谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第19回】
「租税法律主義と実質主義との相克」
-税法の目的論的解釈の過形成【補遺(続・完)】-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅲ 税法基準による目的論的解釈の過形成
1 「過形成」の原因
以上で検討してきたところからすると、東京地裁も東京高裁も税法基準による目的論的解釈を行っているが、両者の目的論的解釈は射程を異にしており、東京地裁はその射程が「資本剰余金のみを原資とする剰余金の配当及び資本剰余金と利益剰余金の双方を原資とする剰余金の配当」すなわち混合配当一般に及ぶものとするのに対して、東京高裁はその射程を混合配当のうち「いずれの配当が先に行われたとみるかによって課税関係に差異が生ずるもの」すなわち配当先後関係問題が生ずるものに限定しているといえよう(両判決における文理解釈に関する判示部分と目的論的解釈に関する判示部分とを接続する接続詞(「また」と「もっとも」)の違いにも注意されたい)。
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