公開日: 2022/11/02 (掲載号:No.493)
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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説 【事例46】「役員退職慰労金の引当金との相殺処理と損金経理」

筆者: 安部 和彦

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例46】

「役員退職慰労金の引当金との相殺処理と損金経理」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、首都圏を中心に東日本においてアミューズメント施設を運営する株式会社X(資本金9,000万円の3月決算法人)で経理部長を務めております。わが国のアミューズメント業界、中でもわが社の業務領域であるゲームセンターは少子高齢化の影響により、これまで主たる顧客であった10代・20代の若者の人口減少の荒波を受けて、全般的に市場が縮小しております。そのため、地方の零細資本のゲームセンターは大手に買収され淘汰されており、わが社も地方においてはロードサイドの駐車場を完備した施設を買収し、家族連れを取り込むことで生き残りを図ろうと必死になっております。

今やゲームは自宅においてゲーム機器で遊ぶのが一般的で、自宅外ではスマホのアプリで遊ぶというのが主流となる中、顧客にわざわざゲームセンターまで足を運んでもらうために、わが社も様々な工夫を行っております。例えば、クレーンゲームは現在、自宅に居ながら楽しめるオンライン形態のものも盛んですが、リアルな感覚を重視するファンも未だ少なくなく、わが社もワンフロアすべてクレーンゲームとする店舗を増加させ、長時間楽しめる場を提供しております。

また、クレーンゲームの商品の上限が800円から1,000円に引き上げられたことから、ユーザーに人気のあるマスコットやフィギュアの品ぞろえを拡大したり、マスコットをデコレーションしたり着せ替えを楽しめるグッズを別のフロアに用意したりと、客単価の引上げにつながるような施策を矢継ぎ早に投入しております。わが社のこのような創意工夫は、専ら3年前に事業承継した二代目社長のアイデアと行動力の賜物で、その結果、コロナ禍や最近のインフレにもめげず、わが社の業績はおかげさまで好調となっております。

そんな中、最近所轄税務署の税務調査を受け、調査官から厳しい指摘をされて戸惑っております。すなわち、わが社の創業者で先代社長に対する役員退職慰労金につき、特別損失として支給したものがありますが、損金経理を行っていないため、損金計上は認められないというものです。当社は先代社長の退職に備え、役員退職慰労引当金を引当計上しており、役員退職慰労金の支給に際しては、総勘定元帳において、以下の通り仕訳を行っており、当然損金算入されるものと認識しておりますが、どのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。なお、当該役員退職慰労金の支給に関し、不相当に高額な部分の金額はないものという点で調査官と意見が一致しております。

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法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

【事例46】

「役員退職慰労金の引当金との相殺処理と損金経理」

 

国際医療福祉大学大学院教授
税理士 安部 和彦

 

【Q】

私は、首都圏を中心に東日本においてアミューズメント施設を運営する株式会社X(資本金9,000万円の3月決算法人)で経理部長を務めております。わが国のアミューズメント業界、中でもわが社の業務領域であるゲームセンターは少子高齢化の影響により、これまで主たる顧客であった10代・20代の若者の人口減少の荒波を受けて、全般的に市場が縮小しております。そのため、地方の零細資本のゲームセンターは大手に買収され淘汰されており、わが社も地方においてはロードサイドの駐車場を完備した施設を買収し、家族連れを取り込むことで生き残りを図ろうと必死になっております。

今やゲームは自宅においてゲーム機器で遊ぶのが一般的で、自宅外ではスマホのアプリで遊ぶというのが主流となる中、顧客にわざわざゲームセンターまで足を運んでもらうために、わが社も様々な工夫を行っております。例えば、クレーンゲームは現在、自宅に居ながら楽しめるオンライン形態のものも盛んですが、リアルな感覚を重視するファンも未だ少なくなく、わが社もワンフロアすべてクレーンゲームとする店舗を増加させ、長時間楽しめる場を提供しております。

また、クレーンゲームの商品の上限が800円から1,000円に引き上げられたことから、ユーザーに人気のあるマスコットやフィギュアの品ぞろえを拡大したり、マスコットをデコレーションしたり着せ替えを楽しめるグッズを別のフロアに用意したりと、客単価の引上げにつながるような施策を矢継ぎ早に投入しております。わが社のこのような創意工夫は、専ら3年前に事業承継した二代目社長のアイデアと行動力の賜物で、その結果、コロナ禍や最近のインフレにもめげず、わが社の業績はおかげさまで好調となっております。

そんな中、最近所轄税務署の税務調査を受け、調査官から厳しい指摘をされて戸惑っております。すなわち、わが社の創業者で先代社長に対する役員退職慰労金につき、特別損失として支給したものがありますが、損金経理を行っていないため、損金計上は認められないというものです。当社は先代社長の退職に備え、役員退職慰労引当金を引当計上しており、役員退職慰労金の支給に際しては、総勘定元帳において、以下の通り仕訳を行っており、当然損金算入されるものと認識しておりますが、どのように考えるべきなのでしょうか、教えてください。なお、当該役員退職慰労金の支給に関し、不相当に高額な部分の金額はないものという点で調査官と意見が一致しております。

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連載目次

法人税の損金経理要件をめぐる事例解説

▷総論

● 法人税の課税所得計算と損金経理(その1~5)

▷事例解説

・・・  以下、順次公開 ・・・

筆者紹介

安部 和彦

(あんべ・かずひこ)

税理士
和彩総合事務所 代表社員
国際医療福祉大学大学院教授

東京大学卒業後、平成2年、国税庁入庁。
調査査察部調査課、名古屋国税局調査部、関東信越国税局資産税課、国税庁資産税課勤務を経て、外資系会計事務所へ移り、平成18年に安部和彦税理士事務所・和彩総合事務所を開設、現在に至る。
医師・歯科医師向け税務アドバイス、相続税を含む資産税業務及び国際税務を主たる業務分野としている。
平成23年4月、国際医療福祉大学大学院医療経営管理分野准教授に就任。

【主要著書】
・『消費税 インボイス制度導入の実務』(清文社)
・『裁判例・裁決事例に学ぶ 消費税の判定誤りと実務対応』(清文社)
・『新版 医療・福祉施設における消費税の実務』(清文社)
・『【第三版】税務調査と質問検査権の法知識Q&A』(清文社)
・『最新判例でつかむ固定資産税の実務』(清文社)
・『新版 税務調査事例からみる役員給与実務Q&A』(清文社)
・『要点スッキリ解説 固定資産税Q&A』(清文社)
・『Q&A 医療法人の事業承継ガイドブック』(清文社)
・『税務調査の指摘事例からみる法人税・所得税・消費税の売上をめぐる税務』(清文社)
・『修正申告と更正の請求の対応と実務』(清文社)
・『事例でわかる病医院の税務・経営Q&A(第2版)』(税務経理協会)
・『Q&A 相続税の申告・調査・手続相談事例集』(税務経理協会)
・『医療現場で知っておきたい税法の基礎知識』(税務経理協会)
・『消費税の税務調査対策ケーススタディ』(中央経済社)
・『消費税[個別対応方式・一括比例配分方式]有利選択の実務』(清文社)
・『国際課税における税務調査対策Q&A』(清文社)

【主要論文】
・「わが国企業の海外事業展開とタックスヘイブン対策税制について」(『国際税務』2001年12月号)
・「タックスヘイブン対策税制の適用範囲-キャドバリー・シュウェップス事件の欧州裁判所判決等を手がかりにして-」『税務弘報』(2007年10月号)
など
            

関連書籍

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