公開日: 2017/01/19 (掲載号:No.202)
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平成28年分 確定申告実務の留意点 【第1回】「平成28年分の申告から取扱いが変更となるもの①」

筆者: 篠藤 敦子

平成28年分

確定申告実務の留意点

【第1回】

「平成28年分の申告から取扱いが変更となるもの①」

 

公認会計士・税理士 篠藤 敦子

 

-はじめに-

平成28年分の確定申告の受付は、平成29年2月16日(木)から3月15日(水)まで行われる。還付申告は、2月15日(水)以前であっても行うことができる。

なお、e‐Taxを利用する場合には、1月16日(月)の午前8時30分から3月15日(水)の間であれば、メンテナンス時間を除き24時間申告書を送信することが可能である。

今回から4回シリーズで、平成28年分の確定申告に係る実務上の留意点を解説する。

【第1回】と【第2回】は、平成28年分の所得税計算から取扱いが変わるもののうち、確定申告実務に影響があると考えられる事項について解説する。

なお、「確定申告実務の留意点」については毎年本誌上にて掲載しており、28年分の実務においても影響のある事項があるため、必要に応じ下記拙稿も合わせてご参照いただきたい。

(※) タイトルをクリックしてください。

 

(1) マイナンバー関連

① マイナンバーの記載

平成28年分の確定申告は、マイナンバー制度導入後、初めての実務となるため、留意が必要である。

平成28年分の確定申告書には、マイナンバー(個人番号)を記載する欄が新たに設けられている。マイナンバーの記載が必要となる対象者は、次のとおりである。

〈確定申告書にマイナンバーの記載が必要となる対象者〉

 申告者本人

 配偶者(配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける配偶者)

 控除対象扶養親族

 事業専従者

 年少扶養親族(16歳未満の扶養親族)

- 参 考 -


(※) 国税庁ホームページより

 

② 本人確認書類の提示又は写しの添付

確定申告書を書面で提出する際、本人確認書類(番号確認書類+身元確認書類)を提示するか、その写しを添付する必要がある。写しを添付する場合には、「添付書類台紙」に貼付する。

〈本人確認書類の例〉

(ア) マイナンバーカードを利用する場合
⇒表面及び裏面の写し

(イ) マイナンバーカード以外を利用する場合
⇒次のうち、それぞれ1つ
番号確認書類 + 身元確認書類 通知カード 住民票の写し(マイナンバーの 記載があるもの) 運転免許証、パスポート、在留カード、公的医療保険の被保険者証、身体障害者手帳

なお、確定申告書を電子申告する場合には、電子証明書をe‐Taxに登録するため、「本人確認書類の提示又は写しの添付」は不要である。

③ マイナンバーカードを利用して電子申告を行う場合

マイナンバーカードには、電子証明書が標準的に組み込まれている。マイナンバーカードを利用して電子申告を行う場合には、マイナンバーカードの電子証明書をe‐Taxに登録する必要がある。

住民基本台帳カードの電子証明書をすでにe‐Taxに登録している場合にも、マイナンバーカードの電子証明書を再登録しなければならない。

 

(2) 親族関係書類及び送金関係書類の添付

国外に居住する親族を扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、障害者控除の対象とする場合には、確定申告書に親族関係書類及び送金関係書類を添付(又は提示)しなければならない(所法120③二、所令262②)。

親族関係書類や送金関係書類に関する解説等、本制度についての詳細は、すでに本誌上で掲載された下記拙稿において解説しているため、ご参照いただきたい。

*  *  *

次回も引き続き、平成28年分の所得税計算から取扱いが変わるものについて解説を行う予定である。

〔凡例〕
所法・・・所得税法
所令・・・所得税法施行令
所基通・・・所得税基本通達
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
措規・・・租税特別措置法施行規則
(例)所法120③二・・・所得税法120条3項2号

(了)

平成28年分

確定申告実務の留意点

【第1回】

「平成28年分の申告から取扱いが変更となるもの①」

 

公認会計士・税理士 篠藤 敦子

 

-はじめに-

平成28年分の確定申告の受付は、平成29年2月16日(木)から3月15日(水)まで行われる。還付申告は、2月15日(水)以前であっても行うことができる。

なお、e‐Taxを利用する場合には、1月16日(月)の午前8時30分から3月15日(水)の間であれば、メンテナンス時間を除き24時間申告書を送信することが可能である。

