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【STEP2】法定実効税率の算定
繰延税金資産及び繰延税金負債は一時差異等に法定実効税率を乗じて算定する。
【STEP2】では、この法定実効税率を算定する。
(1) 法定実効税率とは
(2) 法定実効税率の算定
(1) 法定実効税率とは
法定実効税率とは、法律で定められている税率により計算された税額の課税標準(課税所得)に対する割合(負担率)のことである。
税金には、いろいろあるが、税効果会計の対象となるのは、利益(課税所得)に対する税金である(実務指針36)。そのため、法定実効税率の算定に使用する税率は利益(課税所得)に係る税金の税率である。具体的には、以下の表の「税効果会計の対象」欄に「〇」を付した税金を法定実効税率の算定に使用する。
(2) 法定実効税率の算定
具体的には、法定実効税率は以下のように算定する(企業会計基準適用指針第27号「税効果会計に適用する税率に関する適用指針(以下、「税率指針」という)」3(4))。
そして、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、以下のとおりである。
① 法人税、地方法人税及び地方法人特別税の場合
決算日において国会で成立している税法(法人税、地方法人税及び地方法人特別税の税率が規定されているもの(以下「法人税法等」という))に規定されている税率による(税率指針5)。
② 住民税(法人税割)及び事業税(所得割)(以下、「住民税等」という)の場合
繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している税法(住民税等の税率が規定されているもの(以下「地方税法等」という))に基づく税率による(税率指針6)。
具体的には、以下のとおりである(税率指針7、8)。
(ⅰ) 当事業年度において地方税法等を改正するための法律が成立していない場合(地方税法等を改正するための法案が国会に提出されていない場合を含む)
▷決算日において国会で成立している地方税法等を受けた条例に規定されている税率(標準税率又は超過課税による税率(以下、「超過税率」という))
(ⅱ) 当事業年度において地方税法等を改正するための法律が成立している場合
(ア) 改正地方税法等を受けて改正された条例(以下「改正条例」という)が決算日以前に各地方公共団体の議会等で成立している場合
▷決算日において成立している条例に規定されている税率(標準税率又は超過税率)
(イ) 改正地方税法等を受けた改正条例が決算日以前に各地方公共団体の議会等で成立していない場合(標準税率の場合は(A)、超過税率の場合は(B))
〈(A)決算日において成立している条例に標準税率で課税することが規定されているとき〉
▷改正地方税法等に規定されている標準税率
〈(B)決算日において成立している条例に超過税率で課税することが規定されているとき〉
▷改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条例に規定されている超過税率が改正直前の地方税法等の標準税率を超える差分を考慮する税率
この場合、原則として、次のいずれかの方法により算定する。
・改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条例に規定されている超過税率が改正直前の地方税法等の標準税率を超える数値を加えて算定する。算定した税率が、改正地方税法等に規定されている制限税率を超える場合は、当該制限税率とする(以下、「数値加算法」という)。
・改正地方税法等に規定されている標準税率に、決算日において成立している条例に規定されている超過税率における改正直前の地方税法等の標準税率に対する割合を乗じて算定する。算定した税率が、改正地方税法等に規定されている制限税率を超える場合は、当該制限税率とする(以下、「割合法」という)。
⇒数値加算法、割合法のいずれかの採用については、連結グループで統一することが考えられるが、統一しないことによる繰延税金資産及び繰延税金負債への影響に重要性が乏しい場合、統一しないことも認められると考えられる。