公開日: 2020/11/12 (掲載号:No.394)
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〈令和2年分〉おさえておきたい年末調整のポイント 【第1回】「令和2年分から適用される改正事項(その1)」

筆者: 篠藤 敦子

〈令和2年分〉

おさえておきたい

年末調整のポイント

【第1回】

「令和2年分から適用される改正事項(その1)」

 

公認会計士・税理士 篠藤 敦子

 

11月も半ばとなり、今年も年末調整に向けた準備を始める時期となった。本年分の年末調整は、適用される改正事項が多く、新たな申告書も設けられている。改正の内容について理解を深め、処理を誤らないよう準備を進めたい。

今回から3回シリーズで、年末調整における実務上の注意点やポイント等を解説する。第1回と第2回は、令和2年分の所得税から適用される改正事項のうち、年末調整において注意しておくべき事項について解説を行う。

なお、本年分の記事に加え、論末の連載目次に掲載された過去の拙稿(年末調整のポイント)もご参照いただきたい。

(注) 上記の記事については、掲載後の税制改正等により、解説内容が現在の規定に基づくものとは異なるケースがある。過年度の記事内に順次コメントを入れるので留意していただきたい。

(※) 本稿では、年末調整で使用する各申告書等を次のとおり表記する。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
扶養控除等申告書

・給与所得者の保険料控除申告書
保険料控除申告書

・給与所得者の基礎控除申告書
基礎控除申告書

・給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者控除等申告書

・給与所得に対する源泉徴収簿
源泉徴収簿

・給与所得の源泉徴収票
源泉徴収票

 

【1】 主な改正事項

令和2年分の年末調整に影響のある主な改正事項は、次の6つである。

給与所得控除と公的年金等控除の見直し

配偶者、扶養親族等の所得要件の調整

基礎控除の見直し

所得金額調整控除の創設

ひとり親控除の創設と寡婦控除の見直し

年末調整手続の電子化

以下、順番に解説する。

 

【2】 給与所得控除及び公的年金等控除の見直し

令和2年分以後の所得税では、特定の収入にのみ適用される給与所得控除と公的年金等控除の控除額が引き下げられ、すべての収入を対象として適用される基礎控除の控除額が引き上げられた。

財務省ホームページより)

(1) 給与所得控除の見直し

給与所得控除の見直しのポイントは、次のとおりである。

《給与所得控除の見直し》

控除額を一律10万円引き下げる。

上限額が適用される給与等の収入金額を850万円上限額を195万円に引き下げる。

令和元年分までと令和2年分以後の給与所得控除額を比較すると、次のとおりである(所法28③)。

給与等の収入金額 給与所得控除額 平成29年~令和元年分 令和2年分以後 162.5万円以下 65万円 55万円 162.5万円超  180万円以下 収入金額×40% 収入金額×40%-10万円 180万円超  360万円以下   収入金額×30%+18万円 収入金額×30%+8万円 360万円超  660万円以下 収入金額×20%+54万円 収入金額×20%+44万円 660万円超  850万円以下 収入金額×10%+120万円 収入金額×10%+110万円 850万円超 1,000万円以下 195万円(上限額) 1,000万円超 220万円(上限額)

(2) 公的年金等控除の見直し

公的年金等控除についても、次のとおり見直しが行われている。役員や従業員(以下、従業員等という)及びその配偶者や親族が公的年金等を受給している場合には、合計所得金額を確認する際に注意が必要である。

《公的年金等控除の見直し》

控除額を一律10万円引き下げ上限額を設定する。

公的年金等以外の所得の合計額1,000万円超 公的年金等控除額をさらに10万円又は20万円引き下げる。

令和元年分までと令和2年分以後の公的年金等控除額の比較については下記をご参照いただきたい(所法35④)。

 

