税理士が知っておきたい
不動産鑑定評価の常識
【第80回】
「不動産鑑定評価基準に規定のない「場所的利益」の概念」
不動産鑑定士 黒沢 泰
1 はじめに
鑑定実務に長年携わっていると、不動産鑑定評価基準には何ら規定がないものの、不動産鑑定士としての意見を求められ、あるいは鑑定評価そのものを依頼される案件もあります。このような案件に遭遇した場合、実務的な判断の拠り所を過去の判例に求めることが多くあります。
今回取り上げる「場所的利益」という概念はこれに該当する典型的な例であり、借地借家法に基づき借地権者(借主)から借地権設定者(貸主)に建物買取請求がなされた場合の建物の時価に土地の利用価値相当分が含まれるかという点をめぐって、従来から考え方が分かれていたものです(ただし、現時点では考え方に一つの方向性が見出されています)。
なお、「場所的利益」という概念は鑑定実務に登場しますが、税務では登場せず、判例の生み出した産物ともいうべきものです。
2 「場所的利益」という概念はどこから生じたか
借地借家法第13条及び第14条(旧借地法第10条)では、借主(借地権者)から貸主(借地権設定者)に対する建物買取請求に関し、次のように定めています。
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