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日本の企業税制 【第13回】「解散・総選挙で平成27年度税制改正はどうなる」

日本の企業税制 【第13回】 「解散・総選挙で平成27年度税制改正はどうなる」   一般社団法人日本経済団体連合会 常務理事 阿部 泰久     1 はじめに 安倍総理は、18日(火)夜の会見で、消費税率10%への引上げを2017年4月まで18ヶ月延期し、国民にアベノミクスへの信を問うために、11月21日(金)に衆議院を解散することを表明した。 当然ながら来年度税制改正や予算編成は中断し越年は免れないであろうが、その場合、平成27年度税制改正、とくに法人税制改正にはどのような影響が出るのであろうか。 あくまでも予測でしかないが、あり得るシナリオを考えてみたい。   2 消費税率引上げは延期へ まず、消費税率10%の引上げ時期の先送りは、どのような意味を持つのであろうか。 もともと、一体改革法(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律)附則第18条第3項では とされているが、これは「経済財政状況の激変にも柔軟に対応する」ための規定であった。 11月17日(月)に公表された7-9月のGDP(第1次速報値)は、年率換算で実質マイナス1.6%であり、4-6月の消費税率8%への引上げの反動減をカバーしきるものではないが、決して「激変」とはいえないものである。むしろトレンドとしては、プラスの方向に向かっていることが見て取れるものである。 にもかかわらず引上げ延期とするのは、アベノミクス第3の矢である成長戦略が確実に効果を表すまでは、消費への悪影響があることが確実である消費税率引上げは、先送りするとの判断であろう。 一方で、先送りをするのであれば、財政再建に大きなマイナスとなる。安倍総理は、プライマリーバランスを2020年に回復させるとの財政再建目標を維持すると言明しているが、そのためには、社会保障支出抑制をも含む、厳しい歳出削減に取り組む必要がある。 また、消費税10%時とされていた軽減税率の導入については、消費税率引上げ延期により時間的余裕を得たことで、自民・公明両党間で、平成27年度税制改正とりまとめに向けて具体的な姿が示される可能性が高くなったが、本件については別の機会に述べることとしたい。   3 平成27年度税制改正への影響 解散総選挙となれば、平成27年度税制改正作業も中断するが、投票日が12月14日であれば年内に与党税制調査会が再開でき、越年しても1月初めには与党大綱とりまとめが可能である。 時期以上に注視すべきは、与党選挙公約の中で税制にどのような言及がなされるのかである。 既に地方創生や景気対策として様々な税制措置が取り沙汰されているが、これらが公約に盛り込まれることとなれば、与党の税制改正審議を待たずに既定路線となる。 また、大型の所得税減税等の予想外の内容が公約に入れられれば、平成27年度改正の枠組み全体が変わることにもなりかねない。   4 法人税改正は予定通りか 一方で、解散・総選挙や消費税率引上げ先送りが、法人税改正へ与える影響はさほど大きくないと考えられる。 当初より、法人実効税率引下げの財源としての法人税課税ベースの見直しや法人事業税の外形標準課税の拡大は、消費税議論が本格化する11月中旬までに、事務的な調整を終えることを前提として進められており、ほぼ9割方まで終えた段階である。解散・総選挙による中断があるとしても、再開までには財源問題は整えられているはずである。 ただし、事務的な調整では、実効税率については触れられていない。 法人税課税ベースの見直しや法人事業税の外形標準課税の拡大は段階的に実施することとなるので、現状で課税当局側が考える財源額を税収中立レベルで実効税率に換算すれば、平成27年度(初年度)べースで、2.1~2.2%程度となる。 11月10日の経団連との会合で宮沢経済産業大臣は、平成27年度で2.5%以上の実効税率引下げに言及している。自民党経済産業部会では3%の引下げを主張しており、選挙公約に具体的な税率引下げ幅が言及されるかどうかに注目していきたい。 (了)  

#No. 95(掲載号)
#阿部 泰久
2014/11/20

〈平成26年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第4回】「『保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書』記載内容の検討」