【3】 配偶者、扶養親族等の所得要件の調整

給与所得控除と公的年金等控除の引下げに伴い、扶養親族等の合計所得金額要件の調整が行われた(所法2①三十二~三十四)。

調整の結果、「備考」欄に記載しているとおり、給与の収入金額でみると改正前後で金額は変わらない。

扶養親族等の区分 合計所得金額要件 備考(給与収入換算)(※) 令和元年分以前 令和2年分以後 同一生計配偶者 控除対象配偶者 扶養親族 38万円以下 48万円以下 103万円以下で変わらず。 源泉控除対象配偶者 85万円以下 95万円以下 150万円以下で変わらず。 配偶者特別控除の対象となる配偶者 38万円超 123万円以下 48万円超 133万円以下 103万円超 201.6万円未満で変わらず。 勤労学生 65万円以下 75万円以下 130万円以下で変わらず。

(※) ここでは省略しているが、公的年金等についても収入金額でみると改正前後で金額は変わらない。

 

【4】 基礎控除の見直し

給与所得控除額と公的年金等控除額の引下げに対し、基礎控除の控除額は一律10万円の引上げとなる。ただし、合計所得金額が2,400万円を超えると控除額は段階的に引き下げられ、2,500万円を超えると控除額はゼロとなる。

《基礎控除の見直し》

控除額を一律10万円引き上げる。

合計所得金額2,400万円超2,500万円以下 控除額が逓減

合計所得金額2,500万円超 控除額ゼロ(基礎控除の適用なし)

令和元年分までと令和2年分以後の基礎控除の控除額を比較すると、次のとおりである(所法86①)。

合計所得金額 基礎控除の額 令和元年分以前 令和2年分以後 2,400万円以下 38万円 48万円 2,400万円超  2,450万円以下 32万円 2,450万円超  2,500万円以下   16万円 2,500万円超  -

なお、年末調整で基礎控除の適用を受けようとする場合には、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに、給与等の支払者に「基礎控除申告書」を提出する必要がある(所法190二ホ)。
 

【5】 所得金額調整控除の創設

(1) 創設の背景

【2】(1)で示したとおり、今回の改正で給与所得控除の上限額が220万円から195万円に引き下げられたことにより、基礎控除の控除額が10万円引き上げられたとしても、給与収入850万円を超える人は改正前と比べ課税対象となる給与所得が増加することになる。

(例)

(ア) 給与等の収入金額800万円(850万円以下の場合)

給与等の収入金額① 給与所得控除額② 基礎控除の額③ ①-②-③ 800万円 200万円 38万円 562万円 800万円 190万円 48万円 562万円

(イ) 給与等の収入金額1,000万円(850万円超の場合)

給与等の収入金額① 給与所得控除額 ② 基礎控除の額 ③ ①-②-③ 1,000万円 220万円 38万円 742万円 1,000万円 195万円 48万円 757万円

また、給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある人は、【2】(1)及び(2)の改正により給与所得控除と公的年金等控除がそれぞれ10万円ずつ引き下げられることから、基礎控除の控除額が10万円引き上げられたとしても、税負担が増加するケースがあり得ることとなる。

(2) 所得金額調整控除とは

上記(1)で示した改正の影響に対し、子育てや介護に対して配慮する観点から、また、給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合に負担増が生じないようにするため、「所得金額調整控除」が措置された。

所得金額調整控除には、①子ども等を有する場合の調整②給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合の調整の2つがある(措法41の3の3①②)。

これらの調整のうち①子ども等を有する場合の調整は、年末調整においても適用を受けることができる(措法41の3の4)。

(3) 子ども等を有する場合の調整

給与等の収入金額が850万円を超える居住者のうち、次の(ア)から(ウ)のいずれかに該当するものは、給与所得の金額から下記[調整額]の金額が控除される(措法41の3の3①)。

(ア) 本人が特別障害者

(イ) 23歳未満の扶養親族を有する

(ウ) 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する

[調整額]

(※1) 1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げる。

計算例
-給与等の収入金額1,000万円の場合-

 給与等の収入金額:1,000万円

 給与所得控除額:195万円(上限額)

 所得金額調整控除前の給与所得の金額():805万円

 所得金額調整控除の額:(1,000万円-850万円)× 10%=15万円

 所得金額調整控除後の給与所得の金額():790万円(※2)

(※2) 給与所得控除の上限額引下げの影響(給与所得+15万円)は、所得金額調整控除により調整される(△15万円)。結果、令和元年分ベースで算出した給与所得(1,000万円-220万円=780万円)との差額は、給与所得控除の一律引下げ額(10万円)のみとなる。

