公開日: 2024/11/21 (掲載号:No.595)
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税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第59回】「鑑定評価に「雑種地」という概念は存在しない」~相続税の財産評価や固定資産税評価との相違~

筆者: 黒沢 泰

税理士が知っておきたい

不動産鑑定評価常識

【第59回】

「鑑定評価に「雑種地」という概念は存在しない」

~相続税の財産評価や固定資産税評価との相違~

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

1 はじめに

【第15回】では、相続税の財産評価や固定資産税評価においては現況地目により土地を評価するところ、鑑定評価では地目は直接関係なく、その土地の属する地域(※1)一体としてどのような利用をすれば価値を最大限に発揮し得るかという観点から土地を区分(宅地、農地等)して評価する旨を述べました。

(※1) ここにいう「地域」とは現実に利用状況の類似する一かたまりの地域(=用途的地域)を指し、都市計画法上の「用途地域」(法的規制の観点から定められたもの)とは別の鑑定評価上の概念です。

そのため、現に耕作の用に供されている土地であっても、建物や構築物等の敷地の用に供されることが、自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合理的と判断される地域(=宅地地域)内にある場合は、鑑定評価上は農地としてではなく、宅地として取り扱われた上で、価格へのアプローチが行われます。

今回取り上げる内容も、相続税の財産評価や固定資産税評価における地目分類と鑑定評価上の取扱いの相違に関するものですが、【第15回】の解説からさらに1歩進み、鑑定評価に「雑種地」という概念は存在しないことと、鑑定評価では雑種地に該当する土地を評価上どのように区分しているのかについて述べたいと思います。

なお、雑種地の評価は、相続税の財産評価においても固定資産税評価においてもつかみどころがなく、難しい案件とされていることは誰しもが感じるところです。

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税理士が知っておきたい

不動産鑑定評価常識

【第59回】

「鑑定評価に「雑種地」という概念は存在しない」

~相続税の財産評価や固定資産税評価との相違~

 

不動産鑑定士 黒沢 泰

 

1 はじめに

【第15回】では、相続税の財産評価や固定資産税評価においては現況地目により土地を評価するところ、鑑定評価では地目は直接関係なく、その土地の属する地域(※1)一体としてどのような利用をすれば価値を最大限に発揮し得るかという観点から土地を区分(宅地、農地等)して評価する旨を述べました。

(※1) ここにいう「地域」とは現実に利用状況の類似する一かたまりの地域(=用途的地域)を指し、都市計画法上の「用途地域」(法的規制の観点から定められたもの)とは別の鑑定評価上の概念です。

そのため、現に耕作の用に供されている土地であっても、建物や構築物等の敷地の用に供されることが、自然的、社会的、経済的及び行政的観点からみて合理的と判断される地域(=宅地地域)内にある場合は、鑑定評価上は農地としてではなく、宅地として取り扱われた上で、価格へのアプローチが行われます。

今回取り上げる内容も、相続税の財産評価や固定資産税評価における地目分類と鑑定評価上の取扱いの相違に関するものですが、【第15回】の解説からさらに1歩進み、鑑定評価に「雑種地」という概念は存在しないことと、鑑定評価では雑種地に該当する土地を評価上どのように区分しているのかについて述べたいと思います。

なお、雑種地の評価は、相続税の財産評価においても固定資産税評価においてもつかみどころがなく、難しい案件とされていることは誰しもが感じるところです。

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連載目次

税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識

第1回~第40回 ※クリックするとご覧いただけます。

第41回~

筆者紹介

黒沢 泰

(くろさわ・ひろし)

大手鉄鋼メーカーの系列会社(部長職)にて不動産鑑定業務を中心に担当。不動産鑑定士。

【役職等】
不動産鑑定士資格取得後研修担当講師(財団の鑑定評価、現在)、不動産鑑定士実務修習修了考査委員(現在)、不動産鑑定士実務修習担当講師(行政法規総論、現在)、(公社)日本不動産鑑定士協会連合会調査研究委員会判例等研究委員会小委員長(現在)

【主著】
『土地の時価評価の実務』(平成12年6月)、『固定資産税と時価評価の実務Q&A』(平成27年3月)、『基準の行間を読む 不動産評価実務の判断と留意点』(令和元年8月)『不動産鑑定評価書を読みこなすための基礎知識』(令和2年12月)『土地利用権における鑑定評価の実務Q&A』(令和3年12月)『新版 実務につながる地代・家賃の判断と評価』(令和4年9月)『新版/税理士を悩ませる『財産評価』の算定と税務の要点』(令和5年7月)『税理士が知っておきたい/実務で役立つ 不動産鑑定評価の常識』(令和6年7月、以上清文社)、『新版 逐条詳解・不動産鑑定評価基準』(平成27年6月)『新版 私道の調査・評価と法律・税務』(平成27年10月)、『不動産の取引と評価のための物件調査ハンドブック』(平成28年9月)、『すぐに使える不動産契約書式例60選』(平成29年7月)『雑種地の評価 裁決事例・裁判例から読み取る雑種地評価の留意点』(平成30年12月、以上プログレス)、『事例でわかる不動産鑑定の物件調査Q&A(第2版)』(平成25年3月)、『不動産鑑定実務ハンドブック』(平成26年7月、以上中央経済社)ほか多数。

     

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