〈平成26年分〉 おさえておきたい 年末調整のポイント 【第4回】 「『保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書』記載内容の検討」   公認会計士・税理士 篠藤 敦子     (1) 申告書の受領時期 保険料控除申告書の記載内容に基づいて、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除の4つの控除が適用され、配偶者特別控除申告書の記載内容に基づいて、配偶者特別控除が適用される。 これらの控除は、源泉徴収の時には考慮されず、年末調整で適用を受ける。よって、給与の支払いを受ける者は、保険料控除申告書と配偶者特別控除申告書を、その年最後の給与の支払いを受ける日の前日までに給与の支払者に提出することとされている(所法195の2①、196①)。   (2) 保険料控除申告書の記載内容の検討と注意点 ① 基本的事項 保険料控除申告書を提出する場合には、ほとんどの保険料について〈表1〉のとおり、証明書の添付が求められている(所法196②、所令319)。 控除の対象となる保険契約や掛金、受取人の範囲等については、所得税法等で詳細に規定されているが、実務的には添付された証明書により、保険料の内容及び控除の対象となる金額を確認することができる。 したがって、保険料控除申告書に記載される4つの控除の年末調整業務は、次の2つとなる。 〈表1〉 証明書の添付が求められる保険料の範囲 ② 生命保険料控除 申告された保険料について、一般の生命保険料、個人年金保険料、介護医療保険料の区分を確認し、生命保険料と個人年金保険料については、旧契約と新契約のどちらに該当するかを検討する。 従業員等が、最近の税制改正の内容を十分に理解していないことも多く、申告漏れや記載誤りが散見されるため、事前に制度の周知を行うとともに、申告書と証明書の内容を十分に照らし合わせることが必要である。 なお、生命保険料控除についての詳細は、拙稿「平成24年分おさえておきたい年末調整のポイント ①今年度適用となる改正事項」(本誌創刊準備2号掲載)及び「〈平成25年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第2回】「生命保険料控除について」」(本誌No.42掲載)をご覧いただきたい。 【誤りやすい事例】 ③ 社会保険料控除 保険料控除申告書で申告する社会保険料は、給与から徴収される社会保険料以外の保険料である(所法196①二)。 自分自身が負担すべき社会保険料の他、生計を一にする配偶者やその他の親族が負担することとなっている社会保険料を支払った場合にも、その金額を控除の対象とすることができる(所法74①)。 例えば、子の国民年金保険料を親が支払った場合や、妻の国民健康保険料を夫が支払った場合には、名義人ではなく実際に保険料を支払った親や夫が控除を受けることになる。 なお、上記〈表1〉に記載のとおり、国民年金保険料と国民年金基金の掛金を申告する場合には、証明書の添付が求められる(所令319一)。これら以外の社会保険料(例:国民健康保険料、介護保険料)を申告する場合には、証明書を添付する必要はない。 【誤りやすい事例】   (3) 配偶者特別控除申告書の記載内容の検討と注意点 配偶者特別控除を適用する場合の主な要件は、次の3つである(所法83の2①②)。 配偶者の所得要件だけでなく、本人の所得要件もあるので注意が必要である。 (注) 「合計所得金額」については、前回の解説を参照いただきたい。 【誤りやすい事例】   (4) 保険料控除申告書、配偶者特別控除申告書の記載例 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 *  *  * 次回は、「住宅借入金等特別控除申告書」を取り上げる予定である。 (了)

#No. 95(掲載号)
#篠藤 敦子
2014/11/20

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第14回】「2つの東京地裁平成26年3月18日判決の総括③」