なお、年末調整で所得金額調整控除の適用を受けようとする場合には、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに、給与等の支払者に「所得金額調整控除申告書」を提出する必要がある(措法41の3の4①②)。

(4) 給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合の調整

給与と公的年金等に係る雑所得の両方を受給している居住者のうち、給与所得と公的年金等に係る雑所得の合計額が10万円を超えるものについては、給与所得の金額(※)から下記[調整額]の金額が控除される(措法41の3の3②)。

(※) 上記(3)の適用がある場合には、(3)の調整額を控除した後の金額

[調整額]

計算例
-給与等の収入金額300万円、公的年金等の受給額120万円(65歳未満)の場合-

① 給与所得控除後の給与等の金額:300万円-98万円=202万円

② 公的年金等の雑所得:120万円-60万円=60万円

③ 所得金額調整控除の額:(10万円+10万円)-10万円=10万円

④ 所得金額調整控除後の給与所得の金額():192万円

*  *  *

次回は、「ひとり親控除の創設と寡婦控除の見直し」及び「年末調整手続の電子化」について解説し、令和2年分の年末調整で新設された「基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」の記載方法を取り上げる予定である。

〔凡例〕
所法・・・所得税法
措法・・・租税特別措置法

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

  

〈令和2年分〉

おさえておきたい

年末調整のポイント

【第1回】

「令和2年分から適用される改正事項(その1)」

 

公認会計士・税理士 篠藤 敦子

 

11月も半ばとなり、今年も年末調整に向けた準備を始める時期となった。本年分の年末調整は、適用される改正事項が多く、新たな申告書も設けられている。改正の内容について理解を深め、処理を誤らないよう準備を進めたい。

今回から3回シリーズで、年末調整における実務上の注意点やポイント等を解説する。第1回と第2回は、令和2年分の所得税から適用される改正事項のうち、年末調整において注意しておくべき事項について解説を行う。

なお、本年分の記事に加え、論末の連載目次に掲載された過去の拙稿(年末調整のポイント)もご参照いただきたい。

(注) 上記の記事については、掲載後の税制改正等により、解説内容が現在の規定に基づくものとは異なるケースがある。過年度の記事内に順次コメントを入れるので留意していただきたい。

(※) 本稿では、年末調整で使用する各申告書等を次のとおり表記する。

・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
扶養控除等申告書

・給与所得者の保険料控除申告書
保険料控除申告書

・給与所得者の基礎控除申告書
基礎控除申告書

・給与所得者の配偶者控除等申告書
配偶者控除等申告書

・給与所得に対する源泉徴収簿
源泉徴収簿

・給与所得の源泉徴収票
源泉徴収票

 

【1】 主な改正事項

令和2年分の年末調整に影響のある主な改正事項は、次の6つである。

給与所得控除と公的年金等控除の見直し

配偶者、扶養親族等の所得要件の調整

基礎控除の見直し

所得金額調整控除の創設

ひとり親控除の創設と寡婦控除の見直し

年末調整手続の電子化

以下、順番に解説する。

 

【2】 給与所得控除及び公的年金等控除の見直し

令和2年分以後の所得税では、特定の収入にのみ適用される給与所得控除と公的年金等控除の控除額が引き下げられ、すべての収入を対象として適用される基礎控除の控除額が引き上げられた。

財務省ホームページより)

(1) 給与所得控除の見直し

給与所得控除の見直しのポイントは、次のとおりである。

《給与所得控除の見直し》

控除額を一律10万円引き下げる。

上限額が適用される給与等の収入金額を850万円上限額を195万円に引き下げる。

令和元年分までと令和2年分以後の給与所得控除額を比較すると、次のとおりである(所法28③)。

給与等の収入金額 給与所得控除額 平成29年~令和元年分 令和2年分以後 162.5万円以下 65万円 55万円 162.5万円超  180万円以下 収入金額×40% 収入金額×40%-10万円 180万円超  360万円以下   収入金額×30%+18万円 収入金額×30%+8万円 360万円超  660万円以下 収入金額×20%+54万円 収入金額×20%+44万円 660万円超  850万円以下 収入金額×10%+120万円 収入金額×10%+110万円 850万円超 1,000万円以下 195万円(上限額) 1,000万円超 220万円(上限額)

