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【STEP2】開示対象項目の識別
会計上の見積りの注記を行うにあたり、全ての会計上の見積り項目について注記が求められているわけではなく、比較的少数の項目を注記することが想定されている(見積基準25)。そのため、どの会計上の見積り項目を注記対象とするかを識別する必要がある。
◎識別の判断基準
会計上の見積りの開示を行うにあたり、まず、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目(開示対象項目)を識別する。
識別する項目は、通常、当年度の財務諸表に計上した資産及び負債である。ただし、当年度の財務諸表に計上した収益及び費用、並びに会計上の見積りの結果、当年度の財務諸表に計上しないこととした負債を識別することもできる。
また、翌年度の財務諸表に与える影響を検討するにあたっては、影響の金額的大きさ及びその発生可能性を総合的に勘案して判断する(見積基準5、23、24)。
〔開示対象項目〕
当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある項目。
〔開示対象科目〕
通常、当年度の財務諸表に計上した資産及び負債。
ただし、当年度の財務諸表に計上した収益及び費用、並びに会計上の見積りの結果、当年度の財務諸表に計上しないこととした負債を識別することもできる。
〔判断基準〕
➤翌年度の財務諸表に与える影響の検討にあたっては、「影響の金額的大きさ」及びその「発生可能性」を総合的に勘案して判断する(具体的な数値基準は見積基準では示されていない)。
➤翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクの判断にあたって、直近の市場価格により時価評価する資産及び負債の市場価格の変動は、会計上の見積りに起因するものではないため、考慮しない。
〔判断にあたっての具体例〕
➤当年度の財務諸表に計上した金額に重要性があるものに着目して開示対象項目を識別するのではなく、当年度の財務諸表に計上した金額が会計上の見積りによるもののうち、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあるものに着目して開示項目を識別する。
➤固定資産について減損損失の認識を行わない場合でも、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクを検討した上で、当該固定資産を開示対象項目として識別する可能性がある。
➤以下の項目について、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合には、開示対象項目として識別することもあり得る。
✓ 当年度の財務諸表に計上した収益及び費用(例えば、一定の期間にわたり充足される履行義務に係る収益の認識やストック・オプションの費用処理額の見積り等)
✓ 会計上の見積りの結果、当年度の財務諸表に計上しないこととした負債(偶発債務等)
✓ 注記において開示する金額を算出するにあたって見積りを行ったものについて、翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがある場合(金融商品に関する会計基準第40-2項(2)及び賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準第8項(3)に基づき会計上の見積りによる時価を開示する場合等)