組織再編・資本等取引に関する最近の裁判例・裁決例について 【第14回】 「2つの東京地裁平成26年3月18日判決の総括③」   公認会計士 佐藤 信祐   2つの東京地裁平成26年3月18日判決については、初めて包括的租税回避防止規定が適用されたものであり、実務家の注目度も極めて高いものとなっている。 本稿においては、平成24年5月14日付鑑定意見書で触れられているグループ内の組織再編成による繰越欠損金の引継ぎについて考察を行うものとする。 ④ グループ内合併による繰越欠損金の引継ぎ 平成24年5月14日付鑑定意見書においては、 と記載されている。 また、近年においては、繰越欠損金の繰越期限が9年に延長されたことから、支配関係が生じてから5年待つという行為が想定されるため、財務省主税局で法人税法の立法に関与されていた佐々木浩氏は、 とした上で、 と指摘されている(※1)。 (※1) 仲谷修・栗原正明・中村慈美・佐々木浩・武井一浩(2012)『企業組織再編税制及びグループ法人税制の現状と今後の展望』大蔵財務協会59頁 しかしながら、本鑑定意見書は、さらに一歩進んで、「親会社が自ら設立したり長期にわたって株式を保有している100%子会社」が保有している繰越欠損金を吸収合併で引き継ぐという行為を問題視しており、一歩進んだ解釈となっている。 たしかに、事業を抜き出してから、抜け殻になった会社を吸収合併するような場合には、長期的な100%子会社であったとしても問題視すべき場合もあり得るであろうし、この点については、佐々木浩氏も指摘されている(※2)。 (※2) 仲谷修・栗原正明・中村慈美・佐々木浩・武井一浩(2012)前掲書130頁 本鑑定意見書については、単なるペーパー会社となった子会社について問題としているのか、このような事業を抜き出して、抜け殻になった子会社を吸収合併するようないわゆる繰越欠損金飛ばしスキームを問題としているのかについては、それほど明確には記載されていない。本事件においては、合併の前に分社型分割が行われており、繰越欠損金飛ばしスキームの変形ともいえるものであることから、それを念頭に置いたものと考えられなくもないが、これはあくまでも推測の域を出ない。 しかしながら、事前に事業を移転させるのではなく、単なるペーパー会社として放置されていたような100%子会社を吸収合併するような行為については、包括的租税回避防止規定を適用すべきではないと考えられる。 なぜならば、平成22年度税制改正によりグループ法人税制が導入され、完全支配関係のある子会社を解散し、残余財産が確定した場合についても、親会社に繰越欠損金を引き継ぐことが可能になったため(法法57②)、そもそもとして、法人税の負担を不当に減少させたことにはならず、包括的租税回避防止規定を適用すべき事案ではないと考えられる。 そうなると、親会社が子会社を吸収合併する場合ではなく、他の子会社が吸収合併する場合については、繰越欠損金が引き継がれる法人が異なってくることから、法人税の負担が減少することも考えられるため、この場合には問題になりそうであるが、親会社が吸収合併をしようが、他の子会社が吸収合併しようが、解散させようが、事務上の手間はほとんど変わらないため、経済人として不自然・不合理な行為であるとまではいうことはできず、さらに、制度の趣旨・目的などから考えても、子会社から親会社にすべての資産および負債とともに繰越欠損金が移転するのは問題がなく、子会社から他の子会社にすべての資産および負債とともに繰越欠損金が移転するのは問題であるとするのは理路整然としないため、この点についても問題とすべきではないと考えられる。 さらに、前述のように、事業を抜き出してから、抜け殻になった会社を吸収合併するような場合であっても、実務上は、完全に抜け殻にすることはほとんどなく、主要な固定資産や借入金を残しておくことが一般的である。 なぜならば、例えば、事業を新会社に移転させた後に、旧会社を親会社に吸収合併させる場合において、当該旧会社に繰越欠損金が存在していたということであれば、新会社において新たに繰越欠損金が生じる可能性も否定できず、新会社においては資金調達能力に疑義が生じることも考えられる。むろん、親会社において連帯保証を行えば足りることであるが、金融機関との関係を考えた場合には、今後、必要となる設備投資に備えるために、主要な固定資産や借入金を親会社に移転した方が望ましいということも生じる。さらに、新会社に移転する資産は限定的にした方が望ましいということもあり、有価証券などを残しておくということも考えられる。このように完全に抜け殻にするということは考えにくく、実務上、大きな問題になったということはあまり聞かないというのも実態である。 本事件において、朝長英樹氏が鑑定意見書において敢えてこの点について触れたのは、いわゆる繰越欠損金飛ばしスキームと取締役副社長の送り込みという組み合わせが存在していたからであると想定され、実務上、今までとそれほど変わらない対応になると考えられる。 次回においては、平成24年7月12日に提出された補充意見書について考察を行うこととする。 (了)

#No. 95(掲載号)
#佐藤 信祐
2014/11/20

こんなときどうする?復興特別所得税の実務Q&A 【第14回】「源泉所得税の納期の特例」

こんなときどうする? 復興特別所得税の実務Q&A 【第14回】 「源泉所得税の納期の特例」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   私は、平成26年11月1日に会社を設立し、代表取締役に就任しました。役員は1名、従業員は0名です。また、11月10日に「法人設立届出書」、「青色申告の承認申請書」、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」、「給与支払事務所等の開設届出書」を税務署へ提出しました。 第1期の役員報酬は月額30万円とし、11月30日から毎月末日に支給します。今後の源泉所得税の納期についてご教示ください。 源泉徴収した所得税及び復興特別所得税は、源泉徴収した月の翌月10日までに納付しなければならない。ただし、次の①~③のすべてを満たす場合には、1~6月に源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を7月10日までに納付、7~12月に源泉徴収した所得税及び復興特別所得税を翌年1月20日までに納付の年2回払いにすることができる。 上記③の「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出した後、税務署長から却下の通知がない場合には、提出した月の翌月末日に承認があったものとみなされる。そして、承認を受けた月に源泉徴収した所得税及び復興特別所得税から納期の特例の対象になる。 今回のケースにおいては、11月10日に「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署へ提出しているので、翌月末日の12月31日に承認があったものとみなされ、12月に源泉徴収した所得税及び復興特別所得税から納期の特例の対象になる。したがって、源泉所得税の納期は、以下の通りとなる。 (了)

#No. 95(掲載号)
#上前 剛
2014/11/20

税務判例を読むための税法の学び方【48】 〔第6章〕判例の見方(その6)

