公開日: 2014/03/27 (掲載号:No.62)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第3回】「貸倒引当金」

筆者: 西田 友洋

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【STEP4】破産更生債権等

【STEP4】では、破産更生債権等の貸倒引当金について検討する。破産更生債権等の貸倒引当金は、「財務内容評価法」により算定する。

(1) 担保・保証の評価

(2) 貸倒引当金の算定

(1) 担保・保証の評価

担保又は保証がある場合、その担保又は保証の評価を行う。

評価方法は、貸倒懸念債権の財務内容評価法を同一である(【STEP3】(2)②参照)。

なお、清算配当等により回収が可能と認められる金額は、担保の処分見込額及び保証による回収見込額と同様に、貸倒引当金の算定の際に債権額から減額することができる。

ここで、清算配当等により回収が可能と認められる金額には、債務者の資産内容、他の債権者に対する担保の差入れ状況を正確に把握して当該債務者の清算貸借対照表を作成し、それに基づく清算配当等の合理的な見積りが可能である場合における当該清算配当見積額のほか、清算人等から清算配当等として通知を受けた金額も含まれる(実務指針117)。

なお、貸倒懸念債権では、清算配当等の通知を受けることは稀のため、清算配当等の通知を受けた金額は貸倒懸念債権には含まれない(【STEP3】(2)②参照)。

 

(2) 貸倒引当金の算定

貸倒引当金は以下のように算定する(実務指針117)。

会計処理については、【STEP2】(2)を参照。

なお、破産更生債権等の貸倒引当金について、どの時点で償却(貸倒引当金と債権額との相殺)を行うかが問題となるが、その時点は、以下のとおりである。

破産更生債権等に区分した時点においては、担保及び保証による回収見込額を控除した残額を貸倒引当金として計上し、次に損失がほとんど確実となった時点でその引当金を回収不能となった債権額と相殺する(Q&A42)。

*   *   *

以上、4つのステップをまとめたフロー・チャートを再掲する。
※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます。

【参考】
企業会計基準委員会ホームページ
金融商品に関する会計基準」 ※PDFファイル

   (了)

「フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 」は、毎月最終週に掲載されます。

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第3回】

「貸倒引当金」

 

仰星監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

「貸倒引当金」とは、売掛金、受取手形、貸付金、未収入金、立替金、差入保証金、敷金等の債権に対する将来の取立不能見込額を見積もった金額をいう。

将来、貸倒れが発生する可能性が高いであろう事実が当期に発生しているにもかかわらず、実際に貸倒れ事実が発生した時に費用(損失)処理すると、費用(損失)が将来に計上されることになってしまう。そのため、期間損益が正しく表されないこととなる。

そこで、期間損益を正しく表すために、将来の取立不能見込額を見積もり、「貸倒引当金」を計上する必要がある。

貸倒引当金の算定は、以下の4つのステップに分けることができる。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

公認会計士

2007年に、仰星監査法人に入所。
法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。
その他、日本公認会計士協会の中小事務所等施策調査会「監査専門部会」専門委員に就任している。
2019年7月退所。

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