〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A
【第66回】
「売買契約中に相続が発生した場合における
売主側に係る小規模宅地等の特例の適否」
税理士 柴田 健次
[Q]
被相続人である甲(相続開始は令和4年10月1日)は、A土地及び建物を所有していました。A土地及び建物は、40年前に甲が購入し、甲とその配偶者である乙が居住の用に供していましたが、老人ホームに入居するためにA土地及び建物を売却することになりました。売買契約は令和4年8月1日に行い、手付金として10%相当を受け取っています。その後、引渡しの前に相続が発生し、相続人である乙が全ての財産を相続しました。
乙は令和4年中に相続登記を行い、乙名義にした後に令和5年3月1日に残代金を受領し、同日に所有権移転登記の申請を行っています。
なお、乙は令和4年12月に老人ホームに入所しており、それまではA土地及び建物に居住していました。
【売買契約の内容】
- 買主が売主に売買代金の全額を支払った日に所有権が移転するものとする。
- 売買代金90,000千円(手付金9,000千円、残代金81,000千円)。
- 売買代金の内訳は土地90,000千円、建物0円。
【A土地及び建物の相続税評価】
- A土地の相続税評価は80,000千円
- 建物の相続税評価は2,000千円
甲及び乙は相続開始の直前においてA土地及び建物に居住しており、相続後、所有権を甲から乙に承継した後に引渡しを行っていますので、相続財産の種類は土地及び建物として、相続税評価はA土地80,000千円、建物2,000千円として、A土地について小規模宅地等に係る特定居住用宅地等の特例を適用してもいいでしょうか。
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