税務判例を読むための税法の学び方【48】 〔第6章〕判例の見方 (その6)   立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘   ② 裁判の形式 裁判の形式には、「判決」「決定」「命令」がある。 「判決」は、裁判所が、口頭弁論に基づき、公開法廷で言い渡しを行う裁判である。口頭弁論とは、当事者が裁判官の面前で、口頭で法的な主張をし、それを立証する、正規の審理手続である。 これに対し「決定」と「命令」は、重要度が低い場合であるとか、迅速な判断が求められる事項について、口頭弁論を開かない形で行われる裁判である。そして、この口頭弁論を開かない形で行われる裁判には、組織としての裁判所が行う場合と、単独の裁判官が行う場合とがある。 この裁判所が行うものを「決定」、単独の裁判官が行うものを「命令」という。 なお、この「裁判所」とは、裁判機関としての裁判所をいい、複数の裁判官で構成される合議制の場合はその合議体、1人の裁判官で行う単独制の場合はその裁判官である。一方、「命令」は裁判官(裁判長や受命裁判官、受託裁判官)が行うものである。 なお地方裁判所は通常単独制であるが、社会的影響が大きい事件や複雑な事件などでは、3人の裁判官による合議制となる。高裁では、常に3人の裁判官によって1つの裁判所が構成される。 合議制の場合は、このように裁判所と裁判長を区別するのは容易であるが、単独の場合、1人の裁判官が裁判所と裁判長を兼ねることになる。すなわち、ある場合は裁判所として行動し、ある場合は裁判長として行動することになるのであるが、その行動が裁判所としての行動か、裁判長としての行動かは法令で定められている。 したがって、単独制の場合に、裁判所としての「決定」と裁判長単体での「命令」との裁判主体の実体的差異は乏しいようであるが、これも同様、裁判所としてなされたものが「決定」であり、裁判長(裁判官)としてなされたものが「命令」であり、法令で定められている。 この点、「決定」と「命令」が近く、「判決」に対比する概念となるが、「判決」と「決定」の主体は裁判所であるのに対して、「命令」の主体は裁判官であり、この点からは、「判決」と「決定」が近いものとなる。 なお先に、「判決」は、口頭弁論に基づき公開法廷で言い渡しを行う裁判であると記したが、「決定」や「命令」も口頭弁論を開くことができる。ただし、判決と異なり、口頭弁論を経るか否かは裁量に委ねられている(民事訴訟法(以下、民訴法)第87条第1項ただし書)。 ここで受命裁判官と受託裁判官について記そう。 ところで、「判決」に不服だった場合の上訴方法は、「控訴・上告」である(民訴法第281条、第311条)のに対し、「決定」や「命令」の不服の申立て方法は、「抗告・再抗告」である(同第328条)。 また、それぞれの告知方法は、「判決」が判決書及び言い渡しであるのに対し、「決定」と「命令」は、相当と認める方法で告知すれば足り(同第119条)、書面による必要もない(民事訴訟規則第67条第1項第7号)。また「決定」や「命令」は、判事補が単独ですることができる(民訴法第123条)。 なおこの「命令」と「決定」の相違は、個々の裁判の名称から判断してはならない。というのも、この個々の裁判の名称は、その内容に基づいて定められていることがあり、裁判形式と一致しないことがあるためである。 例えば、文書提出命令(民訴法第223条第1項)は、名称に「命令」が付されているが、形式的には「決定」である。 実は条文では、以下のようになっている。 このように、「決定で、・・・命ずる」となっており、これが「決定」によってなされることが法令で明らかにされている。 (続く)

#No. 95(掲載号)
#長島 弘
2014/11/20

《編集部レポート》 東京税理士会・東京税理士政治連盟が報道関係者との懇談会(2014・秋)を開催~平成27年度税制改正要望、マイナンバー法、相続税増税対応状況等を表明~

