谷口教授と学ぶ
税法の基礎理論
【第25回】
「租税法律主義と租税回避との相克と調和」
-租税回避論の沿革(淵源)-
大阪大学大学院高等司法研究科教授
谷口 勢津夫
Ⅰ はじめに
第20回以降の主題は「租税法律主義と租税回避との相克と調和」であるが、同回では「実質主義と租税回避との相克」という副題の下、わが国における実質主義の沿革との関連で租税回避の沿革にも若干触れた(第20回Ⅲ参照)。
今回は、わが国における租税回避をめぐる議論(租税回避論)の沿革のうち特にその「淵源」を概観することにしたい。
Ⅱ 租税回避論の「萌芽」
「租税あるいは税法のあるところ必ず租税回避あり。」(第21回Ⅰ)といえる以上、わが国における税制の歴史を振り返って、「租税回避」という言葉の使用はともかく、そのような「租税現象」の淵源を突き止めることは実際上不可能といってよかろう。
ただ、第二次大戦後「独立した学問分野」として発展してきた税法学における租税回避研究(清永敬次『租税回避の研究』(ミネルヴァ書房・1995年/復刻版2015年)はその代表的業績といえる)では、その「淵源」を大正12年の所得税法改正による同族会社の行為計算否認規定(73条の3)の創設に見出すことについて、おそらく異論はないであろう。
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