今回から4回シリーズで、平成28年分の確定申告に係る実務上の留意点を解説する。

【第1回】と【第2回】は、平成28年分の所得税計算から取扱いが変わるもののうち、確定申告実務に影響があると考えられる事項について解説する。

なお、「確定申告実務の留意点」については毎年本誌上にて掲載しており、28年分の実務においても影響のある事項があるため、必要に応じ下記拙稿も合わせてご参照いただきたい。

(※) タイトルをクリックしてください。

 

(1) マイナンバー関連

① マイナンバーの記載

平成28年分の確定申告は、マイナンバー制度導入後、初めての実務となるため、留意が必要である。

平成28年分の確定申告書には、マイナンバー(個人番号)を記載する欄が新たに設けられている。マイナンバーの記載が必要となる対象者は、次のとおりである。

〈確定申告書にマイナンバーの記載が必要となる対象者〉

 申告者本人

 配偶者(配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受ける配偶者)

 控除対象扶養親族

 事業専従者

 年少扶養親族(16歳未満の扶養親族)

- 参 考 -


(※) 国税庁ホームページより

 

② 本人確認書類の提示又は写しの添付

確定申告書を書面で提出する際、本人確認書類(番号確認書類+身元確認書類)を提示するか、その写しを添付する必要がある。写しを添付する場合には、「添付書類台紙」に貼付する。

〈本人確認書類の例〉

(ア) マイナンバーカードを利用する場合
⇒表面及び裏面の写し

(イ) マイナンバーカード以外を利用する場合
⇒次のうち、それぞれ1つ
番号確認書類 + 身元確認書類 通知カード 住民票の写し(マイナンバーの 記載があるもの) 運転免許証、パスポート、在留カード、公的医療保険の被保険者証、身体障害者手帳

なお、確定申告書を電子申告する場合には、電子証明書をe‐Taxに登録するため、「本人確認書類の提示又は写しの添付」は不要である。

③ マイナンバーカードを利用して電子申告を行う場合

マイナンバーカードには、電子証明書が標準的に組み込まれている。マイナンバーカードを利用して電子申告を行う場合には、マイナンバーカードの電子証明書をe‐Taxに登録する必要がある。

住民基本台帳カードの電子証明書をすでにe‐Taxに登録している場合にも、マイナンバーカードの電子証明書を再登録しなければならない。

 

(2) 親族関係書類及び送金関係書類の添付

国外に居住する親族を扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、障害者控除の対象とする場合には、確定申告書に親族関係書類及び送金関係書類を添付(又は提示)しなければならない(所法120③二、所令262②)。

親族関係書類や送金関係書類に関する解説等、本制度についての詳細は、すでに本誌上で掲載された下記拙稿において解説しているため、ご参照いただきたい。

*  *  *

次回も引き続き、平成28年分の所得税計算から取扱いが変わるものについて解説を行う予定である。

〔凡例〕
所法・・・所得税法
所令・・・所得税法施行令
所基通・・・所得税基本通達
措法・・・租税特別措置法
措令・・・租税特別措置法施行令
措規・・・租税特別措置法施行規則
(例)所法120③二・・・所得税法120条3項2号

(了)

連載目次

〈確定申告実務の留意点〉

筆者紹介

篠藤 敦子

(しのとう・あつこ)

公認会計士・税理士

津田塾大学卒業
1989年 公認会計士試験第二次試験合格
1994年 朝日監査法人(現 あずさ監査法人)退社後、個人事務所を開業し、会計と税務実務に従事。
2008年より甲南大学社会科学研究科会計専門職専攻教授(2016年3月まで)
2010年より大阪電気通信大学金融経済学部非常勤講師

【著書等】
・『マンガと図解/新・くらしの税金百科』共著(清文社)
・『会計学実践講義』共著
・『日商簿記1級徹底対策ドリル 商業簿記・会計学編』共著(以上、同文舘出版)
・『148の事例から見た是否認事項の判断ポイント』共著(税務経理協会)
・「不動産取引を行った場合」『税経通信』2012年3月号(103-109頁)

【過去に担当した研修、セミナー】
SMBCコンサルティング、日本経済新聞社、日本賃金研究センター
社団法人大阪府工業協会、西日本旅客鉄道株式会社、社団法人埼玉県経営者協会
大阪法務局

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