《編集部レポート》 東京税理士会・東京税理士政治連盟が 報道関係者との懇談会(2014・秋)を開催 ~平成27年度税制改正要望、マイナンバー法、相続税増税対応状況等を表明~   Profession Journal 編集部   東京税理士会、東京税理士政治連盟は2014年11月17日(月)、日本記者クラブにおいて「報道関係者との懇談会2014・秋」を開催し、平成27年度税制改正要望や平成28年1月から実施されるマイナンバー法、施行が目前に控えた相続税増税への対応状況等について報道関係者への説明を行った。   〇平成27年度税制改正に対する要望事項 東京税理士政治連盟の坂田覚政策委員長より、「平成27年度税制改正に関する要望」について、重要要望項目として以下2点の説明があった。 ①については前回の報道関係者との懇談会(2014.5.23)でも東京税理士会から主張がなされていたが、軽減税率の効果は低所得者世帯だけでなく全世帯に及び逸失税収額が多額になる点や軽減税率の対象品目の選定が困難である点を理由に導入すべきではないとし、将来的には給付付き税額控除が有用な制度でありマイナンバー制度の施行までは簡素な給付措置により対応を図るべきとした。 ②については外形標準課税や欠損金の繰越控除の制限は財政基盤の弱い中小法人には適用を行わないことに加え、平成22年度税制改正で廃止された特殊支配同族会社における業務主宰役員給与の損金不算入制度(旧法法35)に代わる税制として、オーナー役員に係る給与所得控除について別途の基準を設けないことを求めた点について説明が行われた。   〇マイナンバー法への対応 東京税理士会の宮本雄司規制改革・納税環境整備等対策室長より、平成28年1月より運営が開始されるマイナンバー法について、制度概要及びロードマップと、11月9日でパブコメ受付が終了した「特定個人情報の適正な取扱いに関するガイドライン(案)」についての説明が行われた。 さらに税理士事務所はマイナンバー制度において一般企業と同様、従業員等のマイナンバーを扱う「個人番号関係事務実施者」であると同時に顧問先企業との関係においては「委託を受けた者」にも該当するとしたほか、様式が大きく変わる源泉徴収票や「番号」が記載された申告書の提出時期など税分野への影響についても説明があった。   〇相続増税へ向け「相続税フォーラム相談会」の第2回を開催(2015.2.22) 東京税理士会の伊藤佳江副会長(業務対策部担当)より、平成27年1月1日以後発生の相続分からの基礎控除額の引下げ等、改正相続税法の施行時期が迫り、東京国税局管内においても申告・納税対象者が増えることから、課税当局からの要請もあり、相続税についての一般納税者向けへ周知活動を行っている点について説明があった。 具体的には本年9月7日の第1回に続き平成27年2月22日(日)にも都内8会場において、相続税について税理士が一般納税者向けにわかりやすく説明する無料相談会「相続税フォーラム相談会」を開催するとのことである(事前予約制)。 (※) 詳しくは東京税理士会ホームページにて告知。 (了)

