公開日: 2022/06/23 (掲載号:No.475)
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フロー・チャートを使って学ぶ会計実務 【第59回】「自社利用のソフトウェア」

筆者: 西田 友洋

【STEP1】将来の収益獲得又は費用削減の有無

自社利用のソフトウェアは、購入又は作成に要した費用を全て資産計上できるわけではない。将来の収益獲得又は費用削減が確実である場合のみ、資産計上できる。

そのため、ソフトウェアの利用により将来の収益獲得又は費用削減が確実であることが認められるという要件が満たされているか否かを判断する。その結果、将来の収益獲得又は費用削減が確実と認められる場合はソフトウェアを無形固定資産に計上し、確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、費用処理する(会計制度委員会報告第12号「研究開発費及びソフトウェアの会計処理に関する実務指針」(以下、「指針」という)11)。

確実であると認められない場合又は確実であるかどうか不明な場合には、以下の検討は不要である。

資産計上される場合の例としては、以下が挙げられる(指針11)。

➤通信ソフトウェア又は第三者への業務処理サービスの提供に用いるソフトウェア等を利用することにより、会社(ソフトウェアを利用した情報処理サービスの提供者)が、契約に基づいて情報等の提供を行い、受益者からその対価を得ることとなる場合

➤自社で利用するためにソフトウェアを制作し、当初意図した使途に継続して利用することにより、当該ソフトウェアを利用する前と比較して会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると明確に認められる場合

ソフトウェアを利用することにより、利用する前と比べ間接人員の削減による人件費の削減効果が確実に見込まれる場合、複数業務を統合するシステムを採用することにより入力業務等の効率化が図れる場合従来なかったデータベース・ネットワークを構築することにより今後の業務を効率的又は効果的に行える場合で、ソフトウェア制作の意思決定の段階から制作の意図・効果が明確になっている場合

➤市場で販売しているソフトウェアを購入し、かつ、予定した使途に継続して利用することによって、会社(ソフトウェアの利用者)の業務を効率的又は効果的に遂行することができると認められる場合

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

【第59回】

「自社利用のソフトウェア」

 

史彩監査法人
公認会計士 西田 友洋

 

【はじめに】

今回は、自社利用のソフトウェアの会計処理について解説する。

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連載目次

フロー・チャートを使って学ぶ会計実務

第1回~第30回

筆者紹介

西田 友洋

(にしだ・ともひろ)

史彩監査法人 パートナー
公認会計士

2007年10月に準大手監査法人に入所。2019年8月にRSM清和監査法人に入所。2022年2月に史彩監査法人に入所。
主に法定監査、上場準備会社向けの監査を中心に様々な業種の会計監査業務に従事する。また、会社買収に当たっての財務デューデリジェンス、IPOを目指す会社への内部統制コンサル及び短期調査、収益認識コンサル実績もある。
他に、決算留意事項セミナーや収益認識セミナー等の講師実績もある。

【日本公認会計士協会委員】
監査・保証基準委員会 委員(現任)
監査・保証基準委員会 起草委員会 起草委員(現任)
中小事務所等施策調査会 「監査専門委員会」専門委員(現任)
品質管理基準委員会 起草委員会 起草委員
中小事務所等施策調査会 「SME・SMP対応専門委員会」専門委員
監査基準委員会「監査基準委員会作業部会」部会員

【書籍】
「図解と設例で学ぶ これならわかる連結会計」(共著/日本実業出版社)等

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