山本守之の法人税“一刀両断” 【第31回】「従業員が仕入先からリベートを受け取っていた事件の考え方」
法人が他人の不法行為によって損害を受けた場合には、その損害の発生と同時に損害賠償請求権を取得しますが、その法人の課税所得の計算上、不法行為に係る損失の損金算入時期及び損害賠償請求権の益金算入時期について様々な学説があります。
不法行為等によって法人に損害が生じても、損害賠償金の収益計上時期によっては、損金と益金が相殺されてしまいます。これらに関する学説は、①損失確定説、②同時両建説、③異時両建説、④損益個別確定説があります。しかし、これらのうちキャンパスの中での論議を除くと、同時両建説と異時両建説が問題として取り上げられることが多いようです。
〔平成29年3月期〕決算・申告にあたっての税務上の留意点 【第1回】「「法人税率の引下げ」及び「法人事業税及び地方法人特別税の見直し」」
平成28年度税制改正における改正事項を中心として、平成29年3月期の決算・申告においては、いくつか留意すべき点がある。本連載では、その中でも主なものを解説する。
【第1回】は、「法人税率の引下げ」及び「法人事業税及び地方法人特別税の見直し」について、平成29年3月期決算において留意すべき点を解説する。
国外財産・非居住者をめぐる税務Q&A 【第1回】「年の途中で海外転勤となる従業員の所得税・住民税の取扱い」
私(日本国籍)甲は、メーカー乙社の従業員(課長補佐)をしています。年初に会社からの辞令が下り、平成29年3月10日より、A国へ3年間転勤することになりました。
乙社の給料は21日起算の20日締めで、25日に支払われます。賞与は、12月1日から5月31日までの期間については6月10日に支払われます。なお、給料は転勤後も乙社から支払われ、所得税や住民税は給料から差し引かれています。
A国の事情により私一人で単身滞在となり、家族は国内の自宅に残ります。給料はA国に出国した後、本給部分はA国に送金され、家族手当分は日本の口座に支払われます。
この場合、出国後は、所得税や住民税は給料から差し引かれることになりますか。
平成28年分 確定申告実務の留意点 【第2回】「平成28年分の申告から取扱いが変更となるもの②」
従来、非居住者期間に居住用の住宅を取得したりリフォームした場合には、他の要件を満たしていても、住宅借入金等特別控除や所得税額の特別控除の適用を受けることはできなかった。
これが平成28年度税制改正により、平成28年4月1日以後は、非居住者期間に住宅を取得したりリフォームした場合にも、他の要件を満たしていれば住宅借入金等特別控除や所得税額の特別控除の適用を受けることができるようになった。
〈事例で学ぶ〉法人税申告書の書き方 【第12回】「別表6(19) 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(19)付表 雇用者給与等支給増加重複控除額の計算に関する明細書」
第12回目は、以前【第4回】で解説した「別表6(21) 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」(平成27年4月1日以後開始事業年度版)が平成28年度税制改正により様式が変更となったため、改正後の「別表6(19) 雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」(平成28年4月1日以後開始事業年度版)をあらためて採り上げるとともに、創設された「別表6(19)付表 雇用者給与等支給増加重複控除額の計算に関する明細書」を採り上げる。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例46(個人事業税)】 「不動産所得に係る個人事業税につき、貸付面積を誤記載したため、本来、納付不要であったにもかかわらず賦課決定額を納付していた事例」
平成X9年度から平成Y7年度の不動産所得に係る個人事業税につき、所得税確定申告書の収入内訳書欄に貸付面積を誤記載したため、本来、課税対象外であったにもかかわらず課税対象として賦課決定が行われ、これを納付していた。これにより、過大納付税額700万円につき損害が発生し、賠償請求を受けた。
このうち、平成Y3年度から平成Y7年度の5年度分については、減額の賦課決定処分により損害が回復したため、損害期は平成X9年度から平成Y2年度までの4年度分である。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q29】「個人が任意組合契約に基づき利益の分配を受ける場合の所得計算」
私(居住者たる個人)は不動産賃貸業を行う任意組合の組合員として出資を行っています。毎年当該任意組合から利益の分配がありますが、この利益は私の申告上、どの所得区分で申告すべきでしょうか。
なお、この組合は余資を有価証券等で運用しており、組合の収入は不動産賃貸収入のほか、有価証券の利子、配当、譲渡益等があります。
裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第24回】「租税法上の評価⑧」
前回では、東京高裁平成22年12月15日判決について解説を行った。
本稿では、国税不服審判所平成11年2月8日裁決について解説を行う。本事件は、非上場株式を関係会社の代表者に対して額面金額で譲渡した事件である。
〈業種別〉会計不正の傾向と防止策 【第6回】「学校法人」
学校法人は、文部科学大臣あるいは都道府県知事の認可を受けて、幼稚園、小学校、中学校、高校、大学等を運営している法人である。組織としては学校法人本部と各学校からなっており、理事長以下複数名の理事が理事会を構成して学校法人全体の経営を担う一方で、各学校は校長が運営を委任されている。
株式会社のように「持分」という概念がなく、理事一人一人がそれぞれ一票を持つため、たとえ理事長といえども、他の理事の賛成なしには自らが目指す法人経営を実現することはできない。逆に、教育現場である各学校を長年預かってきた校長を兼ねる理事には権力が集中する場合もある。