〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A
【第57回】
「一次相続時に賃貸部分があった場合における敷地所有権者の相続に係る貸付事業用宅地等の特例の適用
(配偶者居住権設定後に二次相続があった場合)」
税理士 柴田 健次
[Q]
甲の相続(一次相続)では、下記のとおり甲の所有する建物(1階部分は甲乙の居住用、2階部分は甲の貸付事業用)について配偶者居住権が設定され、甲の配偶者である乙が配偶者居住権を取得し、土地建物の所有権は、甲の長男である丙が取得しました。甲の相続後は、乙がしばらくの間、居住の用に供していましたが、乙が老人ホームに入所するのを契機として、乙は丙の承諾を得て、第三者に1階部分を賃貸することになりました。乙が貸付の用に供した後、3年経過後に丙に相続が発生しました。丙の相続開始前の建物の利用状況は、1階も2階も第三者に賃貸しています。1階部分は配偶者居住権に基づき、乙が賃借人と賃貸借契約を締結していますが、2階部分は甲の相続開始前からの賃借人に引き続き賃貸しているため、丙が賃借人と賃貸借契約を締結しています。
丙の遺言書には、土地及び建物については丙の子である丁に相続させる旨が記載されています。乙及び丁は丙と生計を一にしていました。この場合に丁が適用できる小規模宅地等に係る貸付事業用宅地等の特例の適用面積は何㎡でしょうか。
【相続関係図】
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【丙の相続時における土地に係る相続税評価額】
- 土地全体の自用地としての相続税評価額:54,000,000円(面積360㎡)
- 借地権割合=60%、借家権割合=30%、賃貸割合=100%
- 2階部分の自用地としての相続税評価額:54,000,000円 × 162㎡/360㎡ = 24,300,000円
- 2階部分の貸家建付地の相続税評価額:24,300,000円 ×(1-60% × 30%)= 19,926,000円
- 1階部分の自用地としての相続税評価額:54,000,000円 × 198㎡/360㎡ = 29,700,000円
- 敷地利用権の相続税評価額:
54,000,000円 ×(240㎡ - 108㎡)/240㎡ = 29,700,000円
29,700,000円 - 29,700,000円 × 0.450(※) = 16,335,000円
(※) 配偶者居住権の存続年数に応じた複利現価率
- 敷地所有権の相続税評価額:29,700,000円 - 16,335,000円 = 13,365,000円
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