#No. 95(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2014/11/20

〔会計不正調査報告書を読む〕【第22回】ジャパンベストレスキューシステム株式会社・「第1次第三者委員会調査報告書(平成26年6月2日付)」

〔会計不正調査報告書を読む〕 【第22回】 ジャパンベストレスキューシステム株式会社・ 「第1次第三者委員会調査報告書(平成26年6月2日付)」   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝     【ジャパンベストレスキューシステム株式会社の概要】 ジャパンベストレスキューシステム株式会社(以下「JBR」という)は、1997(平成9)年創業。創業時の社名は、日本二輪車ロードサービス株式会社。その後、平成11年8月に現社名に変更。 JBRホームページには、以下のような事業目的が記載されている。 連結売上高10,405百万円、連結経常利益141百万円(数字はいずれも平成25年9月期)。従業員数196名。本店所在地、愛知県名古屋市。東証1部、名証1部上場。   【2014(平成26)年5月以降の適時開示】   【概 要】   第1次調査委員会による報告書のポイント 1 調査に至った経緯――内部告発文書 平成26年3月26日、JBRの会計監査人である有限責任監査法人トーマツ(以下「トーマツ」という)のもとに、内部告発文書が届いた。そこには、JBRの連結子会社・株式会社バイノス(以下「バイノス」という)と同じくJBRの連結子会社JBR Leasing株式会社(以下「JBRL」という)との間の車両賃貸契約に係る賃貸料が法外であることが、バイノスの赤字の原因であることなどの指摘があった。 当該告発を受けたトーマツは、JBRに対して調査を命じ、内部調査委員会による調査が実施された。 トーマツは、調査の報告を受ける中で、現地を急遽往査したところ、平成25年12月度に売上が全額計上されている「X工区」案件でバイノスの売上計上が不適切である可能性について懸念を抱き、JBRに対し、第三者委員会を設置して調査すべきことを勧告した。   2 調査報告書により判明した事実 (1) バイノスにおける内部統制上の問題点 バイノスは、平成24年10月から除染事業をスタートしたものの、JBRがバイノスを子会社化した平成25年2月時点では、完工した工区はなく、業務の全体像や事業の収支構造を把握できていなかった。加えて、当時3名の役職員しかいなかったにもかかわらず、同年3月以降業容は急拡大したうえ、管理担当取締役N氏が6月1日に退職したこともあって、バイノスの管理体制は十分整っていない状態であった。 本件不適切な売上計上は、当時、バイノス代表取締役社長の地位にあった湯川恭啓(以下「湯川社長」という)とJBR管理部経理グループ・シニアマネージャーであり、子会社化と同時に社外取締役に就任して、バイノス管理部門の実質的な責任者であったY氏(以下「Y取締役」という)とが、このような事業の収支構造の不透明性と繁忙を奇貨とし、意図的にそれまでの売上計上ルールを変更するとともに、虚偽の内容の「検収書」等に発注者の現場工事事務所所長らの印影を得て、あたかも「検収書」等に記載の金額で発注者と出来高について合意したかのような形式を作出することにより、実態の伴わない売上計上を行ったものである。 (2) 不正の手口 買収前である平成25年2月以前においては、バイノスは顧客所定の請求書に基づく出来高をもって、月次の売上計上を行っていた。しかし、JBRによる子会社化直後から、売上計上の根拠は、顧客現場事務所所長印のある「出来高明細書」や「検収書」が利用されるようになった。 不適正な売上計上の手口は、以下のように変遷する。 平成25年10月度以降の主要な案件においては、除染作業の進捗度や工期の長さは完全に無視されて売上計上されており、注文書が入手でき、あるいは発注の見込みがあれば、恣意的に売上が先行計上される状況となっていた。 (3) JBRによる業績の上方修正と労働基準監督署による是正指導 平成25年8月12日、JBRは、バイノスを連結子会社化したことにより、平成25年9月期通期の売上高予想を8,681百万円から10,401百万円へと上方修正した。 しかしながら、バイノスは、7月、福島労働基準監督署の調査により、時間外労働に関する是正指導を受け、常用人工の偽装請負の可能性を指摘されたため、除染現場の作業員を確保できず、工期の延長、予定していた受注を失うなど、売上計画を達成することは難しい状況となっていた。 こうした状況の中、バイノスの売上計画に大きな齟齬が生じた場合に責任を追及される立場にあった湯川社長とY取締役は、バイノスの売上計画の未達発覚を回避するため、不適正な売上計上を行ったものであるというのが、第三者委員会の結論であった。 (4) バイノスとJBRLとの間の賃貸借契約についての内部調査委員会の報告書の検証 第三者委員会は、調査の契機となった内部告発によって組織された内部調査委員会報告書についても検証し、内部告発による指摘の真否を調査している。その結論としては、「一部、検討が不十分、根拠として不適切な説明もあるが、概ね首肯できる内容」であると評価し、次のように締め括っている。 (5) 従業員の不正行為が業績に与えた影響 報告書によれば、バイノスによる売上の先行計上等の影響額は、すべて除染事業に関するもので、以下の表のとおりの金額となっている(単位:千円)。   3 バイノスを買収するに至った経緯 (1) 買収前のバイノスの業績 平成25年2月20日付リリース「株式会社バイノスの第三者割当増資引受及び株式の取得(子会社化)に関するお知らせ」によれば、直近3年度のバイノスの業績は以下のとおりである(単位:千円)。 JBRは、第三者割当増資により577株、株主であるネクスト・ファンド投資事業有限責任組合からの譲受により205株をそれぞれ取得し、所有割合を58.6%として子会社化している。第三者割当の発行価額は1株あたり500千円、譲受価額は1株あたり300千円で、合計350,000千円が取得価額である。 (2) 買収に至った経緯 バイノスに出資していたベンチャーキャピタルの取締役であり、かつ、JBRの非常勤監査役である丹羽氏(以下「丹羽監査役」という)が、平成24年12月ころ、JBR鈴木取締役管理部長(以下「鈴木取締役」という)に対し、バイノスの資金繰りの支援を要請したことを契機として、JBRはバイノスを子会社化することとなった。 (3) 買収価額・プロセスに問題はなかったか 調査報告書ではとくに触れていないが、丹羽監査役によるバイノスに対する資金援助の依頼は、JBR監査役という立場とバイノスに出資しているベンチャーキャピタル取締役の立場を考えると、利益相反が生じる可能性がないとは言い切れないのではないか。また、当該ベンチャーキャピタルからバイノス株式を譲受した決定した取締役会の決議においても、丹羽監査役の利益相反の可能性について、検討がなされていたかどうか、疑義が残るところである。 何より、赤字続きの債務超過会社に対し、株式の取得及び貸付により4億9,000万円の資金を投下したことが、経営判断として適切だったのかどうかは、そもそも調査目的の範囲外であることから、報告書には一切コメントはない。 平成25年2月20日付リリースから、「株式の取得の理由」を転載しておく。   4 払拭されなかった会計監査人の疑義 第1次調査報告書受領後の6月13日に公表されたJBRの2014年9月期第2四半期報告書には、追加情報として以下の記載がある。 このことが、JBRが第1次調査報告書受領から間を置かないで、第三者委員会の再設置を決断せざるを得なかった原因の一つとなっている(詳細は次回で触れたい)。 (第23回(11/27公開)へ続く)

