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【STEP2】保有する仮想通貨の会計処理
(1) 仮想通貨の売却時の会計処理
仮想通貨交換業者及び仮想通貨利用者が、仮想通貨を売却した場合、仮想通貨の売却損益を売買の合意が成立した時点において認識(約定日基準)する(仮想通貨取扱い13)。
損益の計上区分は、仮想通貨取扱いでは決められていないため、各社の状況に応じて、決定することになる。
(2) 期末評価
仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者の保有する仮想通貨の期末評価は、仮想通貨の活発な市場が存在する場合と存在しない場合で異なる。
【活発な市場が存在する場合とは】
仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者の保有する仮想通貨について、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合をいう(仮想通貨取扱い8)。
① 仮想通貨の活発な市場が存在する場合
保有する仮想通貨(仮想通貨交換業者が預託者から預かった仮想通貨を除く。以下同じ)について、活発な市場が存在する場合、市場価格に基づく価額をもって貸借対照表価額とし、市場価格と帳簿価額との差額は当期の損益として処理する(仮想通貨取扱い5)。
② 仮想通貨の活発な市場が存在しない場合
保有する仮想通貨について、活発な市場が存在しない場合、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、期末における処分見込価額(ゼロ又は備忘価額を含む)が取得原価を下回る場合には、当該処分見込価額をもって貸借対照表価額とし、取得原価と当該処分見込価額との差額は当期の損失とする(仮想通貨取扱い6)。
なお、翌期以降、当該損失を戻し入れることはできない(仮想通貨取扱い7)。
【処分見込価額の見積り】
処分見込価額は、独立第三者の当事者との相対取引を行った場合の価額等、資金の回収が確実な金額に基づくことが考えられるが、資金の回収が確実な金額を見積ることが困難な場合にはゼロ又は備忘価額を処分見込価額とする(仮想通貨取扱い43)。
損益の計上区分は、仮想通貨取扱いでは決められていないため、各社の状況に応じて、決定することになる。
《設例①:活発な市場が存在する場合》
・A社の決算月は3/31である。
・A社は、当期に活発な市場が存在する仮想通貨を5,000取得した。
・当期末の仮想通貨の市場価格は4,000である。
〈取得時〉
〈当期末〉
(※) 取得価額5,000-市場価格4,000=1,000
《設例②: 活発な市場が存在しない場合》
・A社の決算月は3/31である。
・A社は、当期に活発な市場が存在しない仮想通貨を5,000取得した。
・当期末の処分見込価額は5,000である。
・翌期末の処分見込価額は4,000である。
〈取得時〉
〈当期末〉
(※1) 取得価額5,000≧処分見込価額のため、会計処理不要
〈翌期末〉
(※2) 取得価額5,000-処分見込価額4,000=1,000
次は、【STEP4】を検討する。