谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第47回】
「租税法律主義の基礎理論」
-手続的保障原則-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
今回は、租税手続法(租税争訟法を含む)に関する租税法律主義の内容として、適正手続の保障を要請する手続的保障原則を取り上げ検討する。
租税手続法について、「租税の賦課・徴収は公権力の行使であるから、それは適正な手続で行われなければならず、またそれに対する争訟は公正な手続で解決されなければならない。」(金子宏『租税法〔第23版〕』(弘文堂・2019年)88頁)と説かれるのが、このような要請が手続的保障原則である(拙著『税法基本講義〔第6版〕』(弘文堂・2018年)【27】参照)。
金子宏教授は、手続的保障原則を「ルール・オブ・ロー」の観点から論じておられるが(同『租税法理論の形成と解明 上巻』(有斐閣・2010年)121頁以下[初出・2008年]参照)、そもそも、適正手続の保障については「憲法31条以下の諸条文の中には、・・・・・・『法の支配』の要請を直截に表現したものがある」(長谷部恭男『憲法〔第7版〕』(新世社・2018年)265頁)以上、租税法律主義の内容に手続的保障原則を加えることは、法の支配による租税法律主義のコーティングの一環として理解してもよいであろう(拙稿「租税法律主義(憲法84条)」日税研論集77号(2020年)243頁、267頁)。
Ⅱ 租税手続の適正化の意義
行政手続一般の適正化については、次のように説かれることがある(芝池義一『行政法総論講義〔第4版補訂版〕』(有斐閣・2006年)281-282頁。下線筆者)。
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