(2) 公的年金等控除の見直し

公的年金等控除についても、次のとおり見直しが行われている。役員や従業員(以下、従業員等という)及びその配偶者や親族が公的年金等を受給している場合には、合計所得金額を確認する際に注意が必要である。

《公的年金等控除の見直し》

控除額を一律10万円引き下げ上限額を設定する。

公的年金等以外の所得の合計額1,000万円超 公的年金等控除額をさらに10万円又は20万円引き下げる。

令和元年分までと令和2年分以後の公的年金等控除額の比較については下記をご参照いただきたい(所法35④)。

 

【3】 配偶者、扶養親族等の所得要件の調整

給与所得控除と公的年金等控除の引下げに伴い、扶養親族等の合計所得金額要件の調整が行われた(所法2①三十二~三十四)。

調整の結果、「備考」欄に記載しているとおり、給与の収入金額でみると改正前後で金額は変わらない。

扶養親族等の区分 合計所得金額要件 備考(給与収入換算)(※) 令和元年分以前 令和2年分以後 同一生計配偶者 控除対象配偶者 扶養親族 38万円以下 48万円以下 103万円以下で変わらず。 源泉控除対象配偶者 85万円以下 95万円以下 150万円以下で変わらず。 配偶者特別控除の対象となる配偶者 38万円超 123万円以下 48万円超 133万円以下 103万円超 201.6万円未満で変わらず。 勤労学生 65万円以下 75万円以下 130万円以下で変わらず。

(※) ここでは省略しているが、公的年金等についても収入金額でみると改正前後で金額は変わらない。

 

【4】 基礎控除の見直し

給与所得控除額と公的年金等控除額の引下げに対し、基礎控除の控除額は一律10万円の引上げとなる。ただし、合計所得金額が2,400万円を超えると控除額は段階的に引き下げられ、2,500万円を超えると控除額はゼロとなる。

《基礎控除の見直し》

控除額を一律10万円引き上げる。

合計所得金額2,400万円超2,500万円以下 控除額が逓減

合計所得金額2,500万円超 控除額ゼロ(基礎控除の適用なし)

令和元年分までと令和2年分以後の基礎控除の控除額を比較すると、次のとおりである(所法86①)。

合計所得金額 基礎控除の額 令和元年分以前 令和2年分以後 2,400万円以下 38万円 48万円 2,400万円超  2,450万円以下 32万円 2,450万円超  2,500万円以下   16万円 2,500万円超  -

なお、年末調整で基礎控除の適用を受けようとする場合には、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに、給与等の支払者に「基礎控除申告書」を提出する必要がある(所法190二ホ)。
 

【5】 所得金額調整控除の創設

(1) 創設の背景

【2】(1)で示したとおり、今回の改正で給与所得控除の上限額が220万円から195万円に引き下げられたことにより、基礎控除の控除額が10万円引き上げられたとしても、給与収入850万円を超える人は改正前と比べ課税対象となる給与所得が増加することになる。

(例)

(ア) 給与等の収入金額800万円(850万円以下の場合)

給与等の収入金額① 給与所得控除額② 基礎控除の額③ ①-②-③ 800万円 200万円 38万円 562万円 800万円 190万円 48万円 562万円

(イ) 給与等の収入金額1,000万円(850万円超の場合)

給与等の収入金額① 給与所得控除額 ② 基礎控除の額 ③ ①-②-③ 1,000万円 220万円 38万円 742万円 1,000万円 195万円 48万円 757万円

また、給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある人は、【2】(1)及び(2)の改正により給与所得控除と公的年金等控除がそれぞれ10万円ずつ引き下げられることから、基礎控除の控除額が10万円引き上げられたとしても、税負担が増加するケースがあり得ることとなる。

(2) 所得金額調整控除とは

上記(1)で示した改正の影響に対し、子育てや介護に対して配慮する観点から、また、給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合に負担増が生じないようにするため、「所得金額調整控除」が措置された。

