《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成28年4月~6月)」~注目事例の紹介(重加算税の賦課決定処分を中心に)~
国税不服審判所は、平成28年12月15日、「平成28年4月から6月分までの裁決事例の追加等」を公表した。今回追加されたのは表のとおり、全16件であった。
今回の公表裁決では、国税不服審判所によって課税処分等が全部又は一部が取り消された事例が12件、棄却された事例が4件となっている。税法・税目としては、国税通則法6件、所得税法4件、相続税法及び登録免許税法が各2件、法人税法及び国税徴収法が各1件であった。
《速報解説》 株式保有特定会社の判定基準に新株予約権付社債を追加、保有状況如何では評価額が高くなるケースも~平成29年度税制改正大綱~
平成28年12月8日に与党から公表され22日に閣議決定された「平成29年度税制改正大綱」では、資産税に関して種々の見直しが行われているが、その中でも取引相場のない株式の評価に関しては、既報の「類似業種比準方式の見直し」(下記拙稿を参照)に加え、株式保有特定会社の判定基準にも見直しが行われており、こちらも会社によっては不利な影響及ぼす可能性がある見直しとなっている。
《速報解説》 相続時精算課税との併用を認める等、事業承継税制の要件緩和~平成29年度税制改正大綱~
同制度は、平成25年度の税制改正の要件緩和に伴い、平成27年度の認定件数は増加したものの、平成27年度の認定件数の推計は456件(平成28年8月 経済産業省「平成29年度税制改正に関する経済産業省要望」より)程度であり、同制度のさらなる利用促進と利便性の向上を図る必要があった。
山本守之の法人税“一刀両断” 【第30回】「取引別にみた収益の認識基準②」
平成12年度の法人税法改正前は、有価証券の譲渡損益の計上時期は有価証券の引渡日の益金又は損金の額に算入することとされていました。しかし、有価証券の価格変動に伴って生ずる利益を享受する権利及び損失を負担する義務は売買等の約定をもって移転すると考えられるため、売却等の約定が済んでいる有価証券について生じた含み損益を自己の損益とするのは適当ではないと考えられること、また、企業会計においても、約定時に有価証券の譲渡損益を計上すべきものとされたこと等から、平成12年度改正により、有価証券の譲渡損益は、売却等の約定日の属する事業年度に計上すべきこととされました。
〈平成29年1月1日施行〉加算税見直しの再確認と留意点【前編】
平成28年度税制改正で見直された加算税の制度は、平成29年1月1日以後に法定申告期限が到来する国税について適用される。
今回の改正の柱は、〈1〉いわゆる更正等を予知しない修正申告等に係る加算税の減免措置の見直し、〈2〉繰り返しの無申告又は仮装・隠ぺいに対する加重措置の創設である。
本稿では【前編】で〈1〉について解説し、【後編】では〈2〉について解説した上で、改正後の条文のポイントを整理することとしたい。
〔平成29年度税制改正大綱からみた〕組織再編税制の改正内容と実務への影響【後編】
現行法上は、現金交付型株式交換を行うと非適格株式交換として時価評価課税の対象になっていたことから、その代替的手法として、全部取得条項付種類株式、株式併合又は株式等売渡請求が利用されてきた。しかしながら、そもそも租税回避ではないかという批判があったことは事実である。
高額特定資産を取得した場合の納税義務の免除の特例及び簡易課税制度の特例 【第3回】「自己建設高額特定資産を建設等した場合」
本改正は、高額特定資産に係る特例規定(納税義務の免除の特例及び簡易課税制度の特例)であるが、その資産を取得(購入等)したものか、自ら建設をしたものなのかで取扱いが異なる。以下、2つに区分して解説していく。
今回は「高額特定資産を取得した場合」について確認する。
マイナンバーの会社実務Q&A 【第25回】「所得税の確定申告書へのマイナンバーの記載」
〈Q〉所得税の確定申告書へのマイナンバーの記載について教えてください。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例45(法人税)】 「「エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却」に該当する太陽光発電設備を設置したが、即時償却の処理をせずに消耗品費で処理したため、税務調査で否認されてしまった事例」
《事例の概要》平成27年3月期の法人税につき、「エネルギー環境負荷低減推進設備等を取得した場合の特別償却」(以下、「エネルギー設備の特別償却」という)に該当する太陽光発電設備を設置したが、即時償却の処理をせずに消耗品費で処理したため、税務調査で否認されてしまった。これにより、過大納付税額につき賠償請求を受けた。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q25】「外国法人発行の株式の配当に外国源泉税が課される場合の外国税額控除の適用」
私(居住者たる個人)は外国法人発行の上場株式(ドル建)を保有しています。この株式について配当が支払われますが、発行国(A国)において10%の税率で源泉徴収により外国所得税が課されました。この外国所得税について、外国税額控除の適用は可能でしょうか。
なお、私はこの株式を国内の証券会社口座で保有しており、配当は国内の証券会社を通じ外貨建で受け取る予定です。
・配当金額:100ドル
・現地源泉税率:10%(日本とA国との租税条約に基づく限度税率)
・配当の支払開始日レート:100円/ドル