〈判例評釈〉ムゲン・ADW事件が残したもの~最高裁の判示は、納税者の納得が得られるものか~ 【第1回】
去る3月6日、2つの居住用賃貸建物仕入税額控除事件について、最高裁が、いずれも納税者全面敗訴の判断を示したことで、新聞報道でも大きく取り上げられ、専門家の間でも判断が分かれていた問題に終止符が打たれた。
ここでいう2つの事件とはマンション販売業者である(株)ムゲンエステート(以下「ムゲン」という)及び(株)エー・ディー・ワークス(以下「ADW」という)の消費税の仕入税額控除における個別対応方式を巡る訴訟(※1)をいい、両社は、中古の賃貸用マンション等の収益不動産を購入し、適正な賃料で貸し付けて空室を可能な限り減らした上で転売するというビジネスモデルを展開していた(※2)。
〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第14回】「TDK事件(審裁平22.1.27)(その1)」~租税特別措置法66条の4第2項1号二・2号ロ、租税特別措置法施行令39条の12第8項1号、租税特別措置法通達66の4(4)-5(現行66の4(5)-4)~
①請求人がA社及びB社に対して最終製品製造用の部品である棚卸資産を販売した国外関連取引、②A社及びB社が当該棚卸資産を用いて製造した棚卸資産(最終製品)を請求人が購入した国外関連取引、並びに③請求人がA社との間で締結した無形資産供与を主眼とする技術移転契約に係る国外関連取引に関して、東京国税局(以下、「原処分庁」という)はこれら国外関連取引の全てを対象とした残余利益分割法を適用し、独立企業間価格を算定し更正処分を行った。これに対して請求人は、国税不服審判所に審査請求を行った。
相続税の実務問答 【第82回】「令和5年までに行われた贈与(暦年課税)の相続税の課税価格への加算」
私の父は93歳になりました。父が亡くなったときの相続税の負担を少しでも軽くしたいとの思いで、令和元年から毎年、私の誕生日である11月1日に、父から現金を贈与してもらい、贈与税の申告・納税をしています。申告に当たっては、相続時精算課税の選択はしていません。
令和5年にも、父から現金300万円の贈与を受け、贈与税の申告・納税をするつもりです。令和5年分の贈与についても相続時精算課税を選択するつもりはありません。
ところで、令和5年の税制改正により、暦年贈与の贈与者が亡くなった場合の相続税の課税価格に加算される贈与が、「相続開始前3年以内」のものから、「相続開始前7年以内」のものに改正されたことを新聞記事で知りました。そうしますと、仮に今年父が亡くなった場合には、令和元年から行われてきた父からの贈与の全てが相続税の課税価格に加算されることとなってしまうのでしょうか。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第48回】「株式報酬制度に関する役員と従業員の相違点」
当社は、役員を対象として株式報酬制度を導入しています。この株式報酬制度が役員のモチベーションを高めたことにより、業績の向上につながりました。そこで、株式報酬制度の対象を執行役員やその他幹部従業員にも拡大し、同様の成果を期待するとともに、優秀な人材の確保や離脱防止につなげたいと考えています。
ここで、役員を対象とした株式報酬制度には役員であること特有の留意点があると認識していますが、執行役員やその他幹部従業員に対して株式報酬制度を導入する場合に知っておくべきことはありますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第51回】「株式分配の概要」
「株式分配」とは、現物分配のうち、現物分配直前において現物分配法人により発行済株式の全部を保有されていた法人(完全子法人)のその発行済株式の全部が移転するもの(※)をいいます(法法2十二の十五の二)。
「人的資本可視化指針」の内容と開示実務における対応のポイント 【第2回】「人的資本可視化の方法と参考となるフレームワークや考え方」
【第1回】では、人的資本の可視化のニーズの高まりとその背景、国内外の開示規制の動向について解説を行った。人的資本の可視化を推進することにより、企業は投資家の理解を得ながら、中長期的に企業価値の向上を実現することが期待されている。
【第2回】においては、人的資本の可視化の方法について、参考となるフレームワークや考え方を紹介するとともに、可視化を行う際の開示実務上の対応のポイントを解説する。
内部統制報告制度改訂案のポイントを読み解く 【第3回】「業務プロセス選定手続と評価範囲の変更の可能性」
財務報告に係る内部統制の評価及び報告において示された改訂点のうち、「経営者による内部統制の評価範囲の決定」に重点を置いて分析をしたい。具体的には、業務プロセスに関わる重要な事業拠点の選定や企業の事業目的に大きく関わる勘定科目に関する考え方が今後も更に、企業会計審議会において段階的に検討され、大きく変貌する可能性が想定されるからである。
〔まとめて確認〕会計情報の四半期速報解説 【2023年4月】期末決算(2023年3月31日)
3月決算会社を想定し、期末決算(2023年3月31日)に関連する速報解説のポイントについて、改めて紹介する。
基本的に2023年1月1日から3月31日までに公開した速報解説を対象としている。
期末決算でも、すでに公表した四半期決算に関連する速報解説に引き続き注意する必要がある。
具体的な内容は、該当する速報解説をお読みいただきたい。
《速報解説》 JICPAより「監査報告書の文例」及び「監査報告書に係るQ&A(実務ガイダンス)」の改正案が公表される~報酬関連情報の開示の新設に対応し記載例や留意事項を解説する設問を追加~
2023年4月18日、日本公認会計士協会は、「監査基準報告書700 実務指針第1号「監査報告書の文例」及び監査基準報告書700 実務ガイダンス第1号「監査報告書に係るQ&A(実務ガイダンス)」の改正」(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。
