〈事例で学ぶ〉
法人税申告書の書き方
【第11回】
「別表6(16) 雇用者の数が増加した場合又は特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(16)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」
〈その2〉
公認会計士・税理士
菊地 康夫
Ⅰ はじめに
本連載では、法人税申告書のうち、税制改正により変更もしくは新たに追加となった様式、実務書籍への掲載頻度が低い様式等を中心に、簡素な事例をもとに記載例と書き方のポイントを解説していく。
第11回目は、前回採り上げた「別表6(16) 雇用者の数が増加した場合又は特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除に関する明細書」及び「別表6(16)付表 基準雇用者数等、給与等支給額及び比較給与等支給額の計算に関する明細書」のうち、平成27年度の税制改正において創設された地方拠点強化税制による特例措置についての内容と書き方について解説することにする。
Ⅱ 概要
この別表は、青色申告書を提出する法人が租税特別措置法第42条の12第1項から第3項まで(特定の地域において雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)又は平成28年度改正前の措置法第42条の12の2第1項から第3項まで(雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)の規定(いわゆる「雇用促進税制」)の適用を受ける場合に作成する。
このうち、いわゆる本体部分については前回解説したところであるが、地域再生法に基づき都道府県知事が認定する「地方活力向上地域特定業務施設整備計画」を実施する法人は、特例措置として以下の税制優遇が受けられる。
① 【拡充型】
地方活力向上地域で特定業務施設を整備し雇用者を増加させた場合には、特定業務施設における当期増加雇用者数1人当たり以下を税額控除(ただし法人全体の増加雇用者数が上限)。
- 法人全体の雇用者増加率が10%以上:50万円
- 法人全体の雇用者増加率が10%未満:20万円
(※) 適用年度に雇用保険一般被保険者の数を5人以上(中小企業の場合には2人以上)増加させることが必要。
② 【移転型】
東京23区から地方活力向上地域に特定業務施設を移転して整備する場合には、拡充型の税額控除額に加え、当該特定業務施設における増加雇用者1人当たり30万円の税額控除(①と併せて、1人当たり最大80万円の税額控除)。
(※) 雇用を維持していれば最大3年間継続。
[適用にあたっての注意点]
1 上記①(拡充型)による控除税額は、適用事業年度の法人税額の30%相当額から、〈その1〉で解説した本体部分の控除税額と、地方拠点建物等を取得した場合の税額控除制度(措法42の11の2、旧措法42の12)による控除税額との合計額(上記②(移転型)による控除税額は、これらと上記①(拡充型)による控除税額との合計額)を控除した残額が上限となる。
2 本拡充措置を適用するためには、確定申告書等に次の書類の添付が必要。
(1) 適用事業年度開始後2ヶ月以内に公共職業安定所に雇用促進計画の提出を行い、適用事業年度終了後2ヶ月以内に都道府県労働局又は公共職業安定所で計画の達成状況についての確認を受け、その際交付される雇用促進計画の達成状況を確認した旨の書類の写し
(2) 控除の対象となる基準雇用者数、控除を受ける金額及びその金額の計算に関する明細を記載した書類
なお、以下の解説では前回の〈その1〉で解説した内容と重複する部分については極力その解説を省略しているので、必要に応じて〈その1〉も併せてお読みいただきたい。
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