公開日: 2020/05/21 (掲載号:No.370)
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これからの国際税務 【第19回】「令和2年度税制改正大綱における国際課税の焦点(その3)」-子会社配当益金不算入を利用した租税計画への対応-

筆者: 青山 慶二

これから国際税務

【第19回】

「令和2年度税制改正大綱における国際課税の焦点(その3)」

-子会社配当益金不算入を利用した租税計画への対応-

 

千葉商科大学大学院 客員教授
青山 慶二

 

1 はじめに

(1) 外国子会社配当益金不算入制度導入が端緒

平成21年度税制改正で我が国が導入した外国子会社配当についての益金不算入制度は、事業に関係する国外所得を法人税の課税対象所得から除外する趣旨のものであり、それまでの間接外国税額控除制度の複雑さを解消するメリットに加え、グローバルスタンダードにも合致し、他国の多国籍企業との競争中立を保証する二重課税排除方式として評価され、実務に定着してきた。

しかし、一方では、その領域主義的割切りの課税権配分理念は、国境をまたぐ彼我の管轄の制度間で、課税の空白(二重非課税)を許すリスクのあることが従来より認識され、租税条約では、経済活動が行われる源泉地国が非課税とする場合には、居住地国は国外所得非課税を適用しないとする対応条項(OECDモデル条約23A条4項が規定する、いわゆる「subject to tax条項」)が既に用意されているほか、近年のBEPSプロジェクトでも、二重課税の除去方法に関し、多国間協定において対応策(BEPS措置防止条約5条2項)が追加されている。

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これから国際税務

【第19回】

「令和2年度税制改正大綱における国際課税の焦点(その3)」

-子会社配当益金不算入を利用した租税計画への対応-

 

千葉商科大学大学院 客員教授
青山 慶二

 

1 はじめに

(1) 外国子会社配当益金不算入制度導入が端緒

平成21年度税制改正で我が国が導入した外国子会社配当についての益金不算入制度は、事業に関係する国外所得を法人税の課税対象所得から除外する趣旨のものであり、それまでの間接外国税額控除制度の複雑さを解消するメリットに加え、グローバルスタンダードにも合致し、他国の多国籍企業との競争中立を保証する二重課税排除方式として評価され、実務に定着してきた。

しかし、一方では、その領域主義的割切りの課税権配分理念は、国境をまたぐ彼我の管轄の制度間で、課税の空白(二重非課税)を許すリスクのあることが従来より認識され、租税条約では、経済活動が行われる源泉地国が非課税とする場合には、居住地国は国外所得非課税を適用しないとする対応条項(OECDモデル条約23A条4項が規定する、いわゆる「subject to tax条項」)が既に用意されているほか、近年のBEPSプロジェクトでも、二重課税の除去方法に関し、多国間協定において対応策(BEPS措置防止条約5条2項)が追加されている。

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連載目次

これからの国際税務

筆者紹介

青山 慶二

(あおやま・けいじ)

現 職:千葉商科大学大学院 客員教授
    21世紀政策研究所 国際租税研究主幹
専 門:国際租税

【略歴】
1971年 東京大学法学部卒業
1973年 東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了(法学修士)、国税庁入庁
1998年 国税庁国際業務課長
2003年 ニューヨーク大学ロースクール客員研究員
2004年 国税庁審議官(国際担当)
2006年 国税庁退職、筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授
2012年 早稲田大学大学院会計研究科教授(2019年3月定年退職)
2020年 千葉商科大学大学院客員教授

【主な審議会等委員】
OECD租税委員会(1998年~2000年、2004年~2006年)
経済産業省国際課税小委員会座長(2008年~2014年)
国連経済社会理事会・税に関する専門家委員会 委員(2009年~2014年)
国際租税協会(IFA)常設研究企画委員会 委員(2010年~2018年)
政府税制調査会専門家委員会 特別委員(2010年~2011年)

【近年の著書】
『米国内国歳入法第482条(移転価格)に関する財務省規則』社団法人日本租税研究協会(1995年)
『国際課税の理論と実務』(共著)有斐閣(1997年)
『改訂版国際課税の理論と課題』(共著)税務経理協会(1999年)
『租税条約の理論と実務』(共著)清文社(2008年)
『日本の税をどう見直すか』(共著)日本経済新聞出版社(2010年)
『国際課税の理論と実務73の重要課題』(共著)大蔵財務協会(2011年)
『現代税制の現状と課題(国際課税編)』(単著)新日本法規出版(2017年)

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