所得金額調整控除には、①子ども等を有する場合の調整②給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合の調整の2つがある(措法41の3の3①②)。

これらの調整のうち①子ども等を有する場合の調整は、年末調整においても適用を受けることができる(措法41の3の4)。

(3) 子ども等を有する場合の調整

給与等の収入金額が850万円を超える居住者のうち、次の(ア)から(ウ)のいずれかに該当するものは、給与所得の金額から下記[調整額]の金額が控除される(措法41の3の3①)。

(ア) 本人が特別障害者

(イ) 23歳未満の扶養親族を有する

(ウ) 特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する

[調整額]

(※1) 1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げる。

計算例
-給与等の収入金額1,000万円の場合-

 給与等の収入金額:1,000万円

 給与所得控除額:195万円(上限額)

 所得金額調整控除前の給与所得の金額():805万円

 所得金額調整控除の額:(1,000万円-850万円)× 10%=15万円

 所得金額調整控除後の給与所得の金額():790万円(※2)

(※2) 給与所得控除の上限額引下げの影響(給与所得+15万円)は、所得金額調整控除により調整される(△15万円)。結果、令和元年分ベースで算出した給与所得(1,000万円-220万円=780万円)との差額は、給与所得控除の一律引下げ額(10万円)のみとなる。

なお、年末調整で所得金額調整控除の適用を受けようとする場合には、その年最後の給与等の支払を受ける日の前日までに、給与等の支払者に「所得金額調整控除申告書」を提出する必要がある(措法41の3の4①②)。

(4) 給与所得と公的年金等に係る雑所得の両方がある場合の調整

給与と公的年金等に係る雑所得の両方を受給している居住者のうち、給与所得と公的年金等に係る雑所得の合計額が10万円を超えるものについては、給与所得の金額(※)から下記[調整額]の金額が控除される(措法41の3の3②)。

(※) 上記(3)の適用がある場合には、(3)の調整額を控除した後の金額

[調整額]

計算例
-給与等の収入金額300万円、公的年金等の受給額120万円(65歳未満)の場合-

① 給与所得控除後の給与等の金額:300万円-98万円=202万円

② 公的年金等の雑所得:120万円-60万円=60万円

③ 所得金額調整控除の額:(10万円+10万円)-10万円=10万円

④ 所得金額調整控除後の給与所得の金額():192万円

*  *  *

次回は、「ひとり親控除の創設と寡婦控除の見直し」及び「年末調整手続の電子化」について解説し、令和2年分の年末調整で新設された「基礎控除申告書」と「所得金額調整控除申告書」の記載方法を取り上げる予定である。

〔凡例〕
所法・・・所得税法
措法・・・租税特別措置法

(了)

この連載の公開日程は、下記の連載目次をご覧ください。

  

連載目次

〈おさえておきたい年末調整のポイント〉

「〈令和2年分〉おさえておきたい年末調整のポイント」

「〈平成27年分〉おさえておきたい年末調整のポイント」(全3回)

「〈平成24年分〉おさえておきたい年末調整のポイント」(全2回)

筆者紹介

篠藤 敦子

(しのとう・あつこ)

公認会計士・税理士

津田塾大学卒業
1989年 公認会計士試験第二次試験合格
1994年 朝日監査法人(現 あずさ監査法人)退社後、個人事務所を開業し、会計と税務実務に従事。
2008年より甲南大学社会科学研究科会計専門職専攻教授(2016年3月まで)
2010年より大阪電気通信大学金融経済学部非常勤講師

【著書等】
・『マンガと図解/新・くらしの税金百科』共著(清文社)
・『会計学実践講義』共著
・『日商簿記1級徹底対策ドリル 商業簿記・会計学編』共著(以上、同文舘出版)
・『148の事例から見た是否認事項の判断ポイント』共著(税務経理協会)
・「不動産取引を行った場合」『税経通信』2012年3月号(103-109頁)

【過去に担当した研修、セミナー】
SMBCコンサルティング、日本経済新聞社、日本賃金研究センター
社団法人大阪府工業協会、西日本旅客鉄道株式会社、社団法人埼玉県経営者協会
大阪法務局

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