谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第34回】
「租税法律主義の厳格さ【補論】」
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
今回は、「租税法律主義と租税回避との相克と調和」を1回休んで、第3回で検討した「租税法律主義の厳格さ」について、最近の研究を踏まえその成果を【補論】として述べておくことにする。
公益財団法人日本税務研究センターでは、「憲法と租税法」共同研究会(金子宏東京大学名誉教授が顧問格で研究員は13名)が昨年3月から12月まで14回にわたって開催され(以下「税研センター共同研究」という)、筆者は「租税法律主義(憲法84条)」を担当し、先月その研究成果を論文にまとめた(「日税研論集」第77号(近刊)で公表予定)。その過程で、第3回での検討に十分でないところがあったことに気がついたので、脱稿を機会に今回、補うことにしたのである。もっとも、今回も、検討の枠組みの点では、第3回と同様、租税法律主義の厳格さを「自律的」厳格さ(Ⅱ)と「他律的」厳格さ(Ⅲ)に分けて検討を行うこととする。
Ⅱ 租税法律主義の「自律的」厳格さ
1 判例の立場
第3回では、まずⅡで、旭川市国民健康保険条例事件・最大判平成18年3月1日民集60巻2号587頁の次の判示(下線筆者)から、法治主義すなわち法律による行政の原理のうち法律の留保の原則が租税について民主主義的租税観(第1回Ⅲ2参照)に基づき厳格化されるという意味における租税法律主義の「自律的」厳格さを明らかにし、行政裁量(行政立法裁量・要件裁量・効果裁量)に対する統制を論じた。
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