《速報解説》 金融審議会よりディスクロージャ-WG報告が公表される~サステナビリティ及びコーポレートガバナンスに関する開示や四半期報告書の廃止等を検討~
令和4年6月13日、金融審議会のディスクロージャーワーキング・グループは、「金融審議会 ディスクロージャーワーキング・グループ報告-中長期的な企業価値向上につながる資本市場の構築に向けて-」を公表した。
これは、投資判断におけるサステナビリティの重要性の急速な高まりや企業のコーポレートガバナンスに関する議論の進展などの大きな変化に対応し、企業情報の開示のあり方について検討したものである。
日本の企業税制 【第104回】「「新しい資本主義」実現に向けた“人への投資”」
岸田政権の掲げる「新しい資本主義」のコンセプトについて、今回の「実行計画」では、市場だけでは解決できない外部性の大きい社会的課題を障害物ではなくエネルギー源と捉え、官民連携によって解決を進め、包摂的で新たな成長を図ることと説明されている。
この実現に向けて、①人への投資、②科学技術・イノベーションへの投資、③スタートアップへの投資、④GX及びDXへの投資の4本柱に投資を重点化するとし、これらの政策を実行するため、事業の性質に応じて基金等を活用して予算単年度主義の弊害を是正するとともに、税制改正においてその将来にわたる効果を見据えた動的思考を活用することとし、財政措置や税制改正が施策の中心に据えられていることが注目される。
谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第3回】「国税通則法2条」-納税者の意義・範囲と源泉徴収の法律関係-
国税通則法2条は、「国税通則法の各条の規定の平易化と解釈の明確化を図るため、同法中において特別の意義をもって用いられる基本的な用語を定義したもの」(志場喜徳郎=荒井勇=山下元利=茂串俊共編『国税通則法精解〔令和4年改訂・17版〕』(大蔵財務協会・2022年)136頁)であるが、今回は、同条5号における納税者の定義を取り上げて検討することにする。
〈ポイント解説〉役員報酬の税務 【第39回】「現物による役員退職給与支給と消費税の関係」
当社は、現在M&Aの対象会社となっています。退任予定の現社長は当社が所有する不動産に居住しているため、役員退職給与として、当該不動産を現物支給にて取得することを希望しています。
この場合、通常の不動産の譲渡と同じく、当社にとって消費税の課税対象となりますか。
基礎から身につく組織再編税制 【第41回】「適格現物出資があった場合の繰越欠損金の取扱い」
今回は、適格現物出資があった場合の繰越欠損金の取扱いについて解説します。
適格合併があった場合には、原則として被合併法人の未処理欠損金額は合併法人に引き継がれますが、適格現物出資があった場合には、現物出資法人の未処理欠損金額は被現物出資法人に引き継がれません。
相続税の実務問答 【第72回】「相続開始直前に銀行借入れにより不動産を取得していた場合の当該不動産の評価」
父は、食料品販売の会社を経営していましたが、高齢になり、後継者もいないことから、その会社の株式の全てを同業者に売り渡し、その譲渡代金3,200万円に銀行からの借入金2,800万円を加えて、賃貸目的の新築マンションの1室を6,000万円で購入しました。そのマンションは、購入後、第三者に賃貸していましたが、購入から1年後に父が急死してしまいました。私は、このマンションを相続し、引き続き賃貸の用に供していきたいと考えています。
ところで、このマンションを評価通達の定めに従って評価すると、その評価額は建物及びその敷地の持分を併せて2,400万円になります。最近、相続開始前に借入金で不動産を購入した場合には、評価通達に定める評価方法で評価した価額ではなく、相続開始時の不動産鑑定評価額などを基にした評価額で相続税の計算をすべきであるとの最高裁判決が出されたと聞きました。
父の相続財産であるこのマンションについては、評価通達に定める方法により評価した価額を基に相続税の計算をすることは、認められないのでしょうか。
〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A 【第41回】「砂利敷きやアスファルト舗装の駐車場がある場合の貸付事業用宅地等の特例の適否」
小規模宅地等の特例は、建物又は構築物の敷地の用に供されていることが要件となっていますので、被相続人が構築物を所有しているA駐車場とB駐車場が小規模宅地等に係る貸付事業用宅地等の特例の対象になり、C駐車場は特例の対象にならないと考えていいでしょうか。
給与計算の質問箱 【第30回】「小規模会社における住民税納付回数の削減方法」
当社は社長1人の会社です。5月に区役所から住民税の特別徴収の納付書が届きました。6月分~翌年5月分までの納付書12枚を使い毎月10日までに銀行に行って住民税を納付する予定です。しかし、1年で12回銀行に行くのは手間がかかりますので、どうにか納付回数を減らす方法はないでしょうか。
〔会計不正調査報告書を読む〕 【第126回】アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 「第三者委員会調査報告書(2022年4月11日付)」
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社(以下「AMN」と略称する)は、2007(平成19)年2月設立。インターネットによる広告配信代理、情報提供サービスを主たる事業とする。連結売上高632百万円、連結経常損失96百万円、従業員数60人(いずれも、2021年12月期実績)。東京証券取引所グロース上場。本店所在地は東京都港区。会計監査人は、2020年12月期まで、有限責任監査法人トーマツ東京事務所。2021年3月26日にかなで監査法人が会計監査人に就任するが、2022年3月4日に辞任し、代わりに監査法人アリアが就任している。なお、提出期限を大幅に遅れて5月11日に提出された2021年12月期の有価証券報告書については、監査法人アリアが監査報告書を作成している。
本連載【第117回】は、AMNが2021年5月17日付で設置した第三者委員会(以下「第一次調査委員会」と略称する)の「最終調査報告書」の内容を分析するとともに、同年8月19日に発出された、東京証券取引所による「改善報告書の徴求及び公表措置」及びこれを受けてAMNが提出した「改善報告書」までを対象としている。