#No. 95(掲載号)
#米澤 勝
2014/11/20

減損会計を学ぶ 【第21回】「共用資産の取扱い」

減損会計を学ぶ 【第21回】 「共用資産の取扱い」   公認会計士 阿部 光成   減損会計では、複数の資産が一体となって独立したキャッシュ・フローを生み出す場合には、減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定に際して、合理的な範囲で資産のグルーピングを行う(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(以下「減損会計意見書」という)四2(6)①)。 資産のグルーピングなどを検討する際には、共用資産について、以下に述べる事項に注意が必要である。なお、共用資産の減損の兆候及びのれんの減損の兆候については、本連載の【第9回】で解説している。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅰ 共用資産 1 定義 減損会計意見書及び「固定資産の減損に係る会計基準」(以下「減損会計基準」という)は、複数の資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの生成に寄与する資産のうち、のれん以外のものを共用資産と定義している(減損会計意見書四2(7)①、減損会計基準注解(注1)5)。 共用資産には、全社的な資産と複数部門にわたる資産があり、次のものが考えられる(減損会計意見書四2(7)①、「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号。以下「減損適用指針」という)130項)。  (出所:監査法人トーマツ編『Q&A減損会計適用指針における会計実務』(清文社、2004年4月)34ページ) 2 共用資産に係る資産のグルーピング 共用資産に係る資産のグルーピングには次の2つの方法がある(減損会計意見書四2(7)②)。 減損会計基準では、①の方法を原則としている(減損会計意見書四2(7)②、減損会計基準二7)。   Ⅱ 共用資産について、より大きな単位でグルーピングを行う方法 共用資産に減損の兆候がある場合、減損損失の認識の判定及び測定において、より大きな単位でグルーピングを行う方法(Ⅰ2の①の原則的な方法)は、次の手順で行う(減損適用指針48項)。   Ⅲ 共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法 1 手順 共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法(Ⅰ2の②の容認される方法)を採用する場合には、配分された各資産又は資産グループに減損の兆候があるときには(減損適用指針16項なお書き)、次のように減損損失の認識の判定及び測定を行う(減損適用指針50項)。 2 留意点 共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法(Ⅰ2の②の容認される方法)についてだが、これは次のような場合に、共用資産の帳簿価額を当該共用資産に関連する各資産又は資産グループに当該合理的な配賦基準で配分することができるとされている(減損適用指針49項(1)、130項)。 当期に共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分する方法を採用した場合には、事実関係が変化した場合(例えば、資産のグルーピングの変更、主要な資産の変更、資産グループ内での設備の増強や大規模な処分、資産グループ内の構成資産の経済的残存使用年数の変更、共用資産自体の設備の増強や経済的残存使用年数の変更など)を除いて、翌期以降の会計期間においても同じ方法を採用することになる(減損適用指針49項(2))。 また、類似の資産又は資産グループにおいては、同じ方法を採用する必要がある(減損適用指針49項(3))。   Ⅳ 将来キャッシュ・フローの見積期間 共用資産に関して、より大きな単位でグルーピングを行う場合、減損損失を認識するかどうかを判定するために将来キャッシュ・フローを見積もる期間は、共用資産の経済的残存使用年数(共用資産が複数ある場合には、共用資産全体の帳簿価額のうち、その帳簿価額が大きな割合を占める共用資産の経済的残存使用年数)と20年のいずれか短い方となる(減損適用指針37項(3))。 また、その場合に、使用価値の算定のために将来キャッシュ・フローを見積もる期間は、共用資産の経済的残存使用年数(共用資産が複数ある場合には、共用資産全体の帳簿価額のうち、その帳簿価額が大きな割合を占める共用資産の経済的残存使用年数)となる(減損適用指針37項(3))。 (了)

