照)。一方、従業員数が比較的少ない小規模企業等において、高い信頼性をもって数理計算上の見積りを行うことが困難である場合又は退職給付に係る財務諸表項目に重要性が乏しい場合には、期末の退職給付の要支給額を用いた見積計算を行う等の簡便な方法を用いて、退職給付引当金(退職給付に係る負債)及び退職給付費用を計算することができる(企業会計基準第26号「退職給付に関する会計基準(以下、「基準」という)」26)。この方法を簡便法という。

なお、連結財務諸表上では、退職給付引当金は「退職給付に係る負債」で表示する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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