〔事例で解決〕小規模宅地等特例Q&A
【第72回】
(最終回)
「被相続人の建物が贈与されている場合における
小規模宅地等の特例の適用」
税理士 柴田 健次
[Q]
被相続人である甲(令和5年2月13日相続発生)は建設業であるA株式会社の代表者で100%の株式を所有していました。甲は、令和元年5月に長男である丙に代表権を移譲し、退職金を受け取り、その後は、非常勤取締役の会長として勤務していました。株式については、令和元年8月に丙に全て贈与しています。また、甲は下記の土地(300㎡)及び建物(600㎡、3階建てであり各階の床面積は同一)を所有し、1階部分はA社に周辺相場で賃貸(A社は建設業本社として使用)し、2階部分は第三者であるB社に周辺相場で賃貸し、3階部分は、甲とその配偶者である乙の居住の用に供していましたが、令和元年9月に建物を丙に贈与しています。
下記のとおり、甲はその土地を無償で丙に使用貸借し、丙は3階部分については無償で甲及び乙に使用貸借しています。
1階及び2階部分の賃貸借契約はそのまま甲から丙が承継しましたが、令和4年3月にB社が退去し、令和4年6月から第三者であるC社に賃貸しています。その後は、引き続きA社及びC社に賃貸しています。
なお、丙は、贈与を受ける前まで他に不動産賃料はありません。
また、乙及び丙はいずれもA社の役員であり、乙は生計一親族で、丙は生計別親族に該当します。
【相続発生前の利用状況】
【A土地の相続税評価】
- A土地の自用地としての相続税評価:90,000千円
(借地権割合60%、借家権割合30%)
甲の相続人は、乙と丙の2人ですが、遺言書を下記のとおり遺していました。
- 土地は乙及び丙に1/2ずつ相続させる。
- その他財産は乙に相続させる。
乙は相続で取得したA土地の持分1/2については、無償で丙に使用貸借しています。
丙は、相続税の申告期限まで引き続きA社及びC社から賃料を受け取り、今後も賃料を受け取る予定となります。
この場合に乙及び丙の土地に係る相続税評価額、小規模宅地等の特例の減額金額はいくらになりますか。
また、仮に乙が建物の贈与を受けていた場合には、乙及び丙の土地に係る相続税評価額、小規模宅地等の特例の減額金額はいくらになりますか。建物の所有者以外の前提事項は同じであるとします。
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