#No. 95(掲載号)
#阿部 光成
2014/11/20

経理担当者のためのベーシック会計Q&A 【第63回】包括利益③「包括利益の表示」―1計算書方式と2計算書方式、税効果の金額及び組替調整額の注記

経理担当者のための ベーシック会計Q&A 【第63回】 包括利益③ 「包括利益の表示」 ―1計算書方式と2計算書方式、税効果の金額及び組替調整額の注記   仰星監査法人 公認会計士 石川 理一   〈事例による解説〉 1 包括利益を表示する計算書 包括利益を表示する計算書は、次のいずれかの形式によります。いずれの場合においても、包括利益のうち親会社株式に係る金額及び少数株主に係る金額を付記します(基準11)。 これらの記載例を示すと以下のとおりです。 【2計算書方式】 【1計算書方式】   包括利益は少数株主損益調整前当期純利益にその他の包括利益を加減する形式で表示します。このため、1計算書方式では、当期純利益を少数株主損益を調整する前の金額に戻してから、包括利益を表示することになります。 なお、上の例では、S社は100%子会社であり、少数株主損益は発生しないため表示されていません。 その他の包括利益の内訳は、その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、為替換算調整勘定、退職給付に係る調整額等に区分して表示します。持分法を適用する被投資会社のその他の包括利益に対する投資会社の持分相当額は、一括して区分表示します(基準7項)。 2 注記の記載方法 その他の包括利益の内訳項目別に、税効果の金額及び前回解説した組替調整額を注記する必要があります。これらの注記は、併せて記載することができます(基準8項、9項)。 併せて記載する場合の記載例を示すと以下のとおりです。 【税効果の金額及び組替調整額を併せて記載する場合】 このように包括利益に関しては、連結包括利益計算書への付記及び税効果や組替調整額の注記と、詳細な情報が求められています。 (了) ※12月は外貨建取引の会計を取り上げます。

#No. 95(掲載号)
#石川 理一
2014/11/20

公的年金制度の“今”を知る 【第3回】「今後の年金改革のゆくえ」

公的年金制度の“今”を知る 【第3回】 「今後の年金改革のゆくえ」   特定社会保険労務士 大東 恵子   1 給付と負担のバランスについて国民的合意を得る 公的年金制度には、多くの方に安心を提供し、老後の生活を支えるという役割があることから、年金制度は、長期間にわたって財源を維持し、財政のバランスがとれるように運営していくことが不可欠である。 現在の日本の公的年金は、年金支給のために必要な財源をその時々の保険料収入から用意する「賦課方式」で運営されており、現役世代が納めた保険料は、そのときの年金受給者への支払いに充てられている。 「賦課方式」を維持することを前提に今後の年金改革を考えるのであれば、まず、給付と負担の水準をどうするのか、国民的合意を得ることが重要であろう。つまり、高い給付を求めるのであれば負担も高くなり、負担を抑制したいのであれば給付も抑制せざるを得ない。給付と負担のバランスについて「高負担・高福祉」「中負担・中福祉」「低負担・低福祉」のいずれかを選択するか、具体的な金額シミュレーションを示し、国民的な議論による合意を得る必要が第一に必要である。その上で、公的年金制度体系の制度設計の詳細に着手することになろう。 ただし、「国民」と一括りにいっても、財源を負担する側の現役世代と、受給する側の高齢世代では、意識や希望に異なる結果が出ることは自明である。世代間の意見の相違を可能な限り排除した上で国民的な合意を得るためには、現役世代に負担が変重しないようなきめ細やかな配慮――例えば、消費税に財源を求めるにしても軽減税率を導入する、所得が一定水準以上の高齢者世代は財源を負担する等――の検討を併せて行うことが不可欠となろう。   2 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)改革 最近“GPIF”という言葉を新聞やニュースで耳にすることが多くなった。英語名称Government Pension Investment Fund の略称で、日本語の正式名称は「年金積立金管理運用独立行政法人」である。 GPIFは、厚生年金と国民年金の積立金を一元的に管理・運用しており、政府の年金財政にとって大きな役割を持つ。それだけに、年金財政の悪化が続く中で、日本の成長戦略とからめた年金積立金の運用改革が注目されている。 GPIFの基本ポートフォリオは、国内債券60%、国内株式12%、外国債券11%、外国株式12%、短期金融資産5%で構成されており、昨年末は国内債が55.2%に低下する一方、国内株式は17.2%まで上昇した。現在、国内株式の運用比率をさらに20%まで引き上げるという議論が行われている。 懸念すべきは、GPIFは129兆円もの運用資金を持ちながら、独立した監視機能もなければ、独自のファンドマネージャーを採用する権限もないという点である。 専門家でない政治家が、国債を売却し株の購入を示唆するよう運用に対する介入を行うことができてしまうガバナンスは健全とはいえず、これを排除する仕組みづくりに着手しなくては、年金積立金が株式相場とアベノミクスの買い支えに流用されかねない。 真のGPIF改革は、国民の財産である年金積立金という資産を、どう運用すべきなのか国民的な議論を深めることが重要で、その結果、運用成績の改善や安定収益が得られ、年金積立金が増える好循環がもたらされることである。 *   *   * 最終回である次回(第4回)では、公的年金制度の今後について考察する。 (了)

#No. 95(掲載号)
#大東 恵子